ミコナゾールが配合されている通販商品
ミコナゾールの禁忌事項
下記に該当する方はミコナゾールを使用しないでください。
- ミコナゾールに対して過敏症をおこしたことがある
- 妊婦または妊娠している可能性がある(経口用剤および注射剤のみ)
過去にミコナゾールを使用した際、発疹やかゆみなどの過敏症が生じた経験のある方は使うことができません。再度使用した際に、ショック・アナフィラキシーなどの重篤な過敏症を生じる危険があります。
妊婦がミコナゾールを摂取した際、胎児の流産や死亡の可能性を示唆する報告があります。妊娠している可能性が少しでもある場合、ミコナゾールの経口摂取または注射剤の使用を避けなくてはなりません。乳汁中にも成分が混じる可能性がありますので、授乳も中止する必要があります。
ミコナゾール(経口用剤および注射剤のみ)は下記の薬と併用できません。
- ワルファリンカリウム
- ピモジド
- キニジン
- トリアゾラム
- シンバスタチン
- アゼルニジピン
- ニソルジピン
- ブロナンセリン
- エルゴタミン酒石酸塩
- ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩
- リバーロキサバン
- アスナプレビル
- ロミタピドメシル酸塩
ミコナゾールを含有した経口用剤や注射剤では、上記に該当する薬との併用で血中濃度の上昇や出血、QT延長などの重い副作用が生じる危険があります。ミコナゾールは、一部の薬の代謝に使われるチトクロームP-450という酵素を阻害します。薬の血中からの消失が滞るため、高い血中濃度が維持されて併用した薬の作用が過度に増強されます。
ミコナゾールの働きと効果
- 効能・効果
- 白癬(足部白癬、体部白癬、股部白癬)、カンジダ症(指間びらん症、間擦疹、乳児寄生菌性紅斑、爪囲炎、外陰カンジダ症、皮膚カンジダ症)、癜風
一般名:ミコナゾール硝酸塩
水虫(白癬)、皮膚カンジダ症、癜風などの治療に使われる真菌症治療剤です。
真菌(カビ)の細胞膜や細胞壁の機能に障害を及ぼして、病原体を死滅させます。真菌症は手足や性器、体部、頭皮などの様々な部位に真菌が感染して繁殖することで引き起こされます。ミコナゾールで真菌を殺菌することで、かゆみや傷、水ぶくれなどの不快な症状が治癒します。
ミコナゾールには用途に応じた様々な剤形の薬が存在します。一般的に用いられているのは、主に水虫や性器カンジダの治療に使われるクリームや膣カンジダの治療に特化した膣座剤です。その他、口腔や食道に生じるカンジダの治療に使われる経口用剤や内臓に起きる深在性真菌症の治療に使われる注射剤などが存在します。
ミコナゾールは、白癬菌に対する優れた抗菌効果と、他の真菌に対する幅広い作用範囲を有するイミダゾール系の代表的な抗真菌薬です。水虫やいんきんたむしなどの起因となる白癬菌属や小胞子菌属、表皮菌属、カンジダ症の起因となるカンジダ属、肺や脳の真菌症を引き起こすアスペルギルスやクリプトコックスなどの真菌に対する優れた抗菌効果があります。
ミコナゾールの抗菌活性は、真菌だけでなく、グラム陽性菌や特定の嫌気性菌など一部の細菌に対しても有効であるとされています。
エルゴステロールの生合成を阻害して真菌の細胞膜に障害を及ぼします。
ミコナゾールは、病原真菌のエルゴステロールの生合成を阻害します。エルゴステロールとは、真菌の細胞を囲っている細胞膜を構成している主要な成分です。エルゴステロールが欠乏すると、細胞膜の機能に障害が生じて真菌の生育が抑えられます。
ミコナゾールが作用するのは、エルゴステロールの前駆物質であるラノステロールにおける脱メチル化反応です。ラノステロールは、チトクロームP450という酵素から誘導を受けることで脱メチル化して合成を進めます。ミコナゾールはチトクロームP450を阻害することで脱メチル化反応を妨げて、中間生成物であるラノステロールの時点で生合成を止めてしまいます。
ミコナゾールの臨床成績では76~100%の優れた有効率が示されました。
水虫や外陰カンジダ症を含む真菌感染症に対するミコナゾールの効果は、真菌感染症の患者560名を対象に行われた臨床試験*で証明されています。
臨床試験では、ミコナゾールを含有したクリームが1日2~3回患部に塗布されました。継続的な治療を行った後、真菌の消失率と症状の改善率からミコナゾールの総合的な有効率が示されました。
臨床試験の結果、いずれの疾患においても76~100%の優れた有効率が示されました。
疾患名 | 有効率 | 症例数 |
---|---|---|
足の水虫 | 81.8% | 54/66 |
股の水虫(いんきんたむし) | 92.1% | 35/38 |
体の水虫(ぜにたむし) | 88.0% | 44/50 |
皮膚カンジダ症 | 100% | 28/28 |
外陰カンジダ症 | 100% | 20/20 |
爪囲炎 | 76.7% | 23/30 |
指間びらん症 | 97.1% | 33/34 |
間擦疹 | 90.9% | 70/77 |
癜風 | 95.7% | 22/23 |
※出典:リンク先、販売名:フロリードDクリーム1%のインタビューフォームを参照
ミコナゾールは、フロリードDクリームを先発薬とした水虫の治療薬の有効成分として配合されています。
- ミコナゾールが配合された水虫の治療薬
- 先発薬:フロリードDクリーム(持田製薬)
- 後発薬:ミコゲルクリーム(シプラ)
ミコナゾールの副作用
副作用
経口用剤では吐き気、嘔吐、食欲不振、口腔内疼痛などが生じることがあります。外皮用剤では発赤、紅斑、かゆみ、痛み、刺激感、かぶれ、乾燥、亀裂などが生じることがあります。膣用剤ではまれに膣にかゆみ、発赤、痛み、灼熱感、刺激感などが生じることがあります。
以下はフロリードDクリームのインタビューフォーム*に記載されていた副作用の発現率です。
副作用の症状 | 発現数 | 発現率 |
---|---|---|
発赤・紅斑 | 102例 | 0.35% |
かゆみ | 60例 | 0.21% |
接触性皮膚炎 | 38例 | 0.13% |
びらん | 24例 | 0.08% |
刺激感 | 21例 | 0.07% |
小水疱 | 20例 | 0.07% |
ミコナゾール配合の外用剤で見られる主な副作用は、患部の赤みやかゆみなどといった皮膚症状です。副作用の発現頻度は低く、仮に現れたとしても軽い症状であることがほとんどです。ただちに使用の中止が必要となるような重大な副作用は報告されていませんが、薬液に触れた部位のカブレが酷い場合にはミコナゾールの使用を中止して医師に相談してください。
膣のかゆみ | 6例 | 0.07% |
発赤 | 4例 | 0.05% |
疼痛 | 4例 | 0.05% |
灼熱感 | 2例 | 0.02% |
刺激感 | 2例 | 0.02% |
吐き気 | 15例 | 0.52% |
口腔内疼痛 | 9例 | 0.31% |
嘔吐 | 6例 | 0.21% |
悪心 | 6例 | 0.21% |
口腔内異常感 | 5例 | 0.17% |
味覚異常 | 5例 | 0.17% |
ALT(GPT)上昇 | 4例 | 0.14% |
ミコナゾール配合の経口剤では、主に吐き気や嘔吐などの胃腸症状が見られています。体内にほとんど吸収されないため、強い副作用が出ることは稀です。その他、口腔内の薬を塗布した部分の痛みも副作用として報告されています。
悪心 | 55例 | 4.02% |
嘔吐 | 36例 | 2.63% |
食欲不振 | 22例 | 1.61% |
発熱 | 20例 | 1.46% |
ALT(GPT)上昇 | 18例 | 1.32% |
発疹 | 18例 | 1.32% |
ミコナゾール配合の注射剤では、ショック・アナフィラキシーや肝機能障害、急性腎障害、QT延長、白血球減少などの重大な副作用が報告されています。ショック・アナフィラキシーでは、血圧降下や呼吸困難などの初期症状の発現に注意が必要です。その他の副作用に関しては、定期的に検査を行い異常が認められた場合には適切な処置が必要となります。
- 使用に注意が必要な人(注射剤のみ)
- <本人または家族がアレルギーを起こしやすい>
気管支喘息や発疹、蕁麻疹などのアレルギーを起こしやすい方では、ミコナゾールが注射された際にアナフィラキシーショックなどの過敏症が生じるリスクが高くなります。本人だけでなく、親や兄弟がアレルギーを起こしやすいという方にはミコナゾールの慎重な投与が必要とされています。 - <薬剤性過敏症をおこしたことがある>
以前に何らかの薬を使用した際に、痒みや発疹などの過敏症が生じた経験のある方でもミコナゾールによるアナフィラキシーショックが生じるリスクが高くなります。 - <肝障害または腎障害のある患者>
上記疾患に該当する場合、症状が増悪するおそれがあります。ミコナゾールを注射剤として投与した際に、肝障害や腎障害などの有害事象が報告されています。
- 併用注意薬(外用剤)
- <ワルファリン>
血栓塞栓症の治療に使われます。ワルファリンの作用を増強するおそれがあります。ミコナゾールがワルファリンの代謝を阻害するためです。外用剤としてミコナゾールを使う場合には十分に注意した上での併用は可能ですが、ミコナゾールを経口剤や注射剤から摂取する場合には併用禁忌とされています。 - 併用注意薬(経口用剤および注射剤)
- <経口血糖降下剤、フェニトイン、カルバマゼピン、ドセタキセル、パクリタキセル、イリノテカン塩酸塩水和物、シクロスポリン、タクロリムス水和物、アトルバスタチン、ビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍剤、ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗剤、ベラパミル、シルデナフィル、アルプラゾラム、ミダゾラム、ブロチゾラム、メチルプレドニゾロン、セレギリン、エバスチン、イマチニブメシル酸塩、ジソピラミド、シロスタゾール、HIVプロテアーゼ阻害剤>
上記に該当する薬は、ミコナゾールとの併用で過度な作用の増強や血中濃度の上昇が生じるおそれがあります。ミコナゾールが代謝酵素であるチトクロームP450を阻害することで、併用薬の血中からの消失が妨げられます。ただし肺結核に使われるリファンピシンに限っては、逆にミコナゾールの血中濃度を低下させる可能性が示唆されています。これらの薬との併用に注意が必要なのは、ミコナゾールを配合した経口用剤と注射剤のみです。
- ミコナゾールと関連する成分
- クロトリマゾール
カンジダや水虫などの真菌が原因で起こる感染症の治療に効果的です。皮膚疾患にはクリーム薬、膣カンジダ症には直接患部に届く膣錠が有効です。 - テルビナフィン
白癬菌、カンジダ菌、癜風菌などに有効な真菌症治療剤です。足や股部の水虫・たむし、皮膚カンジダ症の治療に用いられます。 - イトラコナゾール
体内に留まりやすい特性がある真菌症治療剤です。主に水虫、皮膚カンジダ症、癜風の治療に使われます。外用薬ではなかなか治らない爪水虫などに有効です。 - ケトコナゾール
手足、爪、股、頭皮などの様々な部位に起こる真菌症を改善する真菌症治療剤です。日本で唯一、脂漏性皮膚炎に対する適応が認められている薬です。 - フルコナゾール
真菌を殺菌する作用がある治療薬です。膣カンジダの治療効果に優れており、深在性真菌症の予防にも用いられます。カンジダに起因する膣炎および外陰膣炎の症状改善に有効です。