プレマリンの効果「更年期障害や不妊の治療」について
プレマリンの効果と効能
- 効能・効果
- 更年期障害、卵巣欠落症状、卵巣機能不全(不妊症)、老人性膣炎(萎縮性膣炎)、機能性子宮出血
- (1) 卵胞ホルモンの減少による自律神経や体の異常を改善します。
プレマリンは、卵胞ホルモン(エストロゲン)を補給できる女性ホルモン剤です。エストロゲンの分泌量が減少することで起きる女性特有の体の不調を軽減します。更年期障害などで、女性ホルモン補充療法(HRT)に使われます。
プレマリンは更年期障害の治療に使われる
プレマリンは、更年期障害を治療する効果があります。閉経前後に少量を用いることで、更年期障害にともなう不快な症状を改善します。
更年期を境に女性ホルモンの分泌が低下すると、更年期障害を発症します。更年期障害は、急激なホルモンバランスの変化に体がついていけない状態です。閉経する前後5年間に発症しやすくなります。
更年期障害になると、以下のような症状が生じます。
- ほてり、のぼせ、発汗(ホットフラッシュ )
- 冷え
- 動悸
- 頭痛
- めまい
- 肩こり
- 腰痛
- 不眠
- イライラ
これらの症状は、卵胞ホルモンの欠乏に伴う自律神経やメンタルの不調によるものです。症状を改善するには、プレマリンのようなホルモン剤によってエストロゲンの働きを補う必要があります。
エストロゲンの分泌量が減少すると、体温調節や血液循環などを担う自律神経が、正常に働かなくなります。プレマリンは、のぼせや発汗など血管運動神経症状(ホットフラッシュ)に対して特に効果的です。
プレマリンの効果発現はいつから?
プレマリンの効果が現れるまでの期間は、症状によって異なります。服用の目的によっても服薬期間は異なるので、あらかじめ医師に相談しておくと良いでしょう。
ほてりや発汗、冷え性などの自律神経失調症状の場合、おおよそ2週間ほどで効果が出ます。3か月ほどで大抵の症状が改善します。
不眠やイライラ、憂うつ感などの精神神経症状に関しては、人によって効き方が異なるのです。効果が出るまで服用し続ける必要があります。
肩こりや関節痛、肌のトラブル、萎縮性腟炎、性交痛などは、症状が現れる前から服用しておけば予防になります。症状が出てからも、服用を開始すればすぐに効果が出て改善を早めることができます。
服薬を続けることで効果が維持される
プレマリンなどのエストロゲン製剤を使ったホルモン補充療法は、分泌が減った女性ホルモンを補うための治療法です。
そのためプレマリンの服用を止めると、エストロゲンの補充がストップします。再びエストロゲン不足となり、症状がぶり返すことがあります。効果を維持するためには、継続的な服薬が必要です。
プレマリンは不妊治療に効果がある
プレマリンは、不妊治療でも効果を発揮する医薬品です。
子宮内膜を厚くする働きで妊娠の可能性を高める
プレマリンによってエストロゲンの働きを補うことで、子宮内膜が厚くなります。子宮内膜が厚くなると、受精卵の着床がしやすい状態になります。こうして、子宮の内部が妊娠しやすい環境に整えられるのです。
ただしプレマリンのような経口エストロゲン製剤を長期間にわたって単剤として服用し続けると、子宮体がんのリスクを高めます。そうしたリスクを減らすうえで、プロゲスチン製剤との併用が推奨されています。
安全に生理や排卵の周期を整えるカウフマン療法
卵巣からのエストロゲン分泌が足りない場合、排卵障害や卵巣性無月経になってしまいます。これが原因で不妊となってしまう場合があるのです。無排卵や無月経などの排卵障害が原因で不妊になっている場合は、カウフマン療法としてプレマリンが用いられます。
カウフマン療法とは、エストロゲンとプロゲスチンの両方を補充する不妊の治療法です。プレマリンのようなエストロゲン製剤とプロゲストン錠のようなプロゲスチン製剤を併用することで、血栓症のリスクを減らしつつ生理や排卵の周期を整えます。
カウフマン療法を行うことで、排卵障害や卵巣性無月経を解消し、不妊を治療できます。
プレマリンの効果で肌や骨などの老化を防ぐ
プレマリンでエストロゲンの働きを補充することは、アンチエイジングにも有用です。骨や血管、皮膚など、体の老化を遅らせるうえでも効果的です。
- 骨粗鬆症の改善
- 動脈硬化を予防
- 肌の張りツヤを保持
- 膣や膀胱の機能を改善
- アルツハイマー病の予防
それぞれの効果について、見ていきましょう。
骨粗鬆症を改善
プレマリンは、骨量増加と骨折予防効果が世界的に認められている唯一の女性ホルモン薬です。これにより、骨粗鬆症の治療薬に用いられることがあります。
骨粗鬆症とは、骨がもろくなる病気です。骨粗鬆症を発症すると、軽く転んだだけで股関節が骨折してしまい、寝たきりの原因となってしまいます。
骨粗鬆症は女性に多く、閉経後に発症しやすいです。日本人女性の骨密度は65才以上で50%、80才以上では80%が危険域であるといわれています。その原因は、骨代謝と女性ホルモンの関係にあります。
プレマリンはエストロゲンを補うことで、骨代謝を盛んにし、骨を丈夫にします。プレマリンの骨量増加効果は、カルシウムやビタミンD、日光浴よりも効果が高くなります。
動脈硬化を予防
プレマリンは、動脈硬化を予防する効果があります。動脈硬化は心筋梗塞や脳卒中、動脈瘤などの原因となるため、これらの疾患の予防にもなります。
エストロゲンの働きが不足すると、血液中の悪玉コレステロールが増加しやすくなり、動脈硬化のリスクとなります。成人病の多くは、高コレステロール血症が関与していると考えられています。
プレマリンでエストロゲンを補えば、血管の老化を招く悪玉コレステロールも減らせます。
肌のハリとツヤを保持
プレマリンでエストロゲンを補うことで、美肌効果も期待できます。プレマリンを服用すると、皮膚のコラーゲンが減るのを防いで、肌をみずみずしく保てます。
閉経後にエストロゲンが欠乏すると、シワが急に増えます。プレマリンでエストロゲンを補えば、肌の張りやツヤが整ってシワの予防にもなります。
膣や膀胱の機能を改善
プレマリンは、閉経後に起こりやすい膣の乾燥感や尿失禁にも有効とされています。
閉経すると、卵胞ホルモンの不足で泌尿生殖器が萎縮します。これにより、膣炎や膀胱炎といった症状とともに尿失禁が増えます。プレマリンの服用により、卵胞ホルモンを補充することで、これらを治療・予防できます。
アルツハイマー病の予防
プレマリンの服用を閉経早期から開始した場合、アルツハイマー病に対する予防効果も期待できます。
アルツハイマー病は老人性痴呆の原因の1つで、アミロイドβというたんぱく質が引き起こすと されています。プレマリンで卵胞ホルモンの働きを補充することは、アミロイドβの増加を防ぐうえで効果的と考えられています。