ノルバスクの副作用「頭痛、むくみ、便秘」について
ノルバスクの主な副作用
ノルバスクは心拍数の上昇が起こりにくく、他のカルシウム拮抗薬と比較して副作用が現れる頻度が低いとされます。ノルバスクの主な副作用として以下の症状が報告されています。
- <主な副作用>
- ほてり、頭痛、動悸、めまい、浮腫、吐き気、倦怠感、ふらつき、発疹など。
頭痛やむくみなどの副作用は血管拡張作用が関係していると考えられます。
ノルバスクは血管を拡げて血液の流れを良くすることで血圧を低下させます。
血管の拡張または血圧の低下に伴い、頭痛やめまい、ふらつきなどの副作用が現れる可能性がありますが、大半の副作用は徐々に慣れて症状が消失していきます。発生頻度は頭痛が約0.5%と他の副作用に比べて多く報告されています。その他に頭重、手足や顔面などのしびれ、立ちくらみなどが生じるおそれがあります。
発生頻度は少ないものの、むくみ(浮腫)やほてり、動悸といった循環器の副作用が報告されています。血圧が低下すると下がった血圧を戻そうと心臓の拍動が活発になるため、副作用として動悸を起こすことがあります。ほてりは血管の拡張による血流増加が原因となって発生すると考えられています。
例数 | 発現率 | |
---|---|---|
頭痛 | 54 | 0.47% |
顔面潮紅 | 39 | 0.34% |
動悸 | 31 | 0.27% |
めまい | 28 | 0.24% |
顔のほてり | 28 | 0.24% |
ふらつき(感) | 27 | 0.23% |
カルシウム拮抗薬は静脈よりも動脈に対して作用が強く働きますので、静脈に血液が溜まってむくんでしまうことがあります。むくみはノルバスクを高用量(10mg)に増量した際に多くみられています。
一部の臨床試験では、有効成分アムロジピンとして5mgは0.65%(1例)、10mgは3.31例(5例)の頻度でむくみが発現したと報告されています。
便秘や吐き気など消化器の副作用について。
頭痛やむくみなどの症状と比較すると稀ではありますが、ノルバスクの服用により胃腸などの消化器に副作用が生じる場合があります。
消化器症状の中では、便秘および嘔気(吐き気)が主な副作用です。その他には、口の渇きや下痢、歯肉肥厚、胃痛などが報告されています。
歯肉肥厚(歯茎の腫れ)は、ノルバスクを長期服用した際にみられます。歯茎の腫れはブラッシングなどで口内環境を清潔に保つことで予防できると考えられています。ノルバスクの副作用として歯茎が腫れた場合には、服薬を中止して医師に相談してください。
まれに起こるノルバスクの副作用
まれに下記の症状がノルバスクの副作用として生じることがあり、重症化する可能性がある副作用は、初期症状に注意してください。重症化するおそれがある副作用の症状がみられた場合は、ノルバスクの服用を中止して、医師の診察を受けてください。
- <まれに起こる副作用>
- 肝機能障害、黄疸、房室ブロック、劇症肝炎、無顆粒球症、横紋筋融解症など。
重症化するおそれがある副作用。
2016年にノルバスクとの因果関係が否定できない劇症肝炎が1例報告されています。劇症肝炎は進行性の黄疸を起こし、発熱や全身倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、などの自覚症状があります。また、抑うつや多幸などの神経症状を起こし、後に昏睡状態に至ります。劇症肝炎は早期発見・早期治療が必要ですので、発症が疑われる症状が出た際には、すぐに医師の診察を受けてください。
薬が原因となる肝障害は、初期に38〜39℃の発熱や発疹などのアレルギー症状があらわれた後、徐々に強まる全身けん怠感と吐き気などの消化器官に関わる症状がみられます。薬剤投与から2週間以内に発熱がみられ、約3週間で発疹、約1ヵ月で消化器症状や黄疸が発現するケースが多くなります。
肝障害はノルバスクの開発時と承認後6年間の調査から、0.17%という発症頻度が報告されています。
無顆粒球症になると免疫が低下し、細菌に感染しやすくなってしまいます。突然の高熱や悪寒、全身の違和感などに注意してください。
房室ブロックは高用量(10mg)を含む長期投与試験において確認されています。初期症状には徐脈やめまい、湿疹があります。房室ブロックは心電図により確定診断されますので、初期症状を自覚した際には病院で検査を受けてください。
横紋筋融解症の自覚症状は手足の脱力、しびれ、痛み、赤褐色尿などです。急性腎不全を合併することがありますので、これらの症状に注意してください。
ED(勃起不全)の症状を訴えるケースが報告されています。
ノルバスクの副作用としてED(勃起不全)が報告されています。降圧薬は薬剤性EDを起こすことが知られていますが、カルシウム拮抗薬によるEDの発生機序は分かっていません。EDとおぼしき症状がみられた場合は、医師に相談して適切に対処してください。
不整脈やがんを起こすリスクはあるのか
臨床試験および発売後の使用成績調査では確認されていませんが、ノルバスクの服用中に心室性頻拍を含む不整脈や心筋梗塞がみられたという報告があります。不整脈や心筋梗塞がノルバスクによる副作用なのかは明らかにされていません。そのため、発生リスクが0とは言い切れませんが、頻度としてはごくまれであると考えられます。
同様に、因果関係は不明とされておりますが、ノルバスクの長期投与によって発がん性リスクを高めることが指摘されています。アメリカの研究論文によると、カルシウム拮抗薬を10年以上服用している55〜74歳の女性において、乳がんを発症するリスクがおよそ2倍になると発表されています。
その他にもノルバスクの発がん性を指摘する研究はいくつかありますが、インタビューフォームに記載されている24ヶ月にわたる投与試験では発がん性リスクは認められず、少なくとも2年間の服用であれば発がん性のリスクを心配する必要はないと考えられます。