男性型脱毛症(AGA)がよくわかる疾患ガイドページ

男性型脱毛症(だんせいがただつもうしょう)とは?
男性型脱毛症は、思春期頃から時間とともに毛髪が失われていく脱毛症の一種です。Androgenetic Alopeciaを略してAGA(エージーエー)とも呼ばれています。
男性特有の脱毛症である男性型脱毛症は、悪玉男性ホルモンであるDHTが原因となって、抜け毛や薄毛を発症します。AGAは進行性の疾患ですので、放っておくと薄毛がどんどん進行してしまいます。
前頭部や頭頂部などの薄毛は外見を大きく左右するため、多くの人が男性型脱毛症に悩んでいます。しかし最近は医学的にAGA発症の原因究明などが進み、男性型脱毛症に有効な治療法も開発されました。早い段階で治療を行えば、AGAによる薄毛の進行の予防や改善が可能です。
AGA・薄毛の治療薬で男性型脱毛症の症状は改善されます。
生え際、つむじが薄くなっていく男性型脱毛症(AGA)の症状

AGAの特徴的な症状は、前頭部(生え際)と頭頂部(つむじ周辺)に見られる抜け毛および薄毛です。これはAGAの原因となる酵素が前頭部と頭頂部に多く分布しているためです。
男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)が毛髪の成長を短縮させることによって、抜け毛や薄毛といった男性型脱毛症の症状が起こります。本来は長い時間が費やされる毛髪の成長期が短くなり、短かった毛包の休止期間が長引きます。
AGAを発症してから症状が進行する流れ。
AGAの初期症状として、毛髪が十分に成長しないうちに毛包が活動を休止するため、細くて短い軟毛が多くなります。軟毛は成長期が短縮された状態の毛髪ですので、AGAになってから早い段階で抜け毛となってしまいます。それらが抜け落ちても、毛包はなかなか活動を再開しません。
男性型脱毛症を発症すると抜け毛や軟毛が一方的に増えていくため、全体的なボリュームが減り、やがて前頭部や頭頂部に薄毛が見られる段階に至ります。薄毛の範囲は広がり続けますが、毛髪の成長は追いつかないままです。AGAの症状が進行して男性型脱毛症が悪化すると、最終的に皮膚表面に毛髪が見られなくなります。
AGAの症状でみられる頭頂部と前頭部の薄毛の特徴。

AGAの発症部位には共通性がみられ、まず前頭部から側頭部にかけて脱毛が始まるパターンが一般的です。さらに細かく分けると、AGAには両サイドの生え際がM字型に薄くなるタイプ(M字ハゲ)と、生え際が全般的に後退するU字型(U字ハゲ)があります。
AGAの初期症状では前髪の生え際が薄くなり、やがて前頭部の毛髪は失われ復活しません。AGAが進行すると生え際が後退し始め、脱毛範囲は頭頂部へと広がります。つむじ付近の毛髪も薄くなり、最終的に前頭部と頭頂部全体の毛髪が失われます。人によってはAGAを発症して早い段階で頭頂部が薄くなり、いわゆるO字型の薄毛(O字ハゲ)となります。
最終的に側頭部と後頭部にのみ頭髪が残っているのが、典型的なAGAの特徴です。
薄毛を引き起こすAGAの3大原因
AGAの原因は究明されてきているものの、発症する直接的な原因を特定することは難しいのが現状です。AGAを引き起こす要因は複数あり、いずれかが引き金となってAGAを発症するといわれています。
AGAの原因となりうるのは主に以下の3つです。
男性ホルモンDHTの増加がAGAの原因になります。
AGAの主な原因の1つが、男性ホルモンです。
ヒゲや胸毛は男性ホルモンにより成長を促され濃くなりますが、頭髪の場合、発育が鈍くなると指摘されています。頭部に吸収されるホルモンが、毛髪の成長サイクルを乱してしまうためです。
頭髪やヒゲを育成する毛包は、毛乳頭細胞に男性ホルモンの受け皿となる受容体があり、頭部などに運ばれた男性ホルモンと結合します。これはテストステロンと呼ばれる男性ホルモンですが、このままでは受け入れられません。このホルモンが頭皮にある酵素の作用によりジヒドロテストステロン(DHT)という種類に変換されたとき、毛乳頭の受容体と結合されます。
DHTと結びついた毛乳頭はヒゲなどの成長因子を刺激する一方、頭髪に対しては毛母細胞の増殖を抑制します。男性ホルモンのために頭部の毛包は育毛する働きを弱め、毛髪の成長期は短縮されます。
先天的な遺伝がAGAの原因になります。
先天的な遺伝も、AGAの原因となりえます。
生まれつき持っている遺伝子が、AGAなどの脱毛症を引き起こす可能性のある問題を持っている場合があります。その一例が、X染色体上の男性ホルモンレセプター遺伝子の感受性の高さです。X染色体は母親から引き継がれますので、母方の祖父が男性ホルモンレセプターに起因する薄毛の場合、薄毛が遺伝する可能性があります。また、誰もが持っている常染色体には男性型脱毛症を発症する誘因となる疾患関連遺伝子がいくつか確認されています。
父親が常染色体の疾患関連遺伝子による薄毛だった場合は、父親から薄毛が遺伝する可能性もあります。
生活習慣やストレスもAGAの原因になります。
その他にも、生活習慣の乱れやストレスがAGAの原因として大きく影響していると考える意見も少なくありません。食事が偏ると、栄養バランスは崩れます。毛髪も栄養素であるタンパク質やアミノ酸が不足し、健康な状態を保てません。アルコールを過剰に摂取すると肝機能が低下し、タンパク質が十分に生成されなくなる恐れがあります。
ストレスから睡眠不足になると成長ホルモンの分泌は妨げられ、頭髪の成長にとっても良くないといわれます。
生活習慣やストレスとAGAとの因果関係は医学的に証明されていませんが、脱毛症に悩まされている人は食生活などの乱れを改善したほうが賢明でしょう。
薬でDHTを抑えて発毛を促すAGAの治療法

- 男性型脱毛症(AGA)の治療に有効な成分
- フィナステリド
世界で初めて薄毛治療の内服薬として認可された成分です。5α還元酵素阻害剤に分類されており、AGA薬として知られていますが、前立腺肥大症にも用いられます。 - デュタステリド
男性ホルモン(DHT)の過剰な産生を抑制します。5α還元酵素阻害剤と呼ばれ、DHTが素因となる男性型脱毛症や前立腺肥大症の治療に用いられています。 - ミノキシジル
血管拡張作用によって頭皮の血行を促進する成分です。毛根を活性化して、新しく生えてくる毛髪の発育を早め、毛髪を太くして成長期を延長させます。
- フィナステリドが配合されている商品
- プロペシア
98%の確率で薄毛の進行を止めるAGA治療効果がある世界初の内服薬です。フィナステリドを有効成分とした男性型脱毛症治療薬の先発品です。 - デュタステリドが配合されている商品
- デュタス
男性型脱毛症の治療薬であるザガーロのジェネリックで、デュタステリドを有効成分としています。AGAの治療効果は先発薬と同等です。 - ミノキシジルが配合されている商品
- ツゲイン
壮年性脱毛症の外用薬です。頭皮に直接塗布することで発毛・育毛および抜け毛を防ぐ効果があります。半年間の使用で90%に薄毛の改善がみられます。
AGAに有効と認められている最も一般的な治療法では、内服薬と外用薬を使います。
薬を使ったAGAの治療はいずれも、男性型脱毛症および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版において推奨度が最も高い「A(行うよう強く勧める)」にランクインされています。
プロペシアなどのフィナステリド内服薬で薄毛の進行を止める・毛髪を再生するといった「育毛に適した下地づくり」をして、ツゲインなどのミノキシジル外用薬で発毛を促すのが効果的なAGA治療です。
AGA治療に処方される内服薬はフィナステリドとデュタステリド。
男性型脱毛症の治療に用いる内服薬は、AGA治療薬と呼ばれ、フィナステリドとデュタステリドの2剤が主流になっています。フィナステリドとデュタステリドは、5αリダクターゼ阻害薬と呼ばれる部類の薬です。
5αリダクターゼ阻害薬は男性ホルモンをDHTへと変換する酵素を不活発にできるため、AGAによる薄毛の進行抑止および改善が期待できます。
フィナステリドは世界で初めて承認された内服薬としてのAGA治療薬で、日本を含む60ヵ国以上の国で承認されています。フィナステリドは最も多くの医療機関で処方されており、専門のクリニックに行かずとも、皮膚科や薄毛の外来を設けている病院でプロペシアなどが購入できます。
デュタステリドはフィナステリドよりも後に承認された、比較的あたらしいAGAの薬です。デュタステリドはフィナステリドよりもかかる費用が高く、処方している医療機関も限定されますが、臨床試験でフィナステリドを上回る薄毛改善効果が実証されました。デュタステリド製剤では、比較的安価で購入できるデュタスなどのジェネリックが人気となっています。
AGA治療に処方される外用薬はミノキシジルです。
AGAに効果がある外用薬としてはミノキシジルが使用されます。1日に2回のペースで頭皮に直接塗ると、毛髪の再生が見込めます。ミノキシジルは臨床試験によって発毛効果が認められている唯一の「発毛剤」です。
ミノキシジルは頭皮の血行を促進し、毛根の細胞を活性化させる作用があります。これによって毛髪の生え変わりを早めるとともに、毛包を大きく育てて髪を太くします。
日本ではミノキシジルの外用薬が男性型脱毛症の薬として認可されていますが、クリニックによってはミノキシジルタブレットと呼ばれる内服薬も処方しています。ミノキシジル内服薬は本来、高血圧の治療に使われています。外用薬では浸透しにくい生え際の薄毛に対して効果が期待できるため、AGAにおいても多く使われています。また、ミノキシジルは上記の5αリダクターゼ阻害薬と併用できるため、抜け毛予防と発毛を同時に行うことで、より効率的に前頭部や頭頂部などの薄毛を改善してAGAを治療できます。
AGA治療薬は費用を抑えられるジェネリック医薬品が人気です。
男性型脱毛症を薬で治す場合、治療薬は長期服用が基本となります。一般的に、AGA治療薬の効果が現れるまでには、服用開始から半年以上の時間が必要です。その後も薄毛の改善を維持していくためには薬の継続服用が必須となります。
先発薬でのAGA治療は費用が高額になりますので、安価で購入できるプロペシアのジェネリックが人気を集めています。