クラミジア感染症の治療「完治までの期間と費用、効果的な薬」

クラミジアの治療法は抗生物質を用いた薬物療法が有効
クラミジアはほとんどの場合、飲み薬の服用だけで完治させることができます。
治療に用いられるのは、病原細菌に対して殺菌効果のある抗生物質です。クラミジアの治療法としては、抗生物質の内服により病原細菌であるクラミジア・トラコマチスを死滅させる薬物療法が選択されます。
クラミジアは放置すると性器から上へ感染(上行性感染)していきます。かなり症状が悪化した場合には、外科的な治療法が必要になることもあります。
パートナーとの同時治療が大切です。
クラミジアを完治させるためには、性交のパートナーと一緒に治療することが必要不可欠です。一方だけが治療して1度治ったとしても、パートナーが感染したままでは意味がありません。性交のたびに再感染してしまい、いつまでも完治に至りません。このようにパートナーと相互的にうつしたりうつされたりを繰り返すことを「ピンポン感染」といいます。
クラミジアは感染したからといって、必ずしも症状がでるわけではありません。むしろ大半の方では症状が現れない無症候性であるとされています。厄介なのは、症状は出ていなくても感染力は有しているという点です。つまり症状の有無に関係なく、一方が感染していればそのパートナーも高い確率で感染していることが考えられます。
治療中は性行為を控えましょう。
クラミジアの治療中にはまだ細菌が完全に死滅していません。確実な完治を確認するためにも、薬を飲み始めた日から3〜4週間後に再度検査を受けることが推奨されています。たとえ症状が出ていなくても、クラミジアが完治するまでは性行為は控えましょう。
軽いキスくらいでしたら感染力はほとんどありませんが、治療中のディープキスには感染リスクが伴うため気を付けてください。
完治までの治療期間は3~4週間ほど
クラミジアの治療薬の服用を始めてから3~4週間ほどの治療期間で完治します。
実際に服薬を行う期間は長くても1週間程度(薬によっては1日だけ)です。ただし、服薬を終えたと同時に病原体であるクラミジア・トラコマチスが死滅するわけではありません。
クラミジア・トラコマチスは、感染後に宿主細胞の中に潜伏します。そして宿主細胞の中で長い時間(48時間ほど)をかけて細胞分裂を行うという特徴があります。抗生物質は、細胞分裂を終えた菌が細胞外に放出されたときにしか殺菌効果を効かせることができません。このため、完治にはどうしても1ヶ月ほどの治療期間を要します。
完治しない場合には似た症状を呈する別の疾患が考えられます。
クラミジアに対して適切な治療を行ったにも関わらず完治しない場合には、淋菌感染症(淋病)が疑われます。淋菌感染症は、クラミジアと同様に性感染症の一種です。主な症状として男性では尿道からの膿や排尿痛などがみられます。女性ではおりものの増加や不正出血などがみられます。いずれもクラミジア感染症の主症状と似ています。自覚症状だけで淋病とクラミジア感染症を見分けることは困難です。また、クラミジアと淋菌は重複感染することもあります。疑わしい症状がみられる場合には、両方の検査を受けることが推奨されます。
顕著な耐性化が進んでいる淋菌に対しては、確実な完治が見込める内服抗菌薬がありません。淋菌に対しては注射による抗菌薬の投与が一般的な治療法となります。クラミジアが完治せず淋病が疑われる場合には、早急に医療機関を受診してください。
クラミジアの治療に使われる抗生物質について
クラミジアの治療には抗生物質と呼ばれる内服薬が用いられます。抗生物質は、病原体である細菌に対する抗菌作用を持つ治療薬です。薬ごとに決められた服用回数を飲むだけで、クラミジアは比較的簡単に治せます。
ジスロマック(アジスロマイシン)

ジスロマックは、1回飲むだけでクラミジアを完治させることができる抗生物質です。効果の持続時間が非常に長いため、単回服用で十分に抗菌作用を発揮します。
クラミジアは菌の耐性化が進んでいないため、内服薬でしっかり治療できます。臨床試験では90%以上の高い有効率が実証されています。
確実な効果と抜群の利便性を兼ね備えた、理想的なクラミジア治療薬です。ジスロマックは、現在ほとんどの医療機関でクラミジア治療の第一選択薬とされています。
日本性感染症学会の発行しているガイドラインでは、クラミジア治療薬としてジスロマックの推奨レベルは最高ランクのAに指定されています。
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クラリシッド(クラリスロマイシン)
クラリシッドは、ジスロマックと同じマクロライド系に属する抗生物質です。1日2回の服用を1週間ほど続ける必要があるため、利便性においてジスロマックに劣りますが、クラミジアに対する抗菌効果は同等です。推奨レベルも同様にAですが、妊婦に対する推奨レベルはBに下げられています。
ミノマイシン(ミノサイクリン)
ミノマイシンは上記の2薬とは異なるテトラサイクリン系の抗生物質です。最も古くから使われているクラミジアの薬ですが、比較的副作用が強いので現在では最初から使われることはあまりありません。
アレルギーなどの理由から、他の薬が使えない場合に選ばれます。性感染症学会のガイドラインの推奨レベルはDです。
治療費は保険診療か自由診療で大きく異なる
保険を使ってクラミジア治療を行った場合、治療費はおよそ5,000円ほどです。
治療費の内訳は、初診料と検査料、薬代などを足したものです。保険診療による治療では、医療行為や薬に診療報酬として点数が決まっています。薬や検査の種類によって多少の上下はあっても、大体5,000円前後の治療費で収まります。
自由診療でクラミジア治療を行った場合、治療費の相場はおよそ12,000〜23,000円です。
自由診療とは保険を使わない治療です。治療費は全額自己負担になります。また、自由診療は各医療機関で自由に値段が設定できるので、実際にかかる治療費は事前に確認しておきましょう。
自由診療は高額にはなりますが、保険証を使わないため、クラミジアの治療を誰にも知られたくない場合には適しています。
病院は男性なら泌尿器科、女性なら婦人科を受診しましょう。
クラミジアの治療を受ける場合、男性であれば泌尿器科や性病科を受診しましょう。女性は婦人科を受診しましょう。
女性の場合は、おりものや不正出血などの原因が性病であるとは限りません。より女性の身体の変化に精通している婦人科が最も相談しやすくなります。
