閉経が早い人の6つの特徴-原因から前兆・リスク・対策まで徹底解説
- 公開日
- 2026年05月01日
- 更新日
「最近、生理の周期が乱れてきた」「もしかして、もう閉経が近づいている?」——そんな不安を感じたことはありませんか?
閉経時期には個人差があり、中には平均より大幅に早く迎える方もいます。原因や体への影響がわからないままだと、漠然とした不安を抱えやすいものです。
この記事では、閉経が早い人に共通する特徴や原因を医学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。
あわせて、前兆のサインや健康上のリスク、今からできる対策まで網羅しているため、「自分が当てはまるか知りたい」「早めに対策したい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
そもそもなぜ閉経が早まるの?卵巣機能のメカニズム

閉経が早まる主な理由は、卵巣内に蓄えられた「原始卵胞(げんしらんぽう)」が、何らかの原因で通常よりも早く減少・消費されてしまうからです。
卵子のもとになる細胞を含んだ小さな袋のようなもの。卵巣の中に蓄えられている。原始卵胞は胎児期に一生分がまとめて作られ、以降新たに増えることはない。
原始卵胞は出生時で約200万個、初潮を迎える頃には約20〜30万個にまで自然に減少します。さらに、毎月の月経周期ごとに約1,000個ずつ消費され、卵巣に残る原始卵胞が約1,000個を下回ると、排卵が起こらなくなり閉経に至ります。
卵胞が発育する過程では、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが分泌されるため、卵胞の減少はそのままエストロゲンの低下を意味します。
つまり、「閉経が早い」という状態は、生まれた時に持っていた卵胞の初期量や、消費スピードに何らかの影響が生じ、卵巣の機能が予定より早く低下しているサインといえるのです。
閉経が早い人に共通する6つの特徴(原因)

閉経が早まる背景には、生活習慣や体質、病歴など、様々な要因が関係しています。ここでは、医学的な研究で関連が示されている代表的な6つの要因を紹介します。
心当たりのある要因がないか確認しながら、それぞれ順番に見ていきましょう。
1.喫煙習慣がある
喫煙は、閉経を早める要因として最も多くの研究で報告されている重大なリスク因子です。
タバコの煙に含まれるニコチンや多環芳香族炭化水素(たかんほうこうぞくたんかすいそ)などの有害物質は、血流を通じて卵巣にまで届きます。
これらの物質は卵胞の内部で「酸化ストレス」を引き起こし、卵胞を包む細胞にダメージを与えて死滅を促進させます。
さらに、ニコチンはエストロゲンの生成に必要な酵素の働きを抑えるため、ホルモンバランスにも悪影響を及ぼします。
約11万6,000人の女性を22年間追跡した大規模研究では、喫煙者は非喫煙者に比べて45歳未満で閉経を迎えるリスクが約1.9倍に上昇すると報告されました(Brian W Whitcomb et al., 2017)。
また、喫煙量が多く、喫煙期間が長いほどリスクが高まるという関係も、7カ国の研究データを統合した解析で確認されています(Dongshan Zhu et al., 2018)。
こうしたリスクは禁煙することで低下することもわかっているため、早めの禁煙が閉経時期を守る有効な手段といえるでしょう。
2.痩せ過ぎている
低体重の方や、過度なダイエットによる大幅な体重減少を経験した方は、閉経が早まるリスクが高まることがわかっています。これらの状況に陥ると、脳が「体が飢餓状態にある」と判断し、生命維持を優先するために生殖機能をストップさせる原因になります。
これにより、脳の視床下部からの指令が乱れ、卵巣が正常に働かなくなる「機能性視床下部性無月経」を引き起こしやすくなります。この状態が長く続くと、ホルモンバランスの崩れやストレスホルモンの増加を招き、結果として閉経時期を早める要因になると考えられています。
実際に、約7万8,000人の女性を対象としたアメリカの大規模研究では、若年期や中年期にBMIが18.5未満(低体重)だった女性は、標準体重の女性に比べて45歳未満で閉経を迎えるリスクが30%高いことが報告されています(K.L. Szegda et al., 2017)。
さらに同研究では、18歳から35歳の間に20ポンド(約9kg)以上の大きな体重減少があったり、大幅なリバウンドを繰り返したりした方も、閉経が早まる傾向があることが示されました。
美容のための行き過ぎたダイエットは、将来の女性ホルモンの寿命を縮めてしまう可能性があるため、適正体重を維持することが大切です。
3.家族に閉経が早い人がいる
閉経を迎える年齢に大きく関わる要因のひとつが遺伝の影響です。母親や姉妹の閉経が早かった場合、自身も同じ傾向をたどる可能性があります。
閉経の時期は、卵巣に蓄えられた原始卵胞の数によって決まります。この原始卵胞は胎児期に一生分が作られますが、その初期量や、加齢に伴って減少していくスピードには遺伝的な個人差があります。
つまり、生まれた時点で卵胞の数が少なかったり、減少ペースが速い体質を受け継いでいたりすると、閉経が早まりやすくなるのです。
実際にイギリスで行われた約2,000人規模の家族調査では、閉経年齢の個人差のうち約40%が遺伝的要因で説明できると推定されています(Danielle H Morris et al., 2011)。
また同研究では、母親が45歳以下で閉経を迎えた女性は、そうでない女性に比べて自身も早期閉経を迎えるリスクが約6倍に上ることが示されています。
閉経の時期は自分ではコントロールしにくい要素ですが、家族の閉経年齢を把握しておくことで、自分の傾向をある程度予測する手がかりになります。
4.橋本病・バセドウ病などの甲状腺疾患がある
橋本病やバセドウ病などの自己免疫性甲状腺疾患がある方は、閉経が早まる可能性があります。
これらの疾患は、免疫システムが自分自身の甲状腺を誤って攻撃してしまう病気ですが、この免疫の異常が甲状腺だけでなく卵巣にも波及することがあります。
甲状腺に対して作られた自己抗体が卵巣の組織にも反応し、卵胞の発育を妨げたり、卵巣機能の低下を引き起こしたりすると考えられているのです。
実際に、40歳未満で卵巣機能が低下する「早発卵巣不全」の患者のうち、14〜33%に甲状腺の自己免疫疾患が併存しているとする報告もあります(Anna Szeliga et al., 2011])。
台湾で行われた約21,000人を対象とした大規模調査では、橋本病の女性は甲状腺疾患のない女性に比べて無月経のリスクが約1.9倍に上昇することが確認されています(Yi-Ting Hsieh et al., 2021)。
甲状腺疾患の治療中の方は、卵巣機能への影響についても主治医に確認しておくとよいでしょう。
5.子宮内膜症
子宮内膜症がある方は、閉経が早まる可能性があることが複数の研究で示されています。
子宮内膜症とは、本来子宮の内側にある組織が、卵巣や腹膜など子宮の外で増殖する疾患です。この病変は周囲に慢性的な炎症を引き起こし、卵巣にまで影響が及ぶと、卵胞の周囲で酸化ストレスが発生します。
酸化ストレスは卵胞を包む細胞にダメージを与え、本来まだ休眠しているはずの卵胞が早期に目覚めて消費されてしまったり、成長中の卵胞が十分な栄養を得られず死滅してしまったりします。
さらに、炎症が長引くと卵巣の組織が線維化(硬くなること)を起こし、血流が低下してこの悪循環がいっそう進むと考えられています。
5カ国・約28万人の女性を対象にした臨床試験では、子宮内膜症の女性は早発閉経やそのリスクが30〜40%高いことが報告されています(Hsin-Fang Chung et al., 2025)。
6.がん治療・卵巣手術の経験がある
がんの治療や卵巣の手術を受けた経験がある方は、それがきっかけで閉経が早まることがあります。ここまでに紹介した要因とは異なり、医療的な介入によって卵巣機能が低下するケースです。
抗がん剤(化学療法)は、がん細胞だけでなく卵巣内の卵胞にもダメージを与えます。薬剤が卵胞のDNAを直接傷つけるほか、成熟した卵胞が破壊されることで休眠中の卵胞まで次々と目覚めてしまい、結果として卵胞の在庫が急速に消耗されると考えられています。
骨盤への放射線治療も同様に、卵胞の細胞を傷害し、卵巣の機能を低下させる原因となります。
また、卵巣の摘出手術(両側卵巣摘出)を受けた場合は、手術直後から閉経状態となります。片側のみの摘出や卵巣嚢腫の手術でも、卵巣の組織が減少するため、閉経が早まる可能性があります。
卵巣へのダメージの程度は、治療を受けた年齢や薬剤の種類、放射線の照射量などによって異なります。
「閉経が早い」って何歳から?年齢別に判定

日本産科婦人科学会によると、日本人女性の平均閉経年齢は50歳前後とされています(更年期障害, 日本産科婦人科学会,更年期障害はどのような病気ですか?)。
ただし個人差が非常に大きく、45〜56歳の間に約80%の女性が閉経を迎えます。「自分の閉経は早いのかどうか」を判断する目安として、以下の表を参考にしてください。
| 閉経年齢 | 目安 |
|---|---|
| 40歳未満 | 早発閉経(医学的な診断対象) |
| 40〜44歳 | かなり早い(全体の約5%) |
| 45〜47歳 | やや早い |
| 48〜49歳 | 平均よりやや早め |
| 50歳以上 | 平均的 |
なお、閉経とは「月経が1年以上停止した状態」を指し、最後の月経から振り返って診断されます。
数か月止まっただけでは閉経の確定にはなりませんが、40歳未満で3か月以上月経がない場合は、早めに婦人科を受診することをおすすめします。
40歳未満で閉経する「早発閉経」とは
40歳未満で卵巣の機能が低下し、月経が停止する状態を「早発閉経(早発卵巣不全)」といいます。
早期閉経になるのは30歳未満で約1,000人に1人、40歳未満では約100人に1人とされています。
医学的には、40歳未満で3〜6か月以上月経がなく、血液検査でFSH(卵胞刺激ホルモン)の高値とエストロゲンの低値が確認された場合に診断されます。
早発閉経の原因は、甲状腺疾患や化学療法のほか、染色体異常(ターナー症候群など)が関わるケースもありますが、約半数は原因不明とされています。
なお、「早発閉経」という名称から卵巣の機能が完全に失われたような印象を受けますが、実際にはその後一時的に月経が再開したり、まれに自然妊娠に至る例も報告されています。
そのため、近年の医学では「早発卵巣不全(POI:Primary Ovarian Insufficiency)」という呼び方が一般的になりつつあります。
閉経が訪れる前の前兆・サイン

閉経は突然訪れるのではなく、体に様々なサインが現れます。そのサインが平均よりも早い年齢で起きている場合、閉経が早まっている可能性があります。
代表的な前兆を、出現しやすい順に紹介します。
これらの前兆は一度にすべて現れるわけではなく、月経の変化から始まり、段階的に進行していくのが一般的です。
1.月経周期の変化
閉経が近づいているサインとして最も早く現れやすいのが、月経周期の変化です。
月経周期は「卵胞期(排卵までの前半)」と「黄体期(排卵後の後半)」に分かれています。このうち黄体期は約14日でほぼ一定ですが、卵胞期は卵巣の状態によって長さが変わります。
卵巣に残る卵胞の数が減ってくると、脳は卵巣を刺激するホルモン(FSH)を増やして排卵を促そうとします。
このFSHの上昇によって卵胞がいつもより速いスピードで発育するため、卵胞期が短縮し、結果として月経周期全体が短くなるのです。
たとえば、これまで28日周期だった方が24日周期になるといった変化が起こりえます。
さらに卵胞の減少が進むと、今度は排卵そのものが起こりにくくなり、周期が長くなったり、月経をスキップしたりするようになります。
つまり、「周期が短くなる→不規則になる→間隔が開く」という段階を経て、閉経へと向かっていきます。
こうした変化が30代や40代前半で起きている場合は、閉経が早まっている可能性があります。
2.経血量の変化
月経周期の変化に加えて、経血の量にも変化が現れることがあります。「以前より量が増えた」「逆にかなり少なくなった」など、変化の方向は人によって異なります。
この変化の背景には、排卵の有無が深く関わっています。
通常の月経では、排卵後に黄体ホルモンであるプロゲステロンが分泌され、子宮内膜の成長をストップさせます。
しかし、卵巣機能が低下して排卵が起こらない周期(無排卵周期)が増えると、プロゲステロンが十分に分泌されません。
すると、エストロゲンの作用だけで子宮内膜が厚くなり続け、それがようやく剥がれ落ちたときに大量の出血となることがあります。
一方で、エストロゲンの分泌そのものが低下した周期では、子宮内膜が十分に厚くならず、経血量がごく少量になるケースもあります。
このように、経血量が「多くなる」「少なくなる」のどちらも起こりうるのが、閉経前の特徴です。
3.気分の変化・不安・抑うつ
閉経が近づく時期には、理由のないイライラや不安感、気分の落ち込みといった精神面の変化が現れることがあります。
これらの変化は、エストロゲンが脳内の神経伝達物質に深く関わっていることが背景にあります。
エストロゲンには、気分の安定に関わるセロトニンの合成を促したり、不安を和らげるGABAの働きをサポートしたりする役割があります。
更年期移行期にはエストロゲンの分泌が大きく揺らぐため、これらの神経伝達物質のバランスが崩れ、感情のコントロールが難しくなることがあるのです。
注目すべきは、エストロゲンが「低くなること」よりも「急激に上下すること」のほうが精神面への影響が大きいとされている点です。
実際に、約3,300人の女性を13年間追跡した大規模研究では、更年期移行期の女性は移行前と比べて抑うつ症状のリスクが約2倍に上昇し、特にエストロゲンの変動が大きい後期ほどリスクが高まることが報告されています(Ruchika Garg et al., 2025)。
気分の変化は「年齢のせい」「性格の問題」と片付けられがちですが、ホルモンの変動に由来する生理的な反応である可能性を知っておくことが大切です。
4.ホットフラッシュ
ホットフラッシュ(突然のほてり・発汗)は、更年期移行期の後期に多く見られる代表的な症状です。月経の変化より後に現れることが多く、閉経が近づいているサインの一つといえます。
この症状は、脳の視床下部にある体温調節の仕組みが乱れることで起こります。
通常、体には「暑くもなく寒くもない」と感じる温度の許容範囲があり、エストロゲンはこの範囲を適切な幅に保つ役割を担っています。
しかし、エストロゲンが低下すると、視床下部にある特定の神経細胞が過剰に活性化し、この許容範囲が極端に狭くなります。
その結果、わずかな体温の上昇でも「暑い」と誤って判断され、血管が急に広がり発汗(ホットフラッシュ)が起こるのです。
症状は通常1〜5分程度で治まりますが、閉経前後の女性の50〜80%が経験するとされています(Marie Gombert-Labedens et al., 2024)。
5.睡眠障害
閉経が近づく時期には、「疲れているのに眠れない」「夜中に何度も目が覚める」といった睡眠の問題が起こりやすくなります。
この背景には、主に黄体ホルモンであるプロゲステロンの低下が関わっています。
プロゲステロンには、脳内でGABAという神経伝達物質の働きを強めることで、自然な鎮静・リラックス効果をもたらす作用があります。
更年期移行期ではプロゲステロンはエストロゲンよりも先に低下し始めるため、この鎮静作用が失われ、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりすることがあるのです。
加えて、エストロゲンの変動はセロトニンを介して睡眠ホルモンであるメラトニンの産生にも影響を与えるため、体内時計のずれが生じやすくなります。
更年期移行期の女性の約40〜47%に何らかの睡眠の問題が報告されており、閉経後にはその割合がさらに高まるとされています(Jinju Lee et al., 2019)。
閉経が早いとどうなる?知っておきたい5つのリスク

閉経を迎えると、卵巣からのエストロゲン分泌がほぼ停止します。エストロゲンは骨や血管、脳などを守る役割も担っているため、閉経が早いとその恩恵を受けられる期間が短くなり、体の様々な面に影響が出る可能性があります。
ここでは、医学的に関連が示されている代表的な5つのリスクを紹介します。
いずれも「必ずそうなる」というものではなく、早めの対策で軽減できるものも多くあります。
それぞれのリスクについて、順番に見ていきましょう。
寿命への影響
閉経が早い女性は、通常の年齢で閉経を迎えた女性に比べて、全死因死亡リスク(あらゆる理由による死亡のリスク)がやや高まることが複数の研究で報告されています。
これは、エストロゲンが持つ血管や骨、代謝などを保護する作用が、早期に失われることと関係しています。
エストロゲンは動脈硬化の進行を抑えたり、骨量の維持を助けたり、血糖値の調節に関わったりと、全身の健康に幅広く関わるホルモンです。
閉経が早いほどこの保護が早くなくなるため、心血管疾患や骨粗しょう症など様々なリスクが積み重なり、結果として寿命に影響する可能性があると考えられています。
世界各国で行われた、合計約32万人を対象とした16件の研究を統合して分析した結果では、40歳未満で閉経した女性の全死因死亡リスクは約1.1倍に上昇することが示されています(Luyao Huan et al., 2021)。
また、オランダの長期追跡研究では、閉経年齢が1年遅くなるごとに死亡リスクが約2%低下し、55歳以降に閉経した女性は40歳未満で閉経した女性と比べて平均で約2年長く生きたという報告もあります(Marlies E Ossewaarde et al., 2005)。
心血管疾患のリスク
閉経が早い女性は、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患のリスクが高まることがわかっています。
エストロゲンには、血管の柔軟性を維持する、善玉(HDL)コレステロールを増やして悪玉(LDL)コレステロールを減らす、血管壁の炎症を抑えるなど、心臓や血管を多面的に守る作用があります。
閉経が早いとこの保護作用が早期に失われるため、動脈硬化が通常よりも速いペースで進行しやすくなるのです。
5カ国・約30万人の女性を対象とした大規模研究では、50〜51歳で閉経した女性と比較して、40歳未満で閉経した女性の心血管疾患リスクは約1.6倍、40〜44歳では約1.3倍に上昇していました(Dongshan Zhu et al., 2019)。
特に60歳未満の時点では、40歳未満で閉経した女性のリスクは約1.9倍にまで高まることが報告されています。
一方で、70歳以降ではこの差は縮小する傾向が見られました。
認知機能の低下・認知症リスク
閉経が早い女性は、認知機能が低下しやすく、将来的に認知症を発症するリスクが高まる可能性があります。
エストロゲンは記憶を担う「海馬」という領域で、神経細胞の成長や新しいつながり(シナプス)の形成を促しています。
また、脳の血流を維持したり、神経細胞を炎症から守ったりする働きもあります。
閉経によりエストロゲンが早期に低下すると、これらの作用が失われ、脳の老化が加速しやすくなると考えられています。
約23万人を対象とした長期追跡研究の解析では、50〜52歳で閉経した女性と比較して、40歳未満で閉経した女性の認知症リスクは約1.5倍に上昇していました(Annette J Dobson et al., 2024)。
また、閉経年齢が若いほど認知症リスクが段階的に高まる傾向も確認されています。
2型糖尿病・代謝性疾患のリスク
閉経が早い女性は、2型糖尿病や脂質異常症といった代謝性疾患のリスクが高まることが報告されています。
エストロゲンは、細胞がインスリンに適切に反応するのを助ける働きを持っています。
閉経によりエストロゲンが低下すると、この働きが弱まり、血糖値を下げるためにより多くのインスリンが必要な状態、いわゆる「インスリン抵抗性」が生じやすくなります。
さらに、閉経後は体脂肪がお腹まわりに蓄積しやすくなり、これがインスリン抵抗性をいっそう悪化させるという悪循環につながります。
約92万人の女性を対象にした研究では、40歳未満で閉経した女性は45歳以降に閉経した女性と比べて、2型糖尿病のリスクが約1.3倍、脂質異常症のリスクが約1.2倍に上昇していました(Jiajun Liu et al., 2023)。
閉経が早かった方は、定期的に血糖値や脂質の検査を受け、食事や運動などの生活習慣を早めに見直しておくことが大切です。
見た目の老化が早まる可能性
閉経が早い女性は、肌や髪の変化が通常よりも早い時期に現れる可能性があります。
エストロゲンは、肌の弾力やうるおいを保つコラーゲンの合成を促し、肌の厚みや水分量を維持する役割を担っています。
閉経後はこのエストロゲンの働きが失われるため、コラーゲンの分解が合成を上回り、肌が薄くなって乾燥しやすくなり、しわやたるみが進行します。
研究では、閉経後最初の5年間で皮膚のコラーゲンが最大30%減少し、その後も1年あたり約2%のペースで減少し続けることが報告されています(M Julie Thornton et al., 2013)。
重要なのは、こうした変化が実年齢よりも「閉経からの年数」に強く関係しているという点です。つまり、閉経が早ければ早いほど、肌の変化も早い時期から始まることになります。
また、エストロゲンの低下は髪にも影響を与えます。毛髪の成長期が短くなることで髪が細くなったり、全体のボリュームが減ったりする変化が見られることもあります。
閉経が早い人のための対策・治療法

閉経が早いことで起こりうるリスクは、適切な対策をとることで軽減できるものもあります。
閉経そのものを遅らせることはできませんが、閉経が早かったことで不足するエストロゲンを補ったり、リスクを軽減したりするためのアプローチを行うことは可能です。
閉経が早かった方やその可能性がある方が、今からできることを3つに分けて紹介します。
医療的な治療から日常でできるセルフケアまで幅広くありますので、自分に合った方法を見つける参考にしてみてください。
ホルモン補充療法(HRT)
閉経を早く迎えた女性にとって最も重要な選択肢の一つが、ホルモン補充療法(HRT)です。
閉経によって卵巣から分泌されなくなったエストロゲンを、飲み薬や貼り薬などで外から補う治療法。「Hormone Replacement Therapy」の略で、日本語で「ホルモン補充療法」。
ホットフラッシュやイライラなどの更年期症状を緩和するだけでなく、骨量の維持や心血管疾患リスクの軽減にも効果が期待できる。
特に40歳未満で閉経を迎えた「早発卵巣不全」の方は、エストロゲンが不足する期間が長くなるため、少なくとも平均的な閉経年齢である50歳前後までは継続することがすすめられています(日本女性医学学会, Q3,ホルモン補充療法の正しい理解をすすめるために)。
なお、子宮がある方はエストロゲンに加えてプロゲステロンの併用が必要です。これは、エストロゲン単独の使用が子宮内膜を厚くし、子宮体がんのリスクを高める可能性があるためです。
HRTが適しているかどうかは、既往歴や体質によって異なります。必ず婦人科で相談のうえ、自分に合った方法を検討しましょう。

更年期に伴う不快な症状を和らげるHRTに使用できるエストロゲンです。
※子宮の摘出を行っていない方では、プロゲステロン(黄体ホルモン剤)の併用が必須となるため、必ず医師にご相談のうえで使用をご検討ください。
漢方薬による体質改善
HRTが体質や既往歴の関係で使えない場合や、冷え・不安・不眠など多様な症状が重なっている場合には、漢方薬も有効な選択肢です。
更年期に関連する症状に対しては、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「加味逍遙散(かみしょうようさん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」の3つが代表的な処方として知られており、婦人科三大漢方薬とも呼ばれています。
漢方薬は、一人ひとりの体質(漢方では「証(しょう)」といいます)に合わせて処方を選ぶのが特徴です。
たとえば、冷えやむくみが目立つ方には当帰芍薬散、イライラや不眠など精神面の症状が強い方には加味逍遙散、のぼせやほてりが中心の方には桂枝茯苓丸が用いられます。
HRTに比べると効果はおだやかですが、1つの処方で複数の症状に対応できる点や、人によっては精神面の不調にはHRTよりも効果的な場合があるともされています。
婦人科で保険適用のもと処方してもらえるため、まずは医師に相談してみるとよいでしょう。
ハーブやサプリメントによるサポート
「医薬品だけでなく、自然なもので身体をケアしたい」「HRTと並行して日々のコンディションを整えりたい」という方には、伝統的なハーブやサプリメントを取り入れるのもひとつの方法です。
特に、インドの伝統医学(アーユルヴェーダ)で古くから女性の健康維持に重宝されてきたハーブは、更年期特有の心身の揺らぎを優しくサポートしてくれます。
シャタバリ(女性のバランスサポートに)
シャタバリは、サンスクリット語で「100人の夫を持つ女性」という意味を持つ、女性のための代表的なハーブです。
植物由来の成分(フィトエストロゲン)を含んでおり、ホルモンバランスの乱れからくるホットフラッシュや気分の波を穏やかに整えるサポートをしてくれます。女性特有のエイジングケアを意識したい方に適しています。
アシュワガンダ(ストレスや睡眠のケアに)
アシュワガンダは、ストレスへの抵抗力を高める「アダプトゲン」と呼ばれるハーブの代表格です。
更年期に起こりやすい理由のない不安感やイライラ、睡眠の質の低下(寝つきの悪さ、中途覚醒など)をケアし、心身をリラックスさせる働きが期待できます。「疲れているのに眠れない」「気持ちが張り詰めている」という方におすすめです。
生活習慣の見直し
HRTや漢方薬といった医療的なアプローチに加えて、日々の生活習慣を見直すことも、閉経後のリスクを軽減するうえで重要な役割を果たします。
特に意識したいのが、運動と食事です。
運動
運動では、ウォーキングやジョギング、ダンスといった、体重を支えながら行う運動とスクワットなどの筋力トレーニングを組み合わせることで、骨密度の維持と心血管の健康の両方にアプローチできます。
目安として、週に150分程度の中程度の運動が推奨されています。
食事
食事面では、骨の材料となるカルシウム(乳製品、小魚、葉物野菜など)と、その吸収を助けるビタミンD(魚類、きのこ類、日光浴など)を意識的に摂ることが大切です。
また、閉経後は内臓脂肪がつきやすくなるため、糖質や脂質の摂りすぎにも注意が必要です。
その他の生活習慣
さらに、喫煙はエストロゲンの分解を促進し、閉経後の骨量減少や動脈硬化をいっそう加速させることがわかっています。
飲酒も更年期の抑うつリスクを高める要因となるため、禁煙と節酒はこの時期に特に重要な対策といえます。
閉経の早さに関するQ&A
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- 初潮が早いと閉経も早い?
- 「初潮が早いと閉経も早い」とよくいわれますが、現時点の医学ではこの2つに明確な因果関係は認められていません。初潮の時期は脳がその時点の体格や発育状態をもとに「ホルモン分泌を始めてよい」と判断することで決まります。一方、閉経は卵巣に蓄えられた原始卵胞が減少し尽くすことで起こる現象であり、仕組みそのものが異なります。初潮が早かったからといって、閉経も早まるとは限りません。
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- 閉経が早い人と遅い人は何が違うの?
- 閉経の時期に最も大きく影響するのは、生まれ持った卵巣内の原始卵胞の数と、それが減少するスピードです。これらには遺伝的な個人差があり、母親や姉妹の閉経が早かった方は自身も早くなる傾向があります。加えて、喫煙、甲状腺疾患、子宮内膜症、がん治療や卵巣手術の経験なども卵胞の減少を加速させる要因として知られています。一方、閉経が遅い方はこうしたリスク要因が少なく、卵巣の機能がより長く保たれていると考えられます。
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- 早く閉経するメリットはある?
- メリットがまったくないわけではありません。閉経を迎えると毎月の生理痛やPMS(月経前症候群)から解放されるほか、エストロゲンの影響で大きくなる子宮筋腫は閉経後に縮小に向かいます。また、エストロゲンへの曝露期間が短くなることで、乳がんや子宮体がんなど女性ホルモンに関連するがんのリスクが低下する可能性も報告されています。ただし、閉経が早いことで生まれる心血管疾患や骨粗しょう症、認知症リスクの上昇などのデメリットのほうが大きいため、閉経を早く迎えた方は定期的な検査や適切なケアを心がけることが大切です。
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- 閉経が早いと妊娠できない?
- 閉経後の自然妊娠は非常に難しくなりますが、完全に不可能とは言い切れないケースもあります。閉経とは排卵が停止した状態を意味するため、原則として自然妊娠は成立しません。ただし、「早発卵巣不全(POI)」と診断された方の場合、卵巣に少数の卵胞が残っていることがあり、一時的に卵巣機能が回復して排卵が起こるケースがまれに報告されています。実際に、POIと診断された後に自然妊娠に至った例もあります。妊娠を希望する場合は、卵子凍結や提供卵子による体外受精といった選択肢もあるため、できるだけ早い段階で生殖医療の専門医に相談することが大切です。
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- 閉経時期を予測する検査はある?
- 閉経の正確な時期を予測する検査は現時点ではありませんが、目安を知るための検査としてAMH(抗ミュラー管ホルモン)検査があります。これは血液検査で卵巣内に残っている卵胞のおおよその数を推定するもので、値が低い場合は閉経が近づいている可能性を示唆します。ただし、個人差が大きく、AMHの値だけで閉経時期を断定することはできません。あくまで「卵巣に残っている卵胞の量の目安」であり、卵子の質や妊娠の可否を示すものでもない点には注意が必要です。気になる方は婦人科で相談してみましょう。
閉経が早い人の特徴を知り、早めの対策を始めよう

閉経が早い人の特徴として、喫煙習慣、低体重、遺伝、甲状腺疾患、子宮内膜症、がん治療・卵巣手術の経験が挙げられます。
閉経の前兆には、月経周期や経血量の変化、気分の不安定さ、ホットフラッシュ、睡眠障害があり、月経の変化から段階的に進行していくのが一般的です。
閉経が早いと、早期にエストロゲンの恩恵を受けられなくなり、心血管疾患や認知症、2型糖尿病、骨粗しょう症、肌や髪の老化といったリスクが高まります。
ただし、HRTや漢方薬、サプリ、運動・食事の見直しなど、適切な対策で軽減が期待できる場合もあります。
気になる症状や心当たりのある要因を持つ方は、一人で抱え込まず、早めに婦人科を受診して自分に合ったケアを始めましょう。

シャタバリとは?効果や更年期ケアへの可能性、飲み方まで徹底解説
シャタバリは、ホルモンバランスの乱れや更年期の不調、日々の疲れやストレスに悩む女性におすすめのハーブです。ホットフラッシュや、気分の不安定さに悩む女性たちの間で、ホルモン補充療法に代わる「自然由来の選択肢」として注目されています。