ゾビラックスの効果「ヘルペスと帯状疱疹の治療」について
ゾビラックスの効果・効能
- 効能・効果
- 単純疱疹、造血幹細胞移植における単純ヘルペスウイルス感染症(単純疱疹)の発症抑制、帯状疱疹
ゾビラックスには、単純疱疹や帯状疱疹の病原体であるヘルペスウイルスの増殖を抑制する効果があります。ウイルスの増殖を最小限に留めることで、病変の拡大や重症化を防ぎます。早期に服用することで治癒までの期間を短縮したり、水ぶくれなどの皮疹の出現を未然に防ぐといった効果が得られます。
ゾビラックスの有効成分アシクロビルは、DNAの複製を阻害することで抗ウイルス作用を発揮します。アシクロビルが作用するには、ウイルスに感染した細胞内でリン酸化という反応を受けて活性化する必要があります。非感染細胞ではリン酸化が起こりませんので、アシクロビルが正常な細胞に悪影響を及ぼす心配はありません。
性器・口唇ヘルペスに対する効果
有効率 | 89.2%(552/619例) |
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単純疱疹とは、HSV-1またはHSV-2への感染でおきる「性器ヘルペス」や「口唇ヘルペス」のことです。単純疱疹に対する9割の有効率が認められているゾビラックスには、性器・口唇ヘルペスに対する優れた治療効果が期待できます。
あくまで一時的にウイルスを抑えて症状を和らげる薬ですので、ヘルペスを完全に根治する効果はありません。
性器・口唇ヘルペスに対してゾビラックスを用いることで、皮疹の拡大を抑えて、治癒までの期間を1〜2日ほど短縮できます。
重症化しやすい初感染時の性器ヘルペスにおいては、自然治癒では2〜3週間かかりますが、ゾビラックスを用いた場合には1〜2週間ほどで治癒が見込めるようになります。
早期の服用で皮疹の出現を防げる
再発性のヘルペスに対しては、早期の服用によって皮疹の出現を未然に防げる場合もあります。ヘルペスでは、神経細胞で増殖したウイルスが皮膚表面に到達することで、水ぶくれなどの皮疹が形成されます。早期服用により、ウイルスの増殖が神経細胞の段階で止められることで、皮膚症状が最小限に抑えられます。
再発性のヘルペスでは、発症前にムズムズやチクチクとした違和感である前駆症状を感じることがあります。皮疹の出現を予防するには、前駆症状を感じた時点ですぐにゾビラックスの服用を始めるのが効果的です。
外用薬の届かないウイルスにも効く
抗ウイルス薬には軟膏やクリームといった外用薬もありますが、その効果はゾビラックス(錠剤)のような内服薬に劣ります。
内服薬が皮下の神経細胞にいるウイルスの活性を抑えるのに対して、外用薬が作用するのは皮膚の表面のみです。外用薬にも患部を保護する程度の効果はありますが、治癒までの期間を早めたりといった効果は期待できません。
帯状疱疹に対する効果
有効率 | 93.4%(142/152例) |
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ゾビラックスには帯状疱疹の病原体である「水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)」に対する抗ウイルス効果が認められており、臨床試験では9割以上の優れた有効率が確認されています。
帯状疱疹に対しては、新たに発疹が増えるのを抑えつつ、患部の治癒を促進する効果を示します。ウイルスの増殖を抑制して神経の炎症を防ぐことで、急性期の痛みも緩和します。
早期にゾビラックスを服用することで、後遺症である「帯状疱疹後神経痛」を予防する効果も得られます。
ゾビラックスの効果が出るまでには2日程度かかります。飲み始めてすぐの段階では、しばらく皮疹が増え続けることもありますが、決められた期間は飲み続けることが大切です。
痛みの消失を早める効果はバルトレックスに劣る
帯状疱疹による痛みが消失するまでの日数について、同じ抗ウイルス薬であるバルトレックスとの比較試験が行われています。各薬剤が投与されたグループの疼痛が消失するまでの期間の中央値が検証された結果、ゾビラックスは51日だったのに対して、バルトレックスでは38日でした。疼痛が消えるまでの期間について、バルトレックスの方が10日以上も早いことが実証されました。
バルトレックスは、もともとゾビラックスの有効成分の吸収効率を改良して作られたプロドラッグと呼ばれる薬です。服用回数が少ないといったメリットもあることから、帯状疱疹に対してはゾビラックスよりもバルトレックスの方が使用される機会が多いです。
ゾビラックスが効かない場合
ゾビラックスが効かない場合の理由としては、服用の遅れが考えられます。ゾビラックスのような抗ウイルス薬は、ウイルスの増殖が最も活発である発症初期に服用することが重要です。
再発性のヘルペスおよび帯状疱疹では、服用のタイミングの目安が示されています。
治療の対象 | 服用のタイミング |
再発性ヘルペス | 帯状疱疹 |
発症から1日以内 | 発症から3日以内 |
上記のタイミングを逃してしまった場合、ゾビラックスの効果が十分に発揮されません。
再発性のヘルペスでは、発症から6時間が経過した時点で抗ウイルス効果が20%低下するとされているため、より早期の服用が重要となります。
耐性ウイルスが疑われる場合
ゾビラックスでは、一部の免疫不全患者において耐性ウイルス(薬が効き辛いウイルス)が確認されています。免疫機能が健常な患者ではほとんど報告されていませんが、万が一、耐性ウイルスが疑われる場合には別の薬を用いた治療が必要です。
ゾビラックスでは、各疾患の決められた服用期間を終えた時点で「症状が改善しない」もしくは「悪化している」場合には、他の治療に切り替えることとされています。