チャンピックスの副作用「吐き気、変な夢、不眠症」について
チャンピックスの主な副作用には吐き気、便秘、異常な夢、不眠症、頭痛があり、特に吐き気は比較的多く報告されています。これらの副作用は通常軽度から中等度で、治療の必要もなく回復することが多いです。また、性別、年齢、腎機能の違いにより副作用の発生リスクが変わることがあります。
精神神経系の副作用も報告されており、不眠症や異常な夢などが含まれます。まれに重症化する可能性のある副作用として、皮膚粘膜眼症候群や肝機能障害などがあり、早めの処置が必要になる場合があります。

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チャンピックスの主な副作用
チャンピックスはニコチンを配合しない禁煙補助薬として多くの患者に使用されています。主な副作用として、以下のような症状が報告されています。
- <主な副作用>
- 嘔気(吐き気)、異常な夢、不眠症、頭痛など。
吐き気や便秘などの胃腸症状について。
報告されている副作用で発生頻度が高い症状は、吐き気や便秘などの胃腸症状です。
嘔気(吐き気) | 12.7% |
便秘 | 6.8% |
腹痛 | 4.8% |
下痢 | 2.6% |
腹部膨満 | 2.2% |
嘔吐 | 1.8% |
チャンピックスの副作用として報告されている吐き気は、軽度または中等度です。大半は治療の必要もなく回復します。
吐き気の副作用は男性よりも女性に出現しやすい傾向が見られます。高齢者や喫煙年数が長い方、腎機能が低下している方においても、吐き気の副作用が多く確認されています。吐き気の発生リスクが高いと考えられる方では、処置が必要になることがあります。この場合は処置として、8日目以降に使う薬剤を半分の用量(1回につき0.5mg)に調整します。上記に該当する方は医師に相談してください。
吐き気はいつまで続くのか
吐き気はチャンピックスの服用を始めてから1〜2週目に発現することが多く、比較的初期にみられる副作用です。その後は時間が経つにつれて発現率が低下していきます。
吐き気の対処・対策はあるか
吐き気の副作用は、制吐剤(吐き気止め)を併用することで抑えることができます。
他にも、チャンピックスを多めの水(コップ1杯程度)と一緒に飲んだり、必ず食後に飲むようにすれば予防策になります。
なぜ吐き気がおきるのか
チャンピックスはニコチン受容体に作用することで禁煙欲求を低下させます。この際に神経伝達物質であるドーパミンが放出されて、脳にあるドーパミン受容体を刺激します。刺激が延髄にある嘔吐中枢(VC)に伝わると、吐き気や嘔吐が発現します。
便秘の副作用について
吐き気に比べて頻度は低くなりますが、便秘もチャンピックスの主な副作用です。
便秘は禁煙時の離脱症状としてもあらわれることがあります。食物繊維を意識的に摂取したり、軽い運動をして腸の動きを活発にすれば便秘は解消されます。できるだけ早く便秘を治したい場合は、制酸剤や緩下剤を使用してください。
異常な夢や不眠症、頭痛など精神神経系の副作用について。
チャンピックスによる精神神経系の副作用として、主に以下の症状が報告されています。
- 不眠症
- 異常な夢
- 頭痛
- 味覚異常
- 易刺激性(イライラする、怒りっぽくなる状態)
- 傾眠(ふらつくほどの眠気)
易刺激性や抑うつなどの精神障害も、チャンピックスの副作用として報告されています。これらの症状は異常な夢や不眠症に比べて発生頻度が低く、めったに起こることはありません。
その他にも、あまり起こらない副作用として以下の症状が報告されています。
- 胸の痛み
- 倦怠感
- 口の渇き
- のどの刺激感、せき
- かゆみ、発疹
日本国内で実施された臨床試験における発症頻度は、いずれも1%未満となっています。
悪夢や変な夢の副作用について
チャンピックスを服用すると、普段とは違った変な夢を見ることがあるなどが報告されています。時には悪夢と表現されるような怖い夢を見るケースもあります。
チャンピックスの使用による異常な夢には、鮮明であることや夢を見る回数が増えるなどの特徴があります。このような夢に現れる異常は、前脳にあるドーパミン回路の科学的活性化により誘発されると考えられています。チャンピックスの作用によりドーパミンが放出されることで、ドーパミン回路が活性化して夢の異常が起こりうると考えられています。
不眠症の副作用について
日本国内で行われたチャンピックスの臨床試験では、4%の方で不眠症の副作用が確認されています。不眠症には、以下の3つの症状が含まれます。
- 床に就いた後なかなか眠れない入眠障害
- 夜中に目が覚める中途覚醒
- 眠りが浅いと感じる熟眠障害
禁煙開始直後から1週間ほどは、離脱症状として不眠症が発現することもあります。長期間不眠が続く場合には、夜の服用を中止するなど、チャンピックスの用量を減らすことを検討します。
頭痛など神経系障害に関する副作用
チャンピックスの副作用には頭痛や傾眠、味覚異常などの神経系障害もあります。特に頭痛は比較的出現しやすい症状です。頭痛には、ロキソプロフェンなどの鎮痛薬を併用すれば痛みを軽減できます。
まれに起こるチャンピックスの副作用
まれに下記のような副作用が発現して重症化するおそれがあります。
初期症状に注意して早めにチャンピックスの服用を中止するなど適切な処置を行ってください。
- <まれに起こる副作用>
- 皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)、多形紅斑、血管浮腫、意識障害、肝機能障害、黄疸
スティーブンス・ジョンソン症候群と多形紅斑は、全身の広範囲に発赤や発疹などが出現する皮膚疾患です。皮膚炎や薬疹などが出現した際は、これらの皮膚疾患の初期症状である可能性があります。この場合はチャンピックスの服用を止めて医師に相談してください。
顔面などのむくみは血管浮腫が疑われます。皮膚や白目が黄色くなることや尿の色が濃くなる、食欲不振などの症状は肝機能の悪化を示しています。
意識障害には意識レベルの低下や意識消失などの症状があてはまります。日本では意識レベルの評価にJapan Coma Scale(JCS)が使われています。JSCでは意識レベルを1〜3、10〜30、100〜300に分類して、数字が大きいほど重度の意識障害を示しています。
車の運転などに支障をきたす副作用
チャンピックスの服用中は、自動車の運転など危険を伴う機械の操作を避けてください。
チャンピックスにはめまいや眠気といった副作用の他に、ぼーっとするなど意識障害が生じるおそれがあります。車の運転中や危険をともなう機械の操作中に発生した場合、思わぬ事故の原因となります。非常に危険ですので必ず守りましょう。
日本国内で実施された臨床試験では、傾眠(眠気)が1.6%、めまいが0.8%の頻度で発生しています。これらの副作用が車の運転中などに出現することは稀ですが、発生してしまった場合のリスクを考えて注意が促されています。自動車の運転などが避けられない場合には、ニコテックスなど別のニコチン置換療法を検討してください。
チャンピックスの出荷停止について
2021年5月にファイザー社から出荷された「チャンピックス1mg錠、製造番号:EP9481」において、発がん性の可能性があるニトロソアミンが、基準値を超えて含まれていることが分かりました。この影響で、該当のチャンピックス1mg錠は自主回収対象製品となり、現在、新たな製品の出荷を全世界的に停止しています。
なお、出荷再開時期の目安は2022年後半とされていましたが、現時点で再開の目途は立っていません。
ファイザー社は「本製品による健康被害の可能性は低い」としています。併せて、現在チャンピックスを服用中の方は自己判断で服用を中止せず、医師や薬剤師に相談するよう呼びかけています。
チャンピックスの供給再開はいつ?出荷停止の理由と代替薬、今後の見通し
- チャンピックスの出荷停止に関する販売企業(Pfizer)からの案内文書
- 2022年08月:チャンピックス錠出荷停止継続のお詫びとご案内
- 2021年11月:チャンピックスの供給(出荷保留継続)に関するご案内とお詫び
- 2021年07月:チャンピックスの回収に関するご案内とお詫び
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チャンピックスの副作用まとめ
チャンピックスは禁煙補助薬として有効ですが、吐き気や便秘などの胃腸症状、異常な夢や不眠症、頭痛などの精神神経系の副作用が報告されています。これらの副作用は、服用初期に多く発生し、適切な対処法や予防策を用いることで管理可能です。
また、まれに重篤な副作用が発生することがあり、異変を感じた際には速やかに医師の診察を受けることが重要です。車の運転など危険を伴う活動は副作用により危険性が増すため、避けるべきです。
禁煙への一歩を踏み出す際には、これらの情報を理解し、医師と相談しながら利用することが推奨されます。