ドキシサイクリンが配合されている通販商品
ドキシサイクリンの禁忌事項
下記に該当する方はドキシサイクリンを使用しないでください。
ドキシサイクリンを含んだ薬で過敏症（薬物アレルギー）を起こしたことがある
過敏症はドキシサイクリンに限らず、全ての医薬品において起こり得るアレルギー症状です。ビブラマイシンなどドキシサイクリンを含んだ薬を飲んで過敏症を起こしたことがある方は使用できません。該当する方が再度ドキシサイクリンを摂取すると、過敏症が重症化するおそれがあります。
ドキシサイクリンの働きと効果
- 効能・効果
- 表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、骨髄炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎（急性症、慢性症）、尿道炎、淋菌感染症、感染性腸炎、コレラ、子宮内感染、子宮付属器炎、眼瞼膿瘍、涙嚢炎、麦粒腫、角膜炎（角膜潰瘍を含む）、中耳炎、副鼻腔炎、歯冠周囲炎、化膿性唾液腺炎、猩紅熱、炭疽、ブルセラ症、ペスト、Q熱、オウム病
- ＜適応菌種＞
ドキシサイクリンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、淋菌、炭疽菌、大腸菌、赤痢菌、肺炎桿菌、ペスト菌、コレラ菌、ブルセラ属、Q熱リケッチア（コクシエラ・ブルネティ）、クラミジア属
一般名：ドキシサイクリン
ニキビやクラミジアなどの細菌感染症を治療する抗生物質です。テトラサイクリン系と呼ばれる分類で、幅広い細菌感染症に適応があります。保険が適用されない自費診療では、性感染症の予防目的でも使用されることがあります。
ドキシサイクリンは、ニキビ治療で最も優先的に使用される内服型の抗生物質です。炎症性ニキビに対する有効性が複数の研究で報告されており、日本皮膚科学会のガイドラインでも最も高い推奨度に位置付けられています。アクネ菌に対する殺菌効果と炎症を抑える作用の両方に優れ、赤く腫れた「赤ニキビ」や化膿を伴う「黄ニキビ」に有効です。
また、ドキシサイクリンは性器クラミジア感染症に対しても高い治療効果が確認されています。さらに、性器クラミジアと併発しやすい「直腸クラミジア」や「咽頭クラミジア」に対しては、国内で広く使用されるアジスロマイシンより優れた有効性が報告されています。このため、米国CDCのガイドラインでは、性器クラミジアの第一選択薬としてドキシサイクリンが推奨されています。（Centers for Disease Control and Prevention, 2021,［リンク］）
上記の他にも、膀胱炎、副鼻腔炎、マイコプラズマ肺炎など幅広い細菌感染症に効きます。
性感染症を予防する効果（ドキシペップ等）
ドキシサイクリンは、一部のクリニックで性感染症予防を目的に処方されることがあります。具体的には、事前にドキシサイクリンを服用することで性感染症の発症リスクを抑える方法が行われています。
ドキシサイクリンを使った予防療法は、ドキシペップ（Doxy PEP）およびドキシプレップ（Doxy PrEP）と呼ばれるものの2種類があります。
- ドキシペップ（Doxy PEP）
- 性交後72時間以内にドキシサイクリンを服用することで、クラミジア・淋病・梅毒などの性感染症の発症を防ぐ効果が期待されています。
- ドキシプレップ（Doxy PrEP）
- ドキシサイクリンを毎日継続して服用することで、性感染症の予防が可能とされています。
ただし、これらの用途は国が正式に承認した使い方ではありません。日本国内では、一部のクリニックにおいて、保険適用外（自費診療）という形で提供されてます。
また、海外でも、基本的に性感染症リスクが特に高い人（過去に性感染症にかかった同性間性交渉者やトランスジェンダー女性など）だけを対象に処方されています。これまでの臨床試験も、こうした高リスク群を対象に効果や安全性が検証されており、それ以外の人に対する有効性や安全性は確認されていません。
これらの予防療法では、ドキシサイクリンを繰り返しまたは継続的に使用することによって、耐性菌（薬が効かなくなる細菌）が生じるリスクが指摘されています。このため、日本では一部の医療機関で慎重な姿勢が取られており、自己判断での使用は強く避けるべきです。ドキシサイクリンによる性感染症予防を検討する場合は、必ず医師に相談し、専門的な指導を受けることが重要です。
細菌のタンパク質合成をブロック
ドキシサイクリンは、細胞の増殖に欠かせないタンパク質の合成を妨げることで効果を発揮します。
体内に吸収されたドキシサイクリンは、細菌がタンパク質を合成するために使う分子（リボソーム）に結合します。すると、リボソームは細胞の核で作られる分子（tRNA）と結合できなくなります。
リボソームがtRNAと結合できなければ、タンパク質を合成することができません。細菌はタンパク質を作れなくなることで増殖できなくなり、最終的には死滅します。
このような仕組みによって、ドキシサイクリンは感染症の原因となる細菌を排除します。
幅広い菌に対して示されている抗菌効果
ドキシサイクリンの有効性は、日本で先発薬として承認されている「ビブラマイシン」の臨床試験によって確認されています。（17. 臨床成績, 医療用医薬品: ビブラマイシン, KEGG DRUG, ［リンク］）
以下のデータは、主要な適応菌種およびその感染症に対する臨床結果です。
| 細菌の種類 | 疾患 | 有効率 |
|---|---|---|
| クラミジア・トラコマチス | 尿道炎（男性） | 97.8％（88/90） |
| 子宮頸管炎（女性） | 90.0％（9/10） | |
| グラム陽性菌 | 扁桃炎、乳腺炎、気管支炎など | 73.9％（357/483） |
| グラム陰性菌 | 腎盂腎炎、膀胱炎、子宮内感染、淋病など | 71.2％（306/430） |
これらの結果により、ドキシサイクリンはクラミジアをはじめとした幅広い細菌感染症に優れた効果がある、と証明されたのです。
ニキビに対する治療効果の臨床データ
ドキシサイクリンのニキビへの効果は、海外の臨床研究によって確認されています（Gerd Plewig et al., 1970, ［リンク］）。
炎症性ニキビの患者を対象としたこの試験では、ドキシサイクリン100mgを毎朝1回、4週間にわたって投与しました。比較のため、薬効のない偽薬（プラセボ）をランダムに割り当てた対照群も設けられました。
| 薬品名 | 有効率 |
|---|---|
| ドキシサイクリン | 33％（21/62） |
| プラセボ | 22％（14/62） |
試験の結果、ドキシサイクリンを投与した群では、偶然の範囲を超える（統計的に有意な）改善が見られました。一方、プラセボ群では有意な改善は確認されませんでした。
これにより、ドキシサイクリンが炎症性の赤ニキビや黄ニキビに対して効果があることが示されました。
性感染症予防効果の臨床データ
ドキシサイクリンによる性感染症の予防効果も、海外の臨床試験によって示されています（Anne F. Luetkemeyer et al., 2023, ［リンク］）。
この試験の対象となったのは、性感染症リスクの高い集団です。梅毒、クラミジア、淋病の既往歴があり、かつ以下のいずれかに該当する方が対象になりました。
- 男性間性交渉者（MSM）
- トランスジェンダー女性
- HIV陽性者
- HIV予防療法（PrEP）を受けている
被験者には、コンドームを使用しない性交後72時間以内にドキシサイクリン200mgを服用してもらいました。
その結果、梅毒で87％、クラミジアで88％、淋病で55％の予防効果が確認されました。これにより、ドキシサイクリンが性感染症の予防に有効であることが実証されました。
- ドキシサイクリンが配合されている抗生物質
- 先発薬：ビブラマイシン（ファイザー）
- 後発薬：モノドクス（デヴァ）
ドキシサイクリンの副作用
副作用
食欲不振、悪心・嘔吐、腹痛、下痢、口内炎、舌炎、発疹などの副作用が報告されています。
重大な副作用
ショック、アナフィラキシー（呼吸困難、血管神経性浮腫等）、中毒性表皮壊死融解症（Toxic Epidermal Necrolysis：TEN）、皮膚粘膜眼症候群（Stevens-Johnson症候群）、剥脱性皮膚炎、薬剤性過敏症症候群、偽膜性大腸炎、肝炎、肝機能障害、黄疸。
主な副作用
以下はドキシサイクリンの添付文書（11. 副作用, 医療用医薬品: ビブラマイシン, KEGG DRUG, ［リンク］）に記載されていた副作用の発現率です。
発症頻度：1％以上
| 消化器 | 食欲不振、悪心・嘔吐 |
|---|
発症頻度：1％未満
| 消化器 | 腹痛、下痢、口内炎、舌炎 |
|---|---|
| 過敏症 | 発疹（斑状丘疹性皮疹、紅斑性発疹を含む） |
発症頻度：不明
| 肝臓 | AST、ALTの上昇 |
|---|---|
| 消化器 | 膵炎、食道潰瘍、食道炎、嚥下障害、消化不良、腸炎、肛門周囲炎 |
| 血液 | 顆粒球減少、血小板減少、溶血性貧血、好酸球増多 |
| 循環器 | 潮紅、低血圧、心膜炎、末梢性浮腫、頻脈 |
| 腎臓 | BUN上昇 |
| 過敏症 | 発熱、蕁麻疹、光線過敏症（爪甲剥離症を含む）、多形紅斑、固定薬疹 |
| 皮膚 | 色素沈着 |
| 筋・骨格系 | 関節痛、筋肉痛 |
| その他 | 頭蓋内圧上昇（嘔吐、頭痛、複視、うっ血乳頭、大泉門膨隆等）に伴う症状、ビタミンK欠乏症状（低プロトロンビン血症、出血傾向等）、ビタミンB群欠乏症状（舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等）、全身性エリテマトーデスの悪化、血清病、耳鳴 |
主な副作用には、食欲不振、吐き気・嘔吐、腹痛、下痢、口内炎、舌炎などがあります。これらの胃腸症状は、ドキシサイクリンが腸内の善玉菌も殺してしまい、常在菌のバランスが崩れることで起こります。また、本剤には抗炎症作用がありますが、まれに炎症を引き起こしたり、既存の炎症を悪化させたりする可能性もあります。
重大な副作用
以下のような重大な副作用が、ごくまれな頻度で報告されています。万が一、体調に異変を感じた場合は、すぐに医師や薬剤師に相談してください。
過敏症
- 薬剤性過敏症症候群（やくざいせいかびんしょうしょうこうぐん）
- ショック
- アナフィラキシー（呼吸困難、血管神経性浮腫等）（こきゅうこんなん、けっかんしんけいせいふしゅなど）
薬に対する重大なアレルギー反応です。薬剤性過敏症症候群では広範囲にわたる赤みや全身の発疹など、ショックでは冷や汗・顔面蒼白やめまい・意識の消失など、アナフィラキシーではじんましんや息苦しさなどがみられることがあります。
皮膚の障害
- Stevens-Johnson症候群（スティーブンス－ジョンソンしょうこうぐん）
- 中毒性表皮壊死融解症（ちゅうどくせいひょうひえしゆうかいしょう）
- 剥脱性皮膚炎（はくだつせいひふえん）
全身の皮膚が薬へのアレルギー反応によって壊死や重度の炎症を起こす状態です。Stevens-Johnson症候群では全身のただれや水ぶくれ、TENでは発熱をともなう全身の赤みや広範囲（全身の10％以上）のただれ、剥脱性皮膚炎では全身の赤みとともに皮膚の剥離などがみられることがあります。
偽膜性大腸炎（ぎまくせいだいちょうえん）
腸内細菌のバランスが乱れて大腸が炎症を起こす状態です。下痢、腹痛、軟便、血便、発熱、頭痛、吐き気、冷や汗、顔面蒼白などがみられることがあります。最も多いのは下痢で、服用開始の数日後から3週間後までの期間に頻発するのが特徴です。
肝臓系の障害
- 肝炎（かんえん）
- 肝機能障害（かんきのうしょうがい）
- 黄疸（おうだん）
肝臓の炎症および機能低下により、体に様々な不調が生じる状態です。吐き気、嘔吐、胃や腹部の痛み、発熱、脱力感または異常な疲労感、かゆみ、食欲不振、明るい色の便、濃い色の尿、皮膚や白目の部分が黄色っぽくなる「黄疸」などがみられることがあります。
ドキシサイクリンの使用上の注意点
この項目では、ドキシサイクリンの使用に際して特に注意が必要な方や、併用に注意すべき薬について説明します。該当する方や併用薬がある場合は、必ず医師または薬剤師に相談してください。
使用に注意が必要な人
食道通過障害のある患者
食道にただれや傷（潰瘍）ができる可能性があります。
口から食事をとるのが難しい患者または点滴などで栄養をとっている患者、全身状態の悪い患者
ビタミンKが不足しがちになり、出血しやすくなることがあります。
肝機能障害患者
肝臓の働きがさらに悪くなる可能性があります。
妊婦
妊娠中、または妊娠している可能性のある女性は、必ず医師に使用の可否を判断してもらいましょう。妊娠後半の時期に使うと、お腹の赤ちゃんに骨や歯の障害が起こる可能性があります。動物実験（ラット）では、胎児に悪い影響（胎児毒性）が出たという報告もあります。
授乳婦
ドキシサイクリンの成分が母乳中に移行することがあるため、授乳は避けることが望ましいとされています。
小児等
他の薬が使えない場合や効果がない場合に限って、本剤を使うか考えるようにしてください。特に8歳未満の子どもに使った場合には、歯の色が変わったり、エナメル質がうまくできなかったり、一時的に骨の成長に影響が出ることがあります。
高齢者
一般的に、高齢者は体の機能が弱くなっていることが多く、副作用が出やすいとされています。また、ビタミンKの不足により、出血しやすくなることがあります。そのため、薬の量や飲む間隔に気をつけながら、体の様子をよく見て慎重に使う必要があります。
使用に注意が必要な方
食道通過障害のある方
食道に炎症や潰瘍（ただれや傷）ができるおそれがあります。
口から食事がとれない方、点滴で栄養を補っている方、全身状態の悪い方
ビタミンKが不足しやすくなり、出血しやすくなることがあります。
肝機能に障害のある方
肝臓の働きがさらに悪化するおそれがあります。
妊婦
妊娠中、または妊娠の可能性がある場合は、必ず医師に相談し、使用の可否を判断してもらってください。
特に妊娠後期に使用すると、赤ちゃんの骨や歯の発達に影響が出る可能性があります。
ラットを用いた動物実験では、胎児に悪影響（胎児毒性）が報告されています。
授乳中の方
ドキシサイクリンの成分が母乳中に移行することがあるため、授乳は避けることが望ましいとされています。
小児
他の治療薬が使えない場合や効果が見られない場合に限り、慎重に使用を検討してください。
特に8歳未満の子どもに使用すると、歯の変色やエナメル質の形成不全、一時的な骨の発育障害が報告されています。
高齢者
高齢者は一般的に体の機能が低下しているため、副作用があらわれやすいとされています。
また、ビタミンKの不足により出血しやすくなることがあるため、薬の用量や服用間隔に注意しながら、体調をよく観察しつつ慎重に使用する必要があります。
併用に注意が必要なお薬
金属を含む薬剤
- カルシウム
- マグネシウム
- アルミニウム
- 鉄剤
- ビスマス塩
カルシウム、マグネシウム、アルミニウムは、胃酸を抑えて胃痛や胸やけをやわらげる薬に含まれます。鉄剤は鉄分を補うことで貧血を予防・改善します。ビスマス塩は、腸の炎症をしずめて下痢を抑える薬です。
これらの成分は、ドキシサイクリンの体内への吸収を妨げ、効果を弱めてしまう可能性があります。
抗凝固薬
- ワルファリン など
血液が固まるのを抑える薬で、血栓症（血のかたまりによって血管がふさがる病気）を治療・予防します。
ドキシサイクリンと一緒に使うと、抗凝固作用が強く出て出血しやすくなるおそれがあります。
CYP3A4誘導薬
- カルバマゼピン
- フェニトイン
- バルビツール酸誘導体
- リファンピシン
カルバマゼピン、フェニトイン、バルビツール酸誘導体は、てんかんなどに使われる抗けいれん薬です。リファンピシンは結核などに用いられる抗生物質です。
これらの薬は肝臓の働きを活性化し、ドキシサイクリンの分解を早めるため、効果が弱まることがあります。
スルホニル尿素系血糖降下薬
- グリクロピラミド
- グリベンクラミド
- グリメピリド など
これらは糖尿病の治療に使われる薬で、インスリンの分泌を促し、血糖値を下げる働きがあります。
ドキシサイクリンと併用するとインスリンの作用が強く出て、低血糖を起こすことがあるため注意が必要です。
経口避妊薬（ピル）
- デソゲストレル・エチニルエストラジオール
- ノルエチステロン・エチニルエストラジオール
- レボノルゲストレル・エチニルエストラジオール など
これらはいわゆる「ピル」と呼ばれる薬で、避妊のほか、生理痛の軽減やニキビ治療など、女性ホルモンのバランス調整にも使われます。
ドキシサイクリンは経口避妊薬の吸収を妨げる可能性があり、避妊効果が十分に得られなくなることがあります。