フラジールの効果「トリコモナス、腸炎、口臭の改善」について
フラジールの効果と効能
- 効能・効果
- トリコモナス症、嫌気性菌感染症、感染性腸炎、細菌性腟症、ヘリコバクター・ピロリ感染症、アメーバ赤痢、ランブル鞭毛虫感染症
- <適応菌種>
ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス・フラジリス、プレボテラ・ビビア、モビルンカス属、ガードネラ・バジナリス
フラジールには、トリコモナス症やアメーバ赤痢の病原体として知られている原虫に対する殺虫効果に加えて、嫌気性細菌と呼ばれる特殊な細菌への殺菌効果もあります。通常の抗菌薬では効きにくいような感染性腸炎やヘリコバクター・ピロリ感染症などの感染症に対しても治療効果を発揮します。
フラジールは、微生物の生命活動に欠かせないDNAやタンパク質の合成を阻害する作用と、DNA二重鎖を切断する作用を有しています。細胞に機能障害を及ぼすことで病原微生物の増殖を抑制して、最終的には死滅に導きます。病原微生物が消失することで、患部に起きている様々な不調が治まります。
トリコモナス症に対する効果
フラジールには、10日間の服用でトリコモナス症を完治させる効果が期待できます。
飲み始めて数日目からトリコモナス症に伴う陰部のかゆみや泡状のおりもの、悪臭などの症状が消退していきます。
原虫を完全に死滅させるには10日間の継続的な服用が必要です。仮に症状が治まったとしても途中で服用をやめてはいけません。
抗原虫効果に加えて細菌に対する殺菌効果もあるフラジールは、トリコモナス症の治療に極めて有用です。
原虫の感染で免疫力が低下した膣では、しばしば雑菌の二次感染に伴って症状が悪化します。特に魚が腐ったような悪臭の主な原因は、雑菌の繁殖と考えられています。
抗原虫・抗菌効果のあるフラジールは、トリコモナス症の病原体の除去と症状の治癒を同時に行うことができます。
96.4%の患者に症状の治癒が確認されています。

トリコモナス症に対するフラジールの効果の有効性は、販売前に行われた臨床試験によって実証されています。臨床試験ではトリコモナス症の患者337例に対してフラジールを使った治療を行った結果、96.4%(325/337例)に症状の治癒が確認されました。
臨床試験において9割以上の被験者に明確な治療効果が確認されたことで、トリコモナス症に対するフラジールの優れた有効性が証明されました。
治療後におけるトリコモナス症の再発リスクについては、臨床試験で原虫再出現率が検証されています。フラジールで治療を行ったトリコモナス症の患者284例のうち、原虫の再出現が報告されたのは14.1%(40/284例)でした。85.9%の患者では、フラジールを使った1回の治療で完治していることがわかります。
膣錠タイプと比べて再発率が低い
フラジールには膣内に直接挿入する膣錠タイプの薬もありますが、それ単体で治療をした際の原虫再出現率が30%近くにも及ぶことが分かっています。膣錠の効果が届く範囲は膣内に限られるため、感染が尿道など周りの器官にまで及んでいた場合には原虫が容易に残存してしまいます。
効果が全身に作用する内服タイプでは、より確実に完治が期待できます。
男性のトリコモナス症にも効く
フラジールは男性のトリコモナス症に対しても同様に、10日間の服用で治療効果を発揮します。
男性の場合はトリコモナスに感染しても無症状なことが多く、仮に症状が現れても尿道の痒みや排尿痛などの軽い症状であることがほとんどです。自覚症状だけで同じ性感染症であるクラミジアや淋病と見分けることは困難です。
男性は検査を受けてトリコモナス感染が確定したうえで、フラジールを使うべきといえます。(性交のパートナーのトリコモナス感染が判明した場合はその限りではありません)
トリコモナス症が治らない場合には再感染が疑われます。
フラジールを適切な用量で飲んだにもかかわらずトリコモナス症が治らないのであれば、まず疑われるのが性交のパートナーからの再感染です。特定の性交のパートナーがいる場合、高確率で双方に感染が起きています。この場合では、一人だけが治療をしても、もう一方が無治療では再感染を繰り返してしまいます。
性交のパートナーが男性の場合、本当は感染しているにも関わらず検査で陰性が出ることもあるという点に注意が必要です。女性に比べて、男性ではトリコモナスの検出が困難であるとされています。性交のパートナーがいる場合には、症状の有無にかかわらず同時に治療を行うことが大切です。
フラジールが効かない耐性株も少数存在する
ごく少数ではありますが、フラジールが効きにくい耐性トリコモナスも確認されています。
初回の治療が無効でなおかつ再感染の可能性がないのであれば、耐性トリコモナスが疑われます。
耐性トリコモナスに対しては、フラジールを高用量に設定して再治療を行うなどの処置が必要となります。高用量のフラジールを使った治療は、十分な治療経験のある医師のもとで行うべきとされています。
チニダゾール配合剤に変更することもある
フラジールを使った初回の治療で効果が見られなかった場合には、チニダゾール配合剤に切り替えることもあります。チニダゾールは、フラジールの有効成分メトロニダゾールと同じニトロイミダゾール系の薬剤です。
高用量の単回投与(薬を1回だけ飲む)によるトリコモナス症の治療が保険適用で認められており、効果・利便性ともに優れています。
トリコモナス症以外の疾患への効果
腸炎やアメーバ赤痢などへの高い効果が実証されています。
トリコモナス症以外の適応症に対するフラジールの効果については、販売後に実施された使用成績調査によって有効率が示されています。各疾患別の有効率は、感染性腸炎で85.4%(82/96例)、赤痢アメーバ症で94.3%(133/141例)、嫌気性菌感染症で72.4%(55/76例)でした。いずれも優れた有効率が示されたことから、フラジールのこれらの疾患の治療における有効性が実証されました。

口臭を除去する効果の有効性が認められています。
フラジールには、口臭を除去する効果があります。日本では口臭治療に対する適応は未承認ですが、日本国外では積極的に用いられている国もあります。フラジールが口臭を除去するメカニズムについてはまだよく分かっていませんが、悪臭の元となる嫌気性菌に対する抗菌効果が関係していると考えられています。
口臭除去に対する効果は、フラジールの有効成分メトロニダゾールとプラセボ(偽薬)と有効率を比較した臨床試験で検証されています。臨床試験では、強い口臭をはっきりと自覚している患者に対して、メトロニダゾール100mgまたはプラセボを1回1錠を1日2回、5日間投与し続けました。
試験の結果、メトロニダゾールの有効率が80.0%(36/45例)に対して、プラセボが43.3%(13/30例)でした。
メトロニダゾールとプラセボの有効率に明らかな差が確認された以上の臨床成績から、口臭に対するフラジールの効果が実証されました。