アルギニンはペニスを増大する?必要な摂取量や効果を解説
- 公開日
- 2025年01月16日
- 更新日

ペニス増大を目的としたサプリなどに配合されていることも多いアルギニン。血管を拡張して血流を改善する作用が知られ、勃起力向上への効果が期待されていますが、実際にペニスを大きくする効果はあるのでしょうか?
現時点では、アルギニンが元々のペニスサイズを直接変える効果を示すデータは報告されていません。しかし、それでも「ペニス増大効果はない」とは言い切れない理由があります。
この記事では、アルギニンの効果やその仕組みを詳しく解説しつつ、ペニス増大についての関係を探ります。また、その効果を引き出すために重要な「摂取量」についても検証していますので、ぜひ最後までお読みください。
アルギニンとは

アルギニンは、タンパク質を構成する20種類のアミノ酸のひとつです。
アミノ酸のうち体内で作り出せないものを必須アミノ酸、体内で作り出せるものを非必須アミノ酸といいます。
アルギニンは非必須アミノ酸に分類されますが、生成できる量が少ないため食事によって補給する必要があります。このことから準必須アミノ酸と呼ばれることもあります。
アルギニンには、体内のアンモニアを解毒することで尿を作り出す働きがあります。この際、化学変化によって一酸化窒素(NO)が生まれます。NOには血管拡張作用を通して血流を促す働きがあるため、アルギニンを摂取することは血行の改善に繋がるのです。
さらに、アルギニンは脳を刺激して成長ホルモンの分泌を促進します。成長ホルモンは幼少期には身体の発育に深く関わり、成人後は免疫力の向上や代謝の促進といった健康維持に欠かせない役割を果たします。このように、アルギニンは年齢を問わず、身体の多くの機能を支える重要な成分です。
アルギニンが男性にもたらす効果
アルギニンは、男性の健康と活力をサポートする重要なアミノ酸として知られています。具体的には以下のような効果が期待できます。
ここからは、アルギニンが男性にもたらす効果について、そのメカニズムと実際に行われた研究を踏まえて解説していきます。
勃起不全(ED)の改善

アルギニンは、勃起の仕組みに深く関わる一酸化窒素(NO)の生成を促進することで、勃起不全(ED)の改善に寄与します。
NOには血管を拡張し、血流を増加させる働きがあります。性的刺激を受けると、脳がこの刺激を感知してNOを陰茎の海綿体に放出し、血管が拡張して血流が増加することで勃起が起こります。アルギニンは、このNO産生を助ける役割を果たすため、勃起機能の改善に効果があると考えられているのです。
実際に、EDとアルギニンに関する10件の論文のデータを統合した大規模な研究(The Potential Role of Arginine Supplements on Erectile Dysfunction: A Systemic Review and Meta-Analysis[リンク])では、軽度から中等度のED患者に対するアルギニンの有効性が支持されています。
具体的には、勃起の維持や性的満足度に関する評価項目などにおいて、プラセボ(偽薬)や無治療と比べて、統計的に明確な改善が示されたのです。
また、安全性の面でも、アルギニン摂取群の副作用発生率は8.3%と、プラセボ群の2.3%よりやや高いものの、いずれも軽度で、重篤な副作用は報告されていません。
以上の結果から、同研究ではEDに対するアルギニンの有効性を示唆しており、その仕組みにはNOを介した血管拡張作用が大きく関与していると考えられます。
精子欠乏症の改善
アルギニンは、精子の数や運動性を維持・向上するうえで重要な役割を果たします。
体内で一酸化窒素(NO)の生成を助け、血流を改善することで、精巣の機能を最適化し、精子の生成をサポートします。また、アルギニンは精子の運動性を高めるポリアミンの生成に関わっており、精子が卵子に到達する能力を向上させます。
アルギニンが精子数や運動性に与える効果については、いくつかの研究(TREATMENT OF OLIGOSPERMIA WITH THE AMINO ACID ARGININE[リンク])が報告されています。中でも、乏精子症の男性178人を対象とした調査では、1日4gのアルギニンを摂取させた結果、精子数の増加と運動性の向上が確認されました。また、この治療により複数の妊娠が成立しており、アルギニンの有効性が示唆されています。
よって、アルギニンは男性の生殖能力を改善し、妊娠の可能性を高める効果が期待できます。
筋肉の増強

アルギニンは、脳の下垂体に働きかけて成長ホルモンの分泌を促すことが知られています。成長ホルモンは筋肉の合成を活性化し、脂肪分解を促進する働きを持つため、筋肉増強と体脂肪の減少が期待できます。
また、アルギニンは一酸化窒素(NO)の生成をサポートし、血流を改善することでトレーニング中の筋肉への酸素供給を向上させ、運動パフォーマンスを高めます。
アルギニンの摂取とウエイトトレーニングを組み合わせることで筋力がアップすることを示した研究があります。
この研究(Investigation of the effects of oral supplementation of arginine in the increase of muscular strength and mass[リンク])では、8週間にわたるウエイトトレーニングと1日3gのアルギニン摂取を行うことで筋肉量の増加が確認されました。一方、ビタミンCのみを摂取してウエイトトレーニングを行ったグループは、筋肉量に変化がありませんでした。
この結果は、アルギニンが成長ホルモンの分泌を介して筋肉の増強に効果的であることを示しています。適切な摂取を行うことで、筋力向上やボディメイクのサポートが期待できます。
免疫力の向上
アルギニンは、T細胞やマクロファージなどの免疫細胞の働きをサポートする効果があります。
T細胞はウイルスや細菌に対する防御の中心的な役割を果たし、マクロファージは体内に侵入した異物を排除する役割を持っています。
アルギニンは一酸化窒素(NO)の生成を助けることで、これら免疫細胞の機能を活性化し、感染症への抵抗力を高めます。
アルギニンの免疫機能への影響を調べた研究(Effect of L-arginine on immune function: a meta-analysis[リンク])では、アルギニンを摂取することでT細胞の活性化が促進され、感染症の発生率が低下したことが報告されています。
このように、アルギニンは免疫力を高める成分として注目されており、適切に摂取することで、感染症の予防や体調維持に役立ちます。
疲労回復

アルギニンは、体内のアンモニア濃度を低下させることにより、疲労回復をサポートします。
アンモニアは運動や代謝活動で生じる疲労物質の一つです。体内に蓄積すると疲労感を引き起こします。
アルギニンは、アンモニアを無害な尿素に変換する「尿素サイクル」の中核を担っており、適切に摂取することでアンモニアの蓄積を抑え、疲労回復を促進します。
実際に、ラットを用いた研究(Mechanism of arginine protection against ammonia intoxication in the rat[リンク])では、アルギニンの補給がアンモニア中毒の軽減に寄与することが示されました。塩化アンモニウムを投与してアンモニア中毒を誘発したラットにアルギニンを補給したところ、血中のアンモニア濃度が低下したのです。
これにより、アルギニンが不足すると疲労回復が遅れる可能性が示され、アルギニンがエネルギー代謝と回復力向上に重要であることが分かります。
アルギニンにペニス増大効果はある?必要な摂取量は?

結論から言って、アルギニンがペニスの物理的なサイズ(長さや太さなど)を直接変化させるという科学的根拠は、現時点では確認されていません。
「これは、成人後に身長が伸びなくなるのと同様です。成長期を経て十分に発育を終えた身体は、基本的に構造的な変化が起こりません。そのため、サプリメントや特定の成分を摂取することで、ペニスの本来のサイズが恒久的に大きくなるという考えは現実的ではないと言えます。
一方、勃起時のペニスサイズについては、アルギニンが間接的に影響を与える可能性があります。アルギニンには血管を拡張し血流を促進する作用があり、それによって勃起機能が向上することが報告されています。
勃起は、ペニスの海綿体に血液が流れ込むことで発生します。アルギニンの効果で血流が増加し、海綿体がより大きく膨張することで、結果的に勃起時のサイズが増大して見える場合があるのです。

したがって、アルギニンはペニスの根本的なサイズを変えるものではありませんが、勃起力の向上を通じた一時的なサイズ増大の可能性を否定することはできません。
では、勃起力を高めるためには、具体的にどれくらいのアルギニンを摂取すれば良いのでしょうか?
1日あたり5g~6gの高用量摂取でED改善効果が報告されている
大前提として、アルギニンが勃起力を改善する効果に関してはまだ研究の段階であり、有効性を示す摂取量は明確に定められていません。
しかし、アルギニンのED改善効果に関する複数の研究を参照すると、比較的高用量の投与で効果が認められていることが分かります。以下は、WEB上で公開されている論文の中から、EDの患者に対してアルギニンが単体で投与された研究のデータをまとめたものです。
論文(発表年) | 1日あたりのアルギニン摂取量 | プラセボとの比較(試験結果) |
---|---|---|
D Menafra(2022) | 6g | 勃起や性的満足度に関するスコアおよび陰茎内の血流速度が改善 |
H Mozaffari-Khosravi(2017) | 5g | 勃起や性的満足度に関するスコアおよびテストステロン値が改善 |
Chen J(1999) | 5g | 尿中一酸化窒素の低下がみられる患者において勃起や性的満足度に関する主観的評価が改善 |
T Klotz (1999) | 1.5g | プラセボとの有意差が確認できなかった |
上記のデータから、比較的高用量である5g~6gのアルギニンが投与された研究においてはED改善効果が認められていることが分かります。いずれの研究においてもプラセボ(偽薬)を摂取したグループとの比較で、効果の明確な差が示されています。
一方で、比較的低用量といえる1.5gのアルギンが投与された研究では、プラセボとの間に効果の明確な差が示されませんでした。つまり、ED改善効果を期待する場合、アルギニンの摂取量としては5g以上の高用量を摂取することが重要である可能性が示唆されます。
ただし、アルギニンのED改善効果はまだ研究段階にあり、適切な摂取量は個々の体質や健康状態によって異なる可能性があります。深刻なEDに悩んでいる場合は、バイアグラなどのED治療薬を用いた治療も検討してみると良いでしょう。
より確実かつ安全に勃起力を改善したい場合には、バイアグラなどのED治療薬を用いるのが適切です。ED治療薬は、その有効性と安全性が科学的に確立されており、勃起不全に悩む多くの患者に利用されています。
アルギニンを多く含む食べ物

アルギニンは、大豆製品、種実類、肉類、魚介類に多く含まれています。中でも、アルギニンを摂取しやすい食べ物を以下の表にまとめました。
分類 | 食品名 | アルギニン含有量 |
---|---|---|
肉類 | ビーフジャーキー | 3.5g |
鶏胸肉(皮なし/焼き) | 2.6g | |
豚ひれ肉(焼き) | 2.5g | |
ささみ(焼き) | 2.1g | |
牛もも肉(皮下脂肪なし/焼き) | 1.8g | |
魚介類 | ホタテの貝柱(煮干し) | 5.3g |
干し海老 | 4.6g | |
するめ | 4.5g | |
しらす(半乾燥) | 2.5g | |
車海老(生) | 2.1g | |
ごまさば(焼き) | 1.8g | |
かつお(生) | 1.4g | |
大豆製品 | 大豆(炒り) | 3.0g |
きな粉 | 2.8g | |
種実類 | 落花生(乾燥) | 3.3g |
ごま(乾燥) | 2.9g | |
くるみ(炒り) | 2.3g | |
アーモンド(乾燥) | 2.2g |
参考:食品成分データベース
肉類や魚介類は、日常の食事に取り入れやすく、アルギニンの摂取源として最適です。特に、鶏むね肉や豚ヒレ肉は調理の幅が広く、さまざまな料理に応用できます。
ただし、アルギニンの量は調理法によって変化することがあります。例えば、豚ひれ肉はローストやソテーにすると100gあたり2.5gのアルギニンを摂取できます。しかし、とんかつにすると1.6g程度になってしまうため注意が必要です。
アルギニンの効果的な摂取方法
アルギニンは、摂取するタイミングによってその効果を最大限に引き出すことが可能です。
体の回復や機能向上が求められる場面でアルギニンを取り入れることで、筋肉の修復、疲労回復、血流改善といった多くのメリットが期待できます
アルギニンを摂取するのに最適なタイミングとして「寝る前」と「運動の後」が挙げられます。
寝る前
アルギニンは、成長ホルモンの分泌を促進するアミノ酸です。就寝前に摂取することで、睡眠中の成長ホルモン分泌をサポートし、筋肉の修復や疲労回復を助ける効果が期待できます。
また、アルギニンは血管拡張作用を持つ一酸化窒素の生成を促し、血流の改善にも影響します。これにより、睡眠中の体内循環が向上し、全身のコンディションを整える効果が期待できます。
アルギニンの摂取は、免疫機能の向上にも関わっています。就寝前の摂取は翌朝の活力向上にも繋がります。
運動の後
アルギニンを運動後に摂取することで疲労回復効果が高まります。
運動により体内のアンモニア濃度が上昇し、疲労感を引き起こしますが、アルギニンはこのアンモニアを解毒し、疲労回復を促進します。
また、成長ホルモンの分泌を促し、筋肉の修復や増強をサポートします。血流を改善する効果もあり、運動後の筋肉への酸素供給を円滑にし、回復を早めるとされています。
これらの理由から、運動後にアルギニンを摂取することで、疲労回復や筋力向上に役立つと考えられます。
低血圧や不整脈がある人は要注意

低血圧や不整脈といった血圧に関する疾病を抱えている方は、アルギニンの摂取に注意が必要です。
アルギニンは血管拡張作用を持つことから、血圧を低下させる可能性があります。そのため、低血圧の方がアルギニンを摂取すると、血圧がさらに下がり、めまいや立ちくらみなどの症状を引き起こすリスクがあります。
同様に、不整脈や高血圧の治療で血管作動薬を服用している場合、血圧が下がりすぎてしまうおそれがあります。このような状態が続くと、内臓や細胞組織への血流が不足してしまい機能不全を起こしてしまいます。
何らかの病気があったり薬を服用中である場合は、医師や薬剤師に相談してからアルギニンを摂取するようにしましょう。また、健康であってもアルギニンの摂取量に気を配り、過剰に摂取しないようにしてください。
アルギニンに関するQ&A
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- アルギニンは性欲を高める?
- 現在の研究では、アルギニンが直接的に性欲を高める効果を持つという科学的なエビデンスは確認されていません。アルギニンが精力系サプリメントに配合される理由は、その血管拡張作用により勃起機能の向上が期待されているためです。一方で、性欲にはテストステロンなどの性ホルモンや心理的要因(ストレスや気分など)が関与しており、アルギニンがこれらに直接影響を与えるという報告は現在のところ見つかっていません。
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- シトルリンとアルギニンの違いは?
- シトルリンとアルギニンの違いは、体内での吸収効率と代謝経路にあります。アルギニンは、摂取後すぐに肝臓で代謝されます。そのため、吸収効率が低くなり、十分な効果を得るには高用量の摂取が必要です。シトルリンは体内でアルギニンに変換される性質があります。腸管で効率よく吸収された後、腎臓でアルギニンに代謝されるため、血中アルギニン濃度をより効果的に高めることができます。この違いから、シトルリンはアルギニンの代替または補助成分として利用されることが多く、特に持続的な血流改善を目的とする際に優れた選択肢とされています。
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- シトルリンとアルギニンは併用できる?
- シトルリンとアルギニンは併用できます。むしろ、一緒に摂取することで相乗効果が期待できます。シトルリンは体内でアルギニンに変換されるため、血中のアルギニン濃度を効率的に高める働きがあります。一方で、アルギニンは直接的に血管を拡張し、血流を改善する効果を持っています。これらを併用することで、アルギニン単独摂取よりも持続的な血流改善や運動パフォーマンスの向上が見込めます。
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- アルギニンが多い飲み物は?
- アルギニンが多い飲み物には、豆乳やプロテインドリンク、エナジードリンクなどがあります。豆乳は植物性タンパク質が豊富で、アルギニンを自然に摂取できる飲み物としておすすめです。プロテインドリンクは、運動後の栄養補給や筋肉の修復をサポートするためにアルギニンを強化した製品も多く見られます。エナジードリンクには高濃度のアルギニンが配合されているものがあり、即効性のエネルギー補給や血流改善を目的として利用されています。
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- アルギニンの過剰摂取は危険?
- アルギニンは、アルカリ性なので胃酸を中和してしまい、消化器官に負担がかかりやすくなります。食事で摂取する分量では健康を害する心配はありませんが、サプリなどで過剰摂取すると腹痛や下痢などの不調を起こすおそれがあります。また、アルギニンには一酸化窒素を増やして血管を拡張する作用があるため、低血圧や心臓への負担増加のリスクがあることにも注意が必要です。
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- アルギニンの効果はいつから現れる?
- アルギニンの効果が現れるタイミングは、摂取してから30分〜1時間程度とされています。これは、アルギニンの血中濃度が最大になるまでに30分〜1時間ほどかかるためです。例えば、運動パフォーマンスの向上が目的の場合は、運動する直前ではなく、1時間前に摂取しておく必要があります。ED改善効果については持続的な服用が必要であり、即効性は期待できません。2型糖尿病と併発したEDの患者を対象にした研究*では、アルギニンを4週間摂取し続けることで勃起機能の改善が認められています。
※参考:Effect of Oral Supplementation of L-arginine on Sexual Function in Men with Type 2 Diabetes: A Double-blind Clinical Trial
男性に様々なメリットをもたらすアルギニン

アルギニンは、男性の健康や活力をサポートする重要なアミノ酸です。
血流や成長ホルモン分泌を促進する働きが知られており、EDの改善、精子の質向上、筋肉増強、免疫力向上、疲労回復など、幅広いメリットが期待されています。
ペニスサイズに関しては、勃起力の向上を通して間接的に寄与する可能性があります。血管拡張作用によって海綿体への血流が向上することで、結果的に勃起時におけるペニスサイズが増大します。
こうした男性機能の向上を目的とする場合、アルギニンの適切な摂取量について現時点で明確な基準はないものの、1日あたり5g~6gの比較的高用量の摂取によってED改善効果が確認された研究があります。摂取を検討する際には、この数値をひとつの目安として参考にしてみると良いでしょう。
ただし、アルギニンが男性機能に及ぼす効果は、現時点ではまだ研究の段階といえます。また、効果を感じるまでに時間がかかることや、個人差がある点にも注意が必要です。そのため、EDなどの深刻な問題に悩んでいる場合には、バイアグラなどを使った薬剤療法を検討してみるのも一つの方法です。

勃起不全(ED)の治療で主に行われるのはバイアグラやシアリスなどのED治療薬を使った薬剤療法です。治療の流れや薬剤の種類などの情報について徹底解説。