クラリスロマイシンが配合されている通販商品
クラリスロマイシンの禁忌事項
下記に該当する方はクラリスロマイシンを使用しないでください。
- クラリスロマイシンに対して過敏症を起こしたことがある
- コルヒチンを投与中の肝臓または腎臓に障害のある患者
過去にクラリスロマイシンを服用した際に、アレルギーなどの過敏症がでたことのある方は本剤を使用できません。過敏症の初期症状としては、発疹や全身の痒み、発熱などが挙げられます。クラリスロマイシンでは、ショック、アナフィラキシーのような呼吸困難や痙攣を伴う重大な過敏症も報告されています。
痛風に使われるコルヒチンは、クラリスロマイシンとの併用で過度な血中濃度の上昇に伴う中毒症状(肝機能障害、血液の異常、嘔吐など)の発現が報告されています。肝臓または腎臓障害を有する患者は健常者よりも血中濃度が高くなりやすいため、クラリスロマイシンとコルヒチンの併用が禁じられています。
クラリスロマイシンは下記の薬と併用できません。
- ピモジド(オーラップ)
- エルゴタミン含有製剤(クリアミン、ジヒルデルゴット)
- スボレキサント(ベソムラ)
- ロミタピドメシル酸(ジャックスタピッド)
- タダラフィル(アドルシカ)
- チカグレロル(ブリリンタ)
- イブルチニブ(イムブルビカ)
- アスナプレビル(スンベプラ、ジメンシー)
- バニプレビル(バニヘップ)
クラリスロマイシンは、これらの薬の代謝に関わっているCYP3A4という酵素を阻害します。クラリスロマイシンがCYP3A4で代謝される薬の血中濃度を過度に高めることで、作用を著しく増強させる危険があります。中でも、統合失調症に使われるピモジドではQT延長や心室性不整脈、片頭痛に使われるエルゴタミン含有製剤では血管攣縮などの心血管系に関わる重大な副作用の発現がクラリスロマイシンとの併用で報告されています。
クラリスロマイシンの働きと効果
- 効能・効果
- 表在性皮膚感染症,深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、尿道炎、子宮頸管炎、感染性腸炎、中耳炎,副鼻腔炎、歯周組織炎,歯冠周囲炎,顎炎、マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎
- <適応菌種>
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、レジオネラ属、カンピロバクター属、ペプトストレプトコッカス属、クラミジア属、マイコプラズマ属、本剤に感性のマイコバクテリウム属、本剤に感性のヘリコバクター・ピロリ
一般名:クラリスロマイシン
クラミジア感染症および呼吸器などの感染症の治療に使われる抗生物質(細菌感染症治療剤)です。
クラリスロマイシンの細菌の増殖を抑制する静菌作用によって、病原体を死滅させます。性行為によって尿路や性器などの粘膜細胞に感染したクラミジア・トラコマチスが排除されることで、患部の炎症や膿などの症状が治癒します。
クラリスロマイシンは、幅広い適応菌種を有するマクロライド系の抗生物質です。
一般的な抗生物質が効きにくいクラミジアやマイコプラズマ、リッチケアなどの特殊な細菌に対しても治療効果を発揮します。
細菌の材料であるタンパク質の合成を阻止するマクロライド系抗生物質は、細胞壁を持たない細菌にも増殖を抑える効果があります。扱いやすいクラリスロマイシンは、クラミジア感染症やマイコプラズマ肺炎、副鼻腔炎、細菌性の風邪、ヘリコバクターピロリ菌の除菌療法など様々な領域の疾患で用いられています。
クラリスロマイシンは、従来のマクロライド系抗生物質であるエリスロマイシンの酸に弱いという欠点を克服するために作られました。胃酸で溶けにくくなったために吸収効率が向上しており、1日に4〜6回投与が必要だったエリスロマイシンに対してクラリスロマイシンでは1日2回投与に改善されました。優れた利便性を実現したクラリスロマイシンは、新しいタイプのニューマクロライド系抗生物質と呼ばれています。
クラリスロマイシンの属するマクロライド系は、アレルギーが出にくい抗生物質です。ペニシリン系やキノロン系の抗生物質が身体に合わない患者への代替薬としても用いられています。
クラリスロマイシンが細菌のタンパク質の合成を阻害します。
クラリスロマイシンは、病原細菌の生育に不可欠であるタンパク質の合成を阻害します。細菌がタンパク質の合成を行っているのは、70Sリボソームという器官です。クラリスロマイシンは、70Sリボソームを構成している50Sサブユニットと結合してその働きを妨げます。細菌はタンパク質を材料に細胞分裂を行い増殖します。クラリスロマイシンの作用で増殖が抑制された細菌は最終的に死滅します。
ヒトを含む動物にもリボソームは存在しますが、50Sサブユニットが存在するのは細菌だけです。クラリスロマイシンは、リボソームの構造の違いを利用して細菌に対してのみ選択的に毒性を発揮します。
臨床成績ではクラリスロマイシンのクラミジアに対する84〜87%の有効率が示されました。
クラミジア感染症に対するクラリスロマイシンの効果は、尿道炎もしくは子宮頸管炎の患者を対象とした臨床試験*によって実証されています。複数の施設で確認されたクラリスロマイシンの治療成績を集計した結果、男性尿道炎に対しては87.0%(314/361例)、女性子宮頸管炎患者に対しては84.6%(121/143例)の有効率が示されました。
集計されたデータには、クラリスロマイシンが効きづらい淋菌の感染による尿道炎と子宮頸管炎の症例が含まれています。クラミジア感染症に限った場合、実際にはさらに優れた有効性が期待できるものと思われます。
幅広い適応菌種を有するクラリスロマイシンは、様々な領域の細菌感染症に対する優れた臨床成績が確認されています。細菌感染による風邪に処方される機会もあるクラリスロマイシンは、扁桃炎や肺炎などの呼吸器感染症や副鼻腔炎に対して72〜88%の高い有効率が実証されています。
疾患 | 有効率 | 有効以上 |
---|---|---|
扁桃炎 | 88.4% | 167/189 |
肺炎、肺膿瘍 | 88.4% | 190/215 |
急性気管支炎 | 83.4% | 123/148 |
咽頭・喉頭炎 | 75.8% | 50/66 |
慢性呼吸器の二次感染 | 74.0% | 219/296 |
疾患 | 有効率 | 有効以上 |
---|---|---|
副鼻腔炎 | 72.4% | 21/29 |
中耳炎 | 66.0% | 134/203 |
その他にも、細菌感染による皮膚科領域の炎症や歯周組織炎、ヘリコバクターピロリ菌感染による胃潰瘍と十二指腸潰瘍の治療でクラリスロマイシンの優れた有効率が確認されています。
疾患 | 有効率 | 有効以上 |
---|---|---|
皮膚科領域感染症 | 76.7% | 355/463 |
歯科口腔外科領域感染症 | 83.0% | 254/306 |
肛門周囲膿瘍、感染性腸炎 | 100% | 9/9 |
エイズに伴うMAC症 | 77.0% | 114/148 |
胃潰瘍(ヘリコバクター・ピロリ感染) | 87.5% | 84/69 |
十二指腸潰瘍(ヘリコバクター・ピロリ感染) | 91.1% | 82/90 |
ヘリコバクターピロリ菌感染による胃潰瘍と十二指腸潰瘍に対する臨床成績に関しては、クラリスロマイシンとして1回200mgとアモキシシリン水和物を750~1000mg、プロトンポンプ阻害薬のランソプラゾールを併用した場合の除菌率を記載しています。
※出典:リンク先、販売名:クラリシッド錠200mgのインタビューフォームを参照
クラリシッドおよびクラリスを先発薬としたクラミジア治療薬の有効成分として配合されています。
- クラリスロマイシンが配合されているクラミジア治療薬
- 先発薬:クラリシッド(マイランEPD)
- 先発薬:クラリス(大正製薬)
- 後発薬:ゾクラー(シプラ)
クラリスロマイシンの副作用
副作用
腹痛、下痢、吐き気、嘔吐、胃部不快感、腹部膨満感、過敏症(発疹)などが生じることがあります。
重大な副作用
横紋筋融解症、間質性肺炎、肝機能障害、偽膜性大腸炎、血小板減少症、再生不良性貧血、催不整脈、出血性大腸炎、ショック、中毒性表皮壊死症、トルサードゥポワント、スティーブンス・ジョンソン症候群、多形紅斑。
以下はクラリシッド錠のインタビューフォーム*に記載されていた副作用の発現率です。
副作用の症状 | 発現数 | 発現率 |
---|---|---|
下痢 | 29例 | 0.74% |
腹痛 | 25例 | 0.64% |
吐き気 | 13例 | 0.33% |
胃の不快感 | 13例 | 0.33% |
発疹 | 13例 | 0.33% |
嘔吐 | 7例 | 0.18% |
腹部のはり | 5例 | 0.13% |
蕁麻疹 | 3例 | 0.08% |
めまい | 3例 | 0.08% |
食欲不振 | 3例 | 0.08% |
軟便 | 3例 | 0.08% |
クラリスロマイシンの主な副作用は、下痢や腹痛などの消化器系の症状です。消化器系の副作用の原因は、一時的な腸内運動の活発化です。クラリスロマイシンは腸のぜん動運動を亢進するホルモン構造が似ており、同様の働きをします。腸内運動が過度に活発化することで、消化不良が起きていることが考えられます。それ以外にも、クラリスロマイシンの抗菌作用が、腸内に住む常在菌のバランスを乱してしまうことでお腹を壊してしまうこともあります。
軽度の軟便や下痢程度の副作用であれば、特に気にする必要はありません。消化器系の副作用に対処するために、クラリスロマイシンと一緒に整腸剤が処方される場合があります。空腹時にクラリスロマイシンを服用しないように注意すれば、胃痛や吐き気などを防ぐことができます。
クラリスロマイシンの副作用として、肝臓に関連した症状も報告されています。他の抗生物質と比較すると副作用が少ないクラリスロマイシンですが、一時的にALT(GPT)上昇やAST(GOT)上昇などが起こる場合があります。服用期間中に血液検査を行うと、これらに影響する場合があります。
発生頻度は高くありませんが、クラリスロマイシンを含む薬を服用した際にアナフィラキシー、肝機能障害、QT延長、血小板減少などの重い副作用が報告されています。クラリスロマイシンを服用する際は、念のために重い副作用の初期症状に注意を払う必要があります。
アナフィラキシーの初期症状には、じんま疹や全身発赤、顔や喉の腫れ、呼吸困難などがあります。クラリスロマイシンで起きる肝機能障害の症状として、食欲不振や発熱、発疹、皮膚のかゆみ、黄疸などが挙げられます。血小板が減少すると、青あざができやすくなる、出血しやすくなる(歯茎の出血や鼻血)などの症状が出る場合があります。
- 使用に注意が必要な人
- <他のマクロライド系薬剤に対して過敏症を起こしたことがある>
クラリスロマイシンが属するマクロライド系の抗生物質で過敏症がみられた方は、本剤でも発症するリスクが高くなります。他のマクロライド系の抗生物質としては、アジスロマイシンやエリスロマイシンなどが挙げられます。 - <肝機能障害のある患者>
上記疾患に該当する場合、肝臓障害が悪化するおそれがあります。主に肝臓で代謝を受けるクラリスロマイシンは、肝機能検査値の上昇などの副作用が報告されています。 - <腎機能障害のある患者>
上記疾患に該当する場合、クラリスロマイシンの血中濃度が過度に高くなるおそれがあります。クラリスロマイシンは主に腎臓から排泄されます。腎機能の低下が予想される患者では、排泄が滞って本剤が血中に長く留まりやすくなります。 - <心疾患、低カリウム血症のある患者>
クラリスロマイシンでは、副作用としてQT延長や心室頻拍、心室細動が報告されています。心疾患や低カリウム血症を有する方が使用した場合に、病状を悪化させる危険があります。 - <高齢者>
高齢者では、薬を代謝・排泄する機能が低下していることが予想されます。通常用量ではクラリスロマイシンの血中濃度が高くなり過ぎる危険を伴うため、医師の観察のもと用量の調節を行う必要があります。
- 併用注意薬
- <ジゴキシン>
心不全に使われます。クラリスロマイシンが腸内細菌に及ぼす作用が、消化管におけるジゴキシンの不活性化を阻害します。 - <スルホニル尿素系血糖降下剤>
グリベンクラミド、トルブタミドなど。
血糖値を下げる薬です。クラリスロマイシンとの併用により血糖値が異常に下がる低血糖の発現が報告されています。 - <クラリスロマイシンとの併用で代謝を阻害される薬>
カルバマゼピン、テオフィリン、アミノフィリン水和物、シクロスポリン、タクロリムス水和物、エベロリムス、アトルバスタチンカルシウム水和物、シンバスタチン、ロバスタチン、コルヒチン、ベンゾジアゼピン系薬剤、非定型抗精神病薬、ジソピラミド、エプレレノン、エレトリプタン、臭化水素酸塩、カルシウム拮抗剤、ジエノゲスト、ホスホジエステラーゼ5阻害剤、クマリン系抗凝血剤、ドセタキセル水和物、オキシコドン塩酸塩水和物、フェンタニル/フェンタニルクエン酸塩など。
クラリスロマイシンが上記の薬の代謝酵素であるCYP3A4を阻害することで、通常よりも血中濃度が高くなります。一部の薬では、めまいや吐き気などを伴う中毒症状や横紋筋融解症による急性腎不全の発現などが報告されています - <抗凝固剤>
アピキサバン、リバーロキサバン、ダビガトランエテキシラート、エドキサバントシル酸塩水和物。
血栓症に使われます。クラリスロマイシンが上記薬剤の排泄に関わっているタンパク質を阻害することから、血中の成分濃度が高くなり作用が過度に増強されます。アピキサバンやリバーロキサバンでは代謝に関わる酵素が阻害されることで、同様に血中濃度が高くなります。 - <相互に代謝を阻害する薬>
イトラコナゾール、サキナビルメシル酸塩、リトナビルなど。
真菌症やHIVの治療に使われる薬が含まれます。クラリスロマイシンと上記薬剤が互いの代謝酵素を阻害しあうことで、双方の血中濃度が通常よりも高くなるおそれがあります。 - <クラリスロマイシンの代謝を促進する薬>
リファブチン、エトラビリン、リファンピシン、エファビレンツ、ネビラピン。
結核に用いられる抗生物質やHIVに使われる薬が含まれます。クラリスロマイシンの効果を減弱させます。クラリスロマイシンの代謝に関わる酵素を増やすことで、本剤の血中濃度が低下します。