マカと亜鉛の違いと効果|妊活にはどっちがいい?併用できる?
- 公開日
- 2025年05月26日
- 更新日

妊活中の方や、性機能や活力の低下に悩む方の間で注目されているマカと亜鉛。どちらも精力サプリに配合されているイメージが強い成分ですが、その働きや得意とする分野には大きな違いがあります。
例えば、精子の質を改善させたい方には亜鉛、生理周期の安定化や勃起力の向上を目的とする方にはマカが適しています。また性欲の改善やストレスの緩和にはどちらもおすすめです。
この記事では、マカと亜鉛に関して「両者の違いは何だろう?」「自分にはどちらが合っているのだろう?」「一緒に摂っても問題ないのか?」といった疑問を抱える方に向け、わかりやすく解説します。
あなたの目的や体の状態に合った最適な選び方を見つける参考にしてください。
マカと亜鉛の違いとそれぞれに期待できる効果

マカと亜鉛の最も大きな違いは、その成分の由来にあります。マカは植物由来の食品成分であるのに対し、亜鉛は私たちの体に必要なミネラルの一種です。つまり、そもそも性質がまったく異なるのです。
- マカ=植物
- 亜鉛=栄養(ミネラル)
マカはペルー原産の植物で、その根の部分がサプリメントや健康食品に使われています。マカには、ビタミン、アミノ酸、ポリフェノールなど、さまざまな栄養素が自然な形でバランスよく含まれており、その中に今回の比較対象である「亜鉛」も含まれています。つまり、マカは亜鉛を含む複数の栄養素が組み合わさった食品として働くのが特徴です。
一方、亜鉛はそれ自体が単体の栄養素として知られています。体のさまざまな働きに必要な成分であり、サプリメントとして単独で摂取されることも多いです。また、牡蠣(かき)や牛肉、レバー、ナッツ、豆類など、日常の食事にも多く含まれています。
まとめると、マカと亜鉛は一見似た健康サポート成分に見えても、マカは多様な栄養素を含む植物由来の複合成分、亜鉛は体に不可欠な単一のミネラル成分という本質的な違いがあり、それぞれの特性や役割を理解したうえで使い分けることが重要です。
マカに期待できる効果
- 性的な活力(性欲や勃起力など)を高める
- スタミナや持久力を高め、疲れにくい体づくりに役立つ
- ホルモンバランスを整える
- 更年期の不調(ほてり・イライラなど)をやわらげる
- 血流を促し、冷えや動脈硬化を予防する
- 美肌や老化予防をサポートする
- 免疫機能を支え、風邪や感染症への抵抗力を高める
- 傷の治りを助け、皮膚や粘膜の健康を保つ
- 味覚や嗅覚を正常に保つ働きがある
- 精子の形成や男性の性機能に関与する
- 活性酸素の除去に関わり、体の老化や細胞のダメージを防ぐ
- 妊娠中の母体や成長期の子どもの発育を支える
- キノロン系抗生物質
- テトラサイクリン系抗生物質
- セファレキシン(抗生物質)
- ペニシラミン(関節リウマチの薬)
- アミロライド(利尿剤)
- シスプラチン(抗がん剤)
- リトナビル(HIV感染症治療薬)
- インテグラーゼ阻害剤(HIV感染症治療薬)
- アタザナビル(HIV感染症治療薬)
マカは、古くから「元気をつける食材」として親しまれてきた植物で、現代ではサプリメントとしても広く利用されています。特に、アルギニンやグルコシノレートなどの成分が、血流の改善や精子の生成、性欲の維持に関わっているとされ、男性の活力サポートとしてよく使われます。
さらに、女性のホルモンバランスを整えたり、更年期のつらさを和らげたりする働きも注目されており、男女問わず、年齢にともなう体の変化に悩む人にとって心強い成分といえます。
亜鉛に期待できる効果
亜鉛は、体のあらゆる細胞で使われる重要なミネラルです。免疫力の維持や傷の回復、味覚の正常化、精子やインスリンの生成などにも関わっています。不足すると、風邪をひきやすくなったり、肌が荒れたり、味がわかりにくくなったりといった不調が現れることがあります。
特に、妊婦や成長期の子ども、性機能の低下を感じる中高年にとっては、日々の食事やサプリメントでしっかり補いたい栄養素です。
妊活や性機能改善におすすめなのはどっち?

妊活に取り組む方はもちろん、性機能の低下や活力不足に悩む方の中にも、マカと亜鉛のどちらを選べばよいか迷う方は多いのではないでしょうか。どちらの成分も、妊娠しやすい体づくりをサポートする働きがありますが、どんな「目的」で使うかによって、どちらを選ぶべきかが変わってきます。
目的 | 対象 | どっちがおすすめ? |
---|---|---|
精子の質を改善させたい | 男性 | 亜鉛 |
生理周期を安定させたい | 女性 | マカ |
性欲の減退を改善したい | 性別問わず | どっちも |
ED(勃起不全)を改善したい | 男性 | マカ |
ストレスを軽減したい | 性別問わず | どっちも |
このように、マカと亜鉛は「どちらが優れているか」という単純な話ではなく、目的に応じて最適な選び方があるのです。以下では、具体的な目的別におすすめの理由をわかりやすく解説します。
精子の質を改善させたい=亜鉛がおすすめ
亜鉛は、男性の精子の質を改善することが知られており、不妊症治療の選択肢として注目されています。
亜鉛は、精巣で精子がつくられるときに使われる栄養素です。精子の数や動き、形の正常さを保つのに必要です。また、精子を傷つける「活性酸素」という物質を減らして、精子を守る役割もあります。
実際、2002年に発表された研究では、葉酸と亜鉛を併用して26週間摂取させたところ、不妊症の男性において精子の質が明らかに改善されました。(Wai Yee Wong et al., 2002.[リンク])
具体的には、正常な精子の総数が平均74%増加するという効果が確認されています。この研究では、亜鉛の摂取がホルモンバランスに影響を与えることなく、精子の形成や成熟に良い影響を与える可能性が示されました。
ただし、実際の妊娠率への影響や長期的な安全性についてはさらなる研究が必要とされています。

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生理周期を安定させたい=マカがおすすめ
マカは、生理不順が原因で不妊に悩んでいる女性にとって有力な選択肢のひとつです。その理由は、マカに含まれる成分が、女性ホルモンの分泌を助ける働きを持っているためです。
マカにはビタミンEや植物性エストロゲンが含まれており、これらの成分が女性ホルモン(エストロゲン)の分泌をサポートすることで、ホルモンバランスを整える作用が期待されています。ホルモンの分泌が整うことで、排卵のリズムが正常になり、生理周期の安定につながります。
実際に、マウスを使った実験では、マカを摂取したことで排卵に関わる女性ホルモンの分泌が促進されたことが報告されています。(Fumiaki Uchiyama et al., 2014.[リンク])
生理不順の女性では、排卵のタイミングが不規則になったり、排卵が起こらなかったりすることで、妊娠しづらくなる傾向があります。そうした場合、マカの摂取によってホルモンの働きが整えば、生理周期が安定し、妊娠につながる可能性もあります。

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性欲の減退を改善したい=どっちもおすすめ
マカと亜鉛は、どちらも性欲の向上に効果が期待できる成分です。それぞれ作用の仕組みが異なるため、どちらか一方を選ぶのではなく、併用することで相乗効果が期待できます。
亜鉛は、性欲の低下に関わる男性ホルモン(テストステロン)の減少を改善する働きがあります。実際に、20〜80歳の健康な男性40名を対象にした研究では、亜鉛の摂取量を減らすとテストステロンが低下し、逆に補給することでテストステロンが上昇したことが報告されています。(A S Prasad et al., 1996.[リンク])
一方、マカはテストステロンの増加を介さずに、性欲を高める効果があるとされています。2002年に行われた研究では、マカを8週間摂取したグループで性欲が明らかに改善されたにもかかわらず、テストステロンの変化は見られませんでした。(G. F. Gonzales et al., 2002.[リンク])
つまり、亜鉛はホルモンの側面から、マカは神経系や血流の改善、ストレス緩和といった多方面から性欲をサポートするため、併用することでより幅広い角度からアプローチできると考えられます。
ED(勃起不全)を改善したい=マカがおすすめ
マカは、血流の改善やストレス緩和を通じて、ED(勃起不全)の改善に役立つ可能性がある成分です。
マカに含まれるアルギニンというアミノ酸は、血管を拡張させる物質(一酸化窒素:NO)の生成を助ける働きがあります。これにより、陰茎への血流が促進され、勃起が起こりやすくなると考えられています。
実際に、ED(勃起不全)のある男性50人を対象に行われた臨床試験では、1日2400mgのマカを12週間摂取したグループで、勃起の状態や本人が感じる性機能の改善が確認されました。(Zenico et al., 2009.[リンク])
この試験では、勃起の状態を点数化する「国際勃起機能指数(IIEF-5)」のスコアが、マカを摂取したグループでは平均1.6ポイント改善し、プラセボ(偽薬)を摂取したグループの0.5ポイント改善と比べて、統計的にも有意な差が確認されました。
さらに、心理面や身体・社会的な満足度もマカを摂取した人のほうが大きく向上しており、性機能全体の改善に対する前向きな影響が示されています。
ストレスを軽減したい=どっちもおすすめ
ストレスを感じやすい人には、マカと亜鉛のどちらもおすすめです。それぞれ異なる仕組みで働くため、併用することで幅広い角度からストレスに対処できます
マカは、ストレスによる疲労感や情緒の乱れをやわらげる作用が報告されています。実際、閉経後の女性29名を対象にした臨床試験では、3.3g/日を6週間摂取したグループで不安や抑うつのスコアが有意に改善されたという結果が報告されています。(Nicole A Brooks et al., 2008[リンク])
一方、亜鉛は、脳内で精神の安定に関わるセロトニンの分泌に深く関与する栄養素です。2025年に行われた動物実験では、亜鉛の働きを受け取る「GPR39受容体」が欠損したマウスはストレスに過敏になり、抗うつ薬の効果も弱くなる一方、受容体を刺激すると薬の効きが改善することが確認されています。(Dominika Siodłak et al., 2025.[リンク])
つまり、マカは身体的・ホルモン的な側面から、亜鉛は神経伝達の面からストレスにアプローチします。どちらか一方ではなく、両方をうまく活用することで、より実感しやすいメンタルケアが期待できます。
マカと亜鉛は併用が可能

マカと亜鉛は安全に併用できる成分です。実際にマカと亜鉛の両方が配合されたサプリメントも多く販売されています。
特に性欲の向上やストレスの軽減といった目的に対しては、それぞれ異なる仕組みで働くため、組み合わせることでより幅広い効果が期待できます。そのため、どちらか一方ではなく、両方をあわせて摂取するのがおすすめです。
併用時のマカと亜鉛の摂取タイミング
基本的に、マカと亜鉛は食後に摂取することが推奨されています。食後は消化吸収が活発になるため、有効成分が効率よく体内に取り込まれやすくなります。
日中の活力を高めたい方は朝食後に飲むことで、マカの抗疲労作用やスタミナアップ効果を実感しやすくなります。
また、就寝前や夕食後に摂ることで、睡眠中のホルモンバランスの調整や体の修復をサポートする働きが期待されます。生活リズムや目的に合わせて、朝または夜を選ぶとよいでしょう。
ただし、一番大切なことは継続することなので、無理なく習慣化できる時間帯を選ぶことがポイントです。
マカと亜鉛の副作用など安全性を比較

マカと亜鉛は、いずれも健康をサポートする目的で使われる成分ですが、それぞれに異なる注意点があります。このセクションでは、摂取時に意識すべきリスクについて比較しながら解説します。
項目 | マカ | 亜鉛 |
---|---|---|
主な副作用 | 報告されていない | 吐き気、嘔吐、食欲不振、胃痛、下痢、頭痛など |
長期摂取時のリスク | 報告されていない | 銅の不足、免疫低下、HDL(善玉)コレステロールの減少など |
アレルギーの可能性 | アブラナ科にアレルギーがある人は注意 | 特になし |
飲み合わせが悪い薬 | 報告されていない | 一部の抗生物質や利尿薬など |
妊婦の使用について | 安全性が検証されていない | 適量の範囲なら問題なし |
マカではアレルギーや妊婦の使用に要注意
サプリメントの推奨用量として記載されている適正な範囲内でマカを使用する場合、副作用や健康被害が生じるリスクは少ないと考えられます。
米国の医療情報提供サイト「WebMD」では、マカについて、副作用や特定の薬剤との飲み合わせによる重大なリスクに関する情報は報告されていないと記載されています。また「食品として摂取する場合、ほとんどの人にとって安全である」との記載もあります。(Maca - Uses, Side Effects, and More[リンク])
ただし、マカはアブラナ科の植物に分類されるため、ブロッコリーやキャベツ、カブなどのアブラナ科野菜でアレルギーを起こしたことがある方は注意が必要です。アレルギー体質の方は、摂取前に医師に相談するのが安心です。
また、妊婦や授乳婦については、安全性を確認するための十分な研究が行われていないため、摂取は推奨されません。現時点で妊婦や授乳婦に特有の有害事象(体に害があったと確認された例)は報告されていませんが、妊活を目的にマカを摂取していた場合、妊娠が判明した時点で摂取を中止するべきと考えられます。安全性が確認されていない以上、妊娠中や授乳中は使用を控えることが望ましいでしょう。
亜鉛は過剰摂取と飲み合わせに要注意
亜鉛は健康維持に必要な栄養素のひとつですが、摂りすぎには注意が必要です。
厚生労働省の公式サイト「eJIM(イージム)」では、短期間で過剰に摂取すると、吐き気や嘔吐、食欲不振、胃痙攣、下痢および頭痛などの症状がみられることが記載されています。(厚生労働省eJIM | 亜鉛[リンク])
また、長期間にわたる過剰摂取は、体内の銅の吸収を妨げ、貧血や免疫力の低下、善玉コレステロール(HDL)の減少を招く可能性を指摘しています。
ただし、これらはいずれも過剰摂取した場合に生じるリスクです。成人の耐容上限量は、日本の基準では男性45mg/日、女性35mg/日とされており、この範囲内であれば大きな健康リスクは少ないと考えられます。(日本人の食事摂取基準,2025.[リンク])
さらに、亜鉛では、一部の抗生物質や利尿薬、ペニシラミンといった薬との飲み合わせに注意が必要です。「WebMD」では、亜鉛と相互作用(影響し合って効果や副作用が変化すること)がある薬として、以下を挙げています。(Zinc - Uses, Side Effects, and More[リンク])
現在服用中の薬がある方は、亜鉛を服用する前に必ず医師に相談してください。
目的に適した成分を選ぶことが大事

この記事では、マカと亜鉛の違いやそれぞれに期待できる効果について解説しました。
まとめると、マカと亜鉛はどちらも妊活や性機能の改善、日々の活力維持に役立つ成分ですが、それぞれの働きや得意分野には違いがあります。精子の質を改善したい方には亜鉛、生理周期の安定化や勃起力の向上を目的とする方にはマカが適しています。また性欲の改善やストレスの緩和にはどちらもおすすめです。
目的に応じて自分に必要な成分を選ぶことが大切ですが、それでも「どちらを選べばよいか迷う」という場合は、マカを選ぶのがおすすめです。マカの根には、様々な栄養素と共に亜鉛も微量ながら含まれています。よって、マカを摂取することで亜鉛の働きも同時に取り入れることができ、総合的な体づくりや活力サポートに役立ちます。
それぞれに特化した働きを求める場合はマカと亜鉛を使い分けるべきですが、より包括的な効果を得たい場合は、マカを選ぶか、両者を併用するのがおすすめです。