ザイザルの効果「花粉症に効きはじめる時間・効果の持続時間」について
ザイザル(レボセチリジン塩酸塩)は、アレルギー性鼻炎や蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹、皮膚炎など)の治療に用いられる抗ヒスタミン薬です。主に花粉症や季節性、通年性のアレルギー性鼻炎の症状緩和、さまざまな皮膚疾患の症状軽減に効果を示します。
服用後1時間で効果が現れ、1日1回の定期的な服用で体内の成分濃度が安定し、持続的な効果を発揮します。比較的新しい抗ヒスタミン薬としての位置づけであり、即効性には優れているものの、持続時間は他の類似薬剤と比較して短い可能性があります。
眠気などの副作用が出にくいとされており、日中活動中でも使用しやすい特徴を持っています。
ザイザルの効果と効能
- 効能・効果
- アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹、皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症)
- (1) 花粉症など季節性の鼻炎および通年性のアレルギー性鼻炎の症状緩和に有効です。
(2) 蕁麻疹、湿疹や皮膚炎などの皮膚疾患の症状を和らげます。
ザイザルは、アレルギー症状を緩和する抗ヒスタミン薬です。アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎、じんましん、湿疹などアレルギー症状全般に効果を示します。
基本的な効果・効能はザイザルと同一の有効成分を含むジェネリックでも同じです。
服用後1時間で効果を発揮
ザイザルは、服用後すぐに効果を発揮する特徴があります。
ザイザル(レボセチリジン塩酸塩)5mg錠を服用すると、効果は1時間ほどで現れます。もちろん、一回飲んだきりでは、7〜8時間後には効き目が弱まってしまいます。(レボセチリジン塩酸塩5mgの消失半減期は約7.3時間)
ザイザル5mg錠を1日1回のペースで服用し続けることで、2日後には体内の成分濃度が安定してきます。薬の効果が弱まることなく、常に安定した効き目を発揮します。
花粉症のシーズンがはじまる直前から飲み始めることで、鼻炎などの症状を上手に抑えることができます。
ザイザルの効果を他の抗ヒスタミン薬と比較
以下は、2010年以降に発売された最新の抗ヒスタミン薬とザイザルで「Tmax」と「T1/2」を比較したものです。
- Tmax
- 即効性の目安になる指標。血中の成分濃度が最高値になるまでの時間を示している。
- T1/2
- 持続性の目安になる指標。血中の成分濃度が半減するまでの時間を示している。
薬剤名 | Tmax | T1/2 |
---|---|---|
ルパフィン | 0.91時間 | 20.65時間 |
ビラノア | 1.0時間 | 10.54時間 |
デザレックス | 1.75時間 | 19.5時間 |
ザイザル | 1.0時間 | 7.33時間 |
ザイザルは即効性に優れる反面、持続時間では他の抗ヒスタミン薬に劣っています。
即効性と持続性で共にザイザルを上回っているのがルパフィンです。強力な効果が期待できる反面、眠気の副作用がザイザルよりもやや出やすいです。
ザイザルと比べて眠気が出にくいのが、ビラノアとデザレックスです。特にビラノアではザイザルと同等かそれ以上の効果が期待できます。海外におけるビラノアの販売名は「ビラクステン」です。
アレルギー反応を抑制
鼻炎や皮膚炎などのアレルギーは、ヒスタミンという体内物質が原因で発症します。
抗原の刺激でアレルギー反応が起こると、体内の細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が分泌されます。このヒスタミンが神経受容体と結合することで、くしゃみや鼻水などの鼻炎、かゆみ・湿疹といった皮膚炎などさまざまなアレルギー症状が発症します。
ザイザルには、ヒスタミンと結びつく受容体をブロックする働きがあります。ヒスタミンと受容体の結合を妨害することで、ザイザルはアレルギー症状を緩和することができるのです。
疾患名 | 改善率(改善数/総症例数) |
---|---|
アレルギー性鼻炎 | 49.6%(66/133) |
蕁麻疹 | 77.3%(211/273) |
湿疹・皮膚炎 | 65.9%(81/123) |
痒疹 | 57.7%(30/52) |
皮膚そう痒症 | 74.5%(41/55) |
ザイザルは、アレルギー性鼻炎やアレルギー性皮膚炎、じんまんしん、湿疹などアレルギーが原因で起こる不快症状に広く効果を発揮します。ただし、ザイザルはあくまで対症療法薬であるため、アレルギーの原因そのものを治療することはできません。
通年性アレルギー性鼻炎を改善する効果
海外で実施された臨床試験において、ザイザルは通年性アレルギー性鼻炎に対し、投与1週目で効果をあらわしました。
臨床試験では、ダニによる通年性アレルギー鼻炎を持つ294名の患者を2グループに分け、ザイザルを150名の患者に、プラセボ錠を144名の患者にそれぞれ投与しました。
すると、投与1週目にしてくしゃみ発作や鼻汁、鼻のそう痒(かゆみ)、目のそう痒など4つの症状の合計スコア(T4SS)の平均変化量が、プラセボを投与されたグループが1.41なのに対し、ザイザルを投与されたグループは2.63もの値を出しました。
また、6週間に及ぶ全治療期間においても、それぞれの平均変化量はプラセボが2.18、ザイザルが3.40という結果になりました。このことから、ザイザルが通年性アレルギー鼻炎の症状の改善に有効であることが分かりました。
急性蕁麻疹や慢性蕁麻疹にも効果を発揮
ザイザルには、原因を特定できない蕁麻疹の症状を改善する効果があります。
蕁麻疹とは、皮膚の一部に突然激しいかゆみが起こり、短時間で跡を残さず消えるということを繰り返す皮膚の病気です。蕁麻疹は、皮膚の肥満細胞が何らかの原因によって急激に脱顆粒し、ヒスタミンなどのかゆみをもたらす物質が放出されることで起こります。
蕁麻疹は発症する原因によって、抗ヒスタミン薬が効果をあらわすかどうかが異なります。たとえば、機械的な刺激や寒冷性の刺激、日光や熱で起こる蕁麻疹などには抗ヒスタミン薬は効きません。発症の原因を特定できる蕁麻疹は、原因の除去や回避によって発症を抑えることが可能です。
抗ヒスタミン薬が効果を現す蕁麻疹は、発症の原因が明らかでないものに限ります。ストレスが原因とされる急性蕁麻疹や慢性蕁麻疹は、ザイザルのような抗ヒスタミン薬を服用することで症状が改善します。臨床試験でも、原因が明らかでない蕁麻疹に対して、抗アレルギー薬は約8割の患者に有効でした。
花粉症・季節性アレルギー性鼻炎にも効果的
アレルギー性鼻炎やアレルギー性皮膚炎を改善するのに役立つザイザルですが、花粉症にも高い効果が期待できます。
花粉症は、別名「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれています。花粉症の原因は、スギなど植物の花粉が鼻腔内に入り込み、鼻の細胞内にあるマスト細胞とくっつくことです。アレルゲンがマスト細胞とくっつくと、ヒスタミンやロイコトリエンなどの物質が放出され、鼻水やくしゃみといった不快な症状が現れてしまうのです。
ザイザルにはヒスタミンの受容体をブロックする働きがあるため、花粉症にも高い効果を発揮します。
また、ザイザルは抗ヒスタミン薬と呼ばれる種類の薬の中で比較的効果が強く、即効性もあるのが特徴です。

服用すればすぐに花粉症の症状が和らぎ、眠気などの副作用も起きづらいことから、日中でも安心して服用できる花粉症の治療薬といえます。
ザイザルの効果まとめ
ザイザルは、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、および様々な皮膚疾患に対する治療薬として広く使用されています。服用後約1時間で効果が現れるという即効性の高さが特徴であり、1日1回の服用で体内の成分濃度を安定させ、持続的な効果を提供します。
臨床試験では、アレルギー性鼻炎や蕁麻疹などに対して高い改善率を示しており、特に通年性アレルギー性鼻炎の症状改善にも有効であることが確認されています。また、花粉症や季節性アレルギー性鼻炎への効果も高く、ヒスタミン受容体をブロックすることによって、アレルゲンによる症状を軽減します。
即効性と副作用の少なさを兼ね備え、日常生活においても利用しやすい点が、ザイザルの大きな利点です。ただし、その効果の持続時間が他の抗ヒスタミン薬に比べて短い可能性があるため、個々の症状や生活スタイルに合わせた適切な使用が推奨されます。