チニダゾールが配合されている通販商品
チニダゾールの禁忌事項
下記に該当する方はチニダゾールを使用しないでください。
- チニダゾールに対して過敏症をおこしたことがある
- 血液に関する疾患がある
- 脳、脊髄に器質的(損傷や病変部、変化などがある)疾患がある
- 妊娠3ヶ月以内または妊娠の可能性がある
過去にチニダゾールを服用した際、アレルギーなどの過敏症が出たことのある方は本剤を使用できません。過敏症の症状としては、皮膚に現れる発疹が挙げられます。
血液に関する疾患を抱えている方はチニダゾールを使用できません。白血球減少などの副作用が確認されており、血液疾患を悪化させるおそれがあります。事故による損傷や腫瘍、萎縮など脳や脊髄に器質的な疾患を抱えている方も同様です。チニダゾールが脳波に影響を与える可能性が示唆されています。
妊婦にチニダゾールを使用した場合の安全性は確立されていません。チニダゾールは、胎児と母体の血液を隔てている胎盤関門を通過して、胎児に移行することが分かっています。母親が飲んだチニダゾールの成分が胎児に成分が移行するため、思わぬ危険性を及ぼす危険があります。妊娠4ヶ月以降の場合は、治療によって得られる有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ用いることが可能とされています。
チニダゾールの働きと効果
- 効能・効果
- トリコモナス症(腟トリコモナスによる感染症)
一般名:チニダゾール
トリコモナス症の治療に使われる抗原虫剤(トリコモナス症治療剤)です。
主に女性に見られるトリコモナス症は、寄生虫の一種であるトリコモナス原虫の感染で発症する病気です。チニダゾールは、膣内に感染したトリコモナス原虫を殺虫することにより、泡状のおりものや悪臭、強い痒みなどの症状を鎮めます。内服錠が一般的ですが、膣に直接作用するタイプの膣錠も存在します。
持続性と移行性に優れたチニダゾールは、2000mgの単回投与によるトリコモナス症の治療が認められています。チニダゾールは膣分泌液中にスムーズに移行して、トリコモナス原虫に対する殺虫作用を48時間に渡って発揮し続けます。その間にトリコモナス原虫に対して致命的な作用を与えることができるため、たった1回飲むだけで治療が済むというチニダゾールの優れた利便性が実現されています。
チニダゾールには抗原虫効果だけでなく、ペプトストレプトコッカス属などの嫌気性菌に対する抗菌効果があります。嫌気性菌は、トリコモナス症によって免疫力の低下した膣内に二次感染して、臭いなどの症状を悪化させます。病原体の殺虫と二次感染の予防を同時に行えるチニダゾールは、トリコモナス症の治療で第一選択されることの多い薬です。
日本では保険適用外となりますが、赤痢アメーバ症、ジアルジア症(ランブル毛虫感染症)の治療薬としてチニダゾールが用いられることもあります。
チニダゾールがニトロソ化合物に変化して微生物のDNAを攻撃します。
チニダゾールは、微生物の体の中でニトロソ化合物(R-N=O)に変化して抗原虫抗菌作用を発揮します。チニダゾールがニトロソ化合物に変化するには、トリコモナス原虫や一部の嫌気性細菌のみが有するニトロ還元酵素系によって、還元という反応を受ける必要があります。ニトロソ化合物は、微生物の生育に欠かせないDNAやタンパク質の合成を阻害します。
還元反応が行われている途中で、ヒドロキシラジカルというフリーラジカル(活性酸素)が生成されます。強い酸化力を有するヒドロキシラジカルは、微生物のDNA二重鎖を切断します。DNAのらせん構造が不安定化して細胞に機能障害が生じることで、微生物の増殖が抑制されます。
臨床成績ではトリコモナス症に対する95.2%の治癒率が示されました。
トリコモナス症に対するチニダゾールの効果は、8ヵ国の施設で同時に行われた臨床試験によって実証されています。トリコモナス症の患者859例に対してチニダゾール2000mgを単回投与した結果、95.2%(818/859例)の患者で症状の治癒が確認されました。たった1回の投与による治療でも、トリコモナス症に対して極めて高い治癒率を示したことから、チニダゾールは非常に有用性に優れた薬であることが分かります。
臨床試験では、赤痢アメーバ症とジアルジア症(ランブル毛虫感染症)に対するチニダゾ―ルの治癒効果も示されています。
赤痢アメーバ症に対しては、2000mgのチニダゾールの2日または3日間連続投与による治療が行われました。ジアルジア症に対しては、体重1kgにつき50mgのチニダゾールを単回投与による治療が行われました。
疾患名 | 有効率 | 症例数 |
---|---|---|
赤痢アメーバ症 | 95% | 477/502例 |
ジアルジア症 | 88% | 65/74例 |
いずれの疾患に対しても9割前後にも及ぶチニダゾールの優れた治癒率が示されました。
ファシジンを先発薬としたトリコモナス治療薬の有効成分として配合されています。
チニダゾールの副作用
副作用
過敏症(発疹)、食欲不振、吐き気、嘔吐、胃部不快感、腹痛、下痢、頭痛、頭重、口の渇き、倦怠感などが生じることがあります。
副作用の症状 | 発現率 |
---|---|
吐き気 | 3.2% |
脱力感・疲労感・倦怠感 | 2.1% |
消化不良・けいれん・上腹部の不快感 | 1.8% |
拒食症 | 1.5% |
嘔吐 | 1.5% |
頭痛 | 1.3% |
めまい | 1.1% |
便秘 | 0.4% |
チニダゾールの副作用としては、吐き気や腹痛などの消化器系の症状が主に見られます。食欲不振や胃部不快感などの軽微な症状から、腹痛や下痢、嘔吐などの激しい症状が出ることもあります。
消化器関連を除けば、チニダゾールの副作用には重い症状がほとんど確認されていません。類似薬のメトロニダゾールでは、長期服用時に末梢神経障害や脳波異常などの重い副作用が確認されています。長期的にチニダゾールを使用する場合には、手足の痺れや、微細な痛みに留意する必要があります。
稀に報告される副作用として、チニダゾールでは舌の表面上に白い苔状のものが付着したり、尿の色素に変異が見られたりといった症状も確認されています。舌の苔は、免疫力の低下や消化器官の疾患によって見られる舌苔と呼ばれる現象であり、チニダゾールの服用によって消化器官に悪影響が出ている恐れがあります。尿の変色は、薬の成分が尿から排泄されるために生じる一時的なものです。
全身もしくは皮膚の一部に発疹が発生した場合には過敏症が疑われますので、ただちに治療を中断して医師に相談する必要があります。
※出典:Mission Pharmacal Company. (2007). Tindamax® (tinidazole) tablets for oral use. (PDF:3.1MB)
- 使用に注意が必要な人
- <授乳婦>
授乳を中止する必要があります。チニダゾールを服用すると、成分が血中から乳汁中に移行することが報告されています。小児に対するチニダゾールの安全性は確立されていないことから、乳汁を通して赤ちゃんの口にチニダゾールが入った場合、思わぬ有害事象が生じる可能性を否定できません。 - <高齢者>
医師の観察のもと、用量や投与間隔を調整する必要があります。高齢者は腎機能が低下している傾向にあり、血中濃度が高い状態が持続するおそれがあります。
- 併用注意薬
- チニダゾールには、併用注意薬および禁忌薬は設定されていません。相互作用が心配されるのは、アルコールです。アルコールとチニダゾールを併用した場合、腹部の激しい痛みや嘔吐、潮紅などの症状が生じるおそれがあります。少なくともチニダゾールの服用から3日間は飲酒を控えるようにしてください。
- チニダゾールと関連する成分
- メトロニダゾール
体内に吸収されるとニトロソ化合物に変化して、トリコモナス原虫の生命活動を抑制します。開発から50年以上経過した今も膣トリコモナス症の治療に使用されています。