リベルサス×フォシーガ併用でダイエットは可能?飲み方やリスクも解説
- 公開日
- 2025年05月12日
- 更新日

メディカルダイエットの薬として注目を集めている「リベルサス」と「フォシーガ」。どちらの薬も、それぞれ単独で体重を減らす効果が期待されていますが、減量効果を高める目的で両方の薬を併用する治療が選択されることもあります。
実際、リベルサスとフォシーガはそれぞれ異なるアプローチで減量効果を発揮する薬であるため、併用することで、より高い効果が期待できると考えられています。とはいえ、医療用の薬をダイエット目的で使用するのは本当に安全なのでしょうか?また、併用する場合はどのような飲み方が望ましいのでしょうか?
この記事では、リベルサスとフォシーガをダイエット目的で併用することは可能なのか、その効果や飲み方、リスクなどをわかりやすく解説します。
リベルサスとフォシーガはどんな薬?

リベルサスとフォシーガは、いずれも2型糖尿病の治療に使われる血糖降下薬です。どちらも減量効果が期待できることから、ダイエット外来で処方されることもあります。ただし、それぞれ異なるタイプの薬に分類されており、作用の仕組みやもたらす効果には明確な違いがあります。
薬品名 | リベルサス | フォシーガ |
---|---|---|
有効成分 | セマグルチド | ダパグリフロジン |
薬の分類 | GLP-1受容体作動薬 | SGLT2阻害薬 |
血糖値を下げる仕組み | 体内で糖を処理する機能をサポートする | 糖そのものを体の外に出す |
減量効果の仕組み | 食欲の抑制、満腹感の維持 | 糖の排出に伴うエネルギー摂取量の減少 |
副作用 | 吐き気、嘔吐、下痢、便秘など | 頻尿、口の渇き、性器感染症、尿路感染症など |
リベルサス
リベルサスは、有効成分に「セマグルチド」を配合した糖尿病治療薬で、GLP-1受容体作動薬という分類に属します。この薬は、インスリン(血糖値を下げるホルモン)の分泌を助けることで、血糖をコントロールしやすくする働きがあります。
さらに、脳の満腹中枢に作用して食欲を抑えるとともに、胃の動きをゆるやかにして満腹感を長く保つため、自然に食事量が減りやすくなります。これにより、摂取カロリーが抑えられ、無理のない体重減少が期待できるのが特徴です。
こうした理由から、肥満傾向のある2型糖尿病の患者さんによく使われているほか、ダイエット目的で保険適用外(自費診療)で処方されることもあります。
フォシーガ
フォシーガは、有効成分に「ダパグリフロジン」を配合した糖尿病治療薬で、SGLT2阻害薬という分類に属します。この薬は、腎臓で再吸収されるはずの糖をブロックし、余分な糖を尿として体の外に排出させることで、血糖値を下げる働きがあります。
このとき、体外に排出される糖にはカロリーも含まれているため、摂取したエネルギーの一部が失われ、結果的に体重の減少につながります。また、軽度の利尿作用もあることから、体内の水分バランスが整い、むくみの軽減を実感する人もいます。
以上のような特徴により、フォシーガも2型糖尿病の治療だけでなく、ダイエット目的で保険適用外で処方されるケースがあります。
ダイエットを目的とした併用は可能か

ダイエットを目的にリベルサスとフォシーガを併用することは可能です。実際、2型糖尿病の治療では、血糖値の管理だけでなく体重を減らす目的で、2つの薬を併用することがあります。
この2つの薬を組み合わせることで、体重を減らす効果がより高まると考えられています。なぜなら、リベルサスとフォシーガは、それぞれ異なる仕組みで体重を減らす働きがあるからです。
リベルサスは、脳に働きかけて食欲を抑え、胃腸の動きをゆるやかにして満腹感を長く保つことで、自然に食べる量を減らします。一方、フォシーガは、腎臓での糖の再吸収を抑えて、余分な糖を尿として体の外に出すことで、摂取カロリーの一部を減らします。
薬剤 | 減量のメカニズム | 解説 |
---|---|---|
リベルサス | 食欲の抑制 | 脳に作用して、直接食欲を低下させる |
満腹感の維持 | 胃腸の動きに影響を及ぼして、満腹感を持続させる | |
フォシーガ | 糖とともにカロリーを排出 | 尿に糖を出すことで、エネルギーの一部を体の外に排出する |
このように、2つの薬は違った方向から減量を助けるため、併用することで、より高いダイエット効果が期待できるとされています。
リベルサスとフォシーガの併用は、必ず医師の管理の下で行う必要があります。これらの血糖降下薬を併用すると、血糖値が下がりすぎる=低血糖のリスクが生じるからです。低血糖になると、ふるえ・冷や汗・動悸・集中力の低下などの症状が現れ、重症の場合は意識を失うこともあります。
併用によって減量効果が向上したという研究データ
リベルサスとフォシーガを併用することで、より明確な減量効果が得られる可能性があることがイタリアの研究によって報告されています。(L. Maria Elena Lunati et al., 2024.[リンク])
この研究では、糖尿病のある人1,335人を対象に、ダパグリフロジン(フォシーガ)だけを使ったグループと、経口セマグルチド(リベルサス)とダパグリフロジンを両方使ったグループで、体重の変化が比べられました。6ヶ月後の結果は、次の通りです。
薬の使い方 | 体重変化(6ヶ月後) | BMI変化(6ヶ月後) |
---|---|---|
ダパグリフロジンだけを使った場合 | −2.5 kg | −0.9 |
セマグルチドとダパグリフロジンを併用した場合 | −4.2 kg | −1.5 |
ダパグリフロジン単独では体重が2.5kg、BMIが0.9減少したのに対し、併用したグループではそれぞれ4.2kg、1.5の大幅な減少がありました。これは、食欲抑制や満腹感の持続に関わるセマグルチドの作用が影響していると考えられます。
上記の研究から、フォシーガを単独で使用する場合に比べて、フォシーガとリベルサスを併用した方が、体重減少効果がより高まることが実証されました。
リベルサスとフォシーガを併用する飲み方

リベルサスとフォシーガは併用できますが、同時に飲むとリベルサスの効果が弱まる可能性があります。そのため、リベルサスを服用した後は、少なくとも30分以上あけてからフォシーガを服用するようにしましょう。
リベルサスは、朝起きた直後に少量の水(120mL以下)で服用する必要があります。その後は、少なくとも30分間は飲食を控えてください。この間にほかの薬を飲むと、リベルサスの吸収が妨げられ、効果が十分に発揮されない可能性があります。
一方、フォシーガは食前・食後を問わず服用できますが、一般的には朝食後に飲むのがよいとされています。
したがって、両方の薬の効果をきちんと引き出すには、次のような服用スケジュールがおすすめです。
- 朝起きてすぐにリベルサスを服用
- 30分後に朝食を食べる
- 食後にフォシーガを服用
なお、リベルサスには服用時の水分量や保管方法など、ほかにもいくつかの注意点があります。詳しい使用方法については、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
併用時に注意が必要な健康リスク

リベルサスとフォシーガを併用する際に注意が必要な健康リスクとして、以下が挙げられます。
以下、それぞれの原因や症状、対策などについて詳しく解説します。
1.低血糖
脱力感、倦怠感、強い空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、視覚異常など
リベルサスとフォシーガを併用する際、最も注意が必要なのが低血糖です。低血糖は糖尿病治療薬の血糖降下作用により、血糖値が過度に低下した状態を指します。
リベルサスのようなGLP-1受容体作動薬と、フォシーガのようなSGLT2阻害薬はいずれも低血糖を起こしにくいタイプの薬ではありますが、併用した場合には低血糖の発生頻度は低いものの、そのリスクはゼロではありません。
低血糖になると、まず交感神経症状として、動悸・冷や汗・ふるえ・不安感などの症状が生じ、さらに血糖値が大きく下がると、中枢神経症状として、頭痛・集中力の低下・めまいなどが現れます。最終的には、昏睡(こんすい)など意識のない状態になってしまう危険性があります。
低血糖の対策
- 異変を感じたらすぐに糖分を補給する(ブドウ糖10g、砂糖20g、またはブドウ糖を含む飲料150〜200mL)
- 車を運転中の場合はすぐに停止し、安静にする
- 家族や周囲の人にも、症状と対応方法を共有しておく
多くの場合は短時間で改善しますが、15分たっても良くならない場合は再度糖分を摂取してください。外出時はブドウ糖などを携帯しておくと安心です。
2.脱水症状
喉の渇き、発汗の減少、皮膚の弾力性の低下、尿量の減少、口の渇き、めまい、ふらつき、疲れやすい、食欲がないなど
リベルサスとフォシーガの併用でリスクが高まる副作用として、脱水症状も挙げられます。
フォシーガは、尿中に糖とともに水分を排出することで尿量が増え、脱水を起こすことがあります。一方、リベルサスは副作用の下痢や嘔吐が続くことで脱水状態になることがあります。
これらの要因が重なることで、両薬の併用によって脱水リスクがさらに高まることがあります。
脱水になると、まずは強い喉の渇きを感じます。そこから体内の水分が不足すると、発汗や尿の量が減少し、皮膚の弾力性が低下、口の中が乾燥していきます。
重度になると、喉の渇きが感じられなくなったり、立ち上がったときにふらつく(起立性低血圧)、錯乱、ショック、昏睡といった深刻な症状を引き起こすこともあります。
脱水症状の対策
- のどが渇いていなくても、こまめに水分をとる
- 水だけでなく、電解質(ナトリウム・カリウム)も補える経口補水液の利用がおすすめ
- 吐き気や下痢がある場合は、早めに医師へ相談し、必要に応じて点滴などの治療を受ける
糖分を多く含むスポーツドリンクや清涼飲料水は、血糖値を悪化させる可能性があるため注意が必要です。
3.その他副作用
その他にも、リベルサスとフォシーガでは、それぞれ以下のような副作用が報告されています。
- リベルサスの主な副作用
- 吐き気、下痢、食欲減退、頭痛、糖尿病網膜症、便秘、嘔吐
- フォシーガの主な副作用
- 性器感染(腟カンジダ症など)、尿路感染(膀胱炎など)、体液量減少(脱水)、便秘、口渇、頻尿、尿量増加、陰部のかゆみ
リベルサスでは吐き気や下痢などの胃腸に関する副作用が出やすいのが特徴です。特に飲み始めに現れやすいとされており、多くの場合は時間の経過とともに軽くなる傾向があります。食後すぐの服用を避けたり、少量からゆっくりと始めることで、副作用の出方を和らげることができます。
一方、フォシーガでは、糖を尿と一緒に排出する仕組みのため、性器や尿路の感染症が起こりやすくなる点に注意が必要です。女性では腟カンジダ症、男性では亀頭包皮炎などがみられることがあります。
メトホルミンを含めた3剤の併用はできるのか

メトホルミンは、2型糖尿病治療薬の中でもメジャーな薬です。血糖降下作用に加えて、減量効果が期待できるという点において、リベルサスやフォシーガとも共通しています。
このメトホルミンに対して、リベルサスのようなGLP-1受容体作動薬と、フォシーガのようなSGLT2阻害薬を組み合わせる治療法は、血糖コントロールが不十分な場合に選択肢のひとつとして検討されることがあります。
スイスの糖尿病治療ガイドライン(2023年)では、メトホルミンを基本として、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬を段階的に追加する治療方針が示されています。その中で、2つの薬の併用でも十分な効果が得られない場合には、この3種類の薬を併用する「3剤併用療法」も治療の選択肢として明記されています。(Gastaldi et al., 2023.[リンク])
ただし、減量を目的にこれら3剤を併用した場合の研究データは報告されていません。また、薬を増やすことで、低血糖などの副作用のリスクが高まるおそれもあります。そのため、自己判断で3剤を併用するのは避け、必ず医師の判断のもとで治療を進めるようにしましょう。

メトホルミンで痩せるって本当?-5.8kgのダイエット効果とは?
糖尿病治療薬として古くから用いられているメトホルミンですが、近年では減量を目的に活用されることもあります。海外の研究では、6ヶ月間の治療で-5.8kgの減量が確認されたといった報告もあります。
併用は減量効果を高めるが医師の管理が必要

リベルサスとフォシーガは、いずれも2型糖尿病の治療に使われる薬ですが、減量効果が期待できることから、ダイエット目的で注目されています。
それぞれ異なる仕組みで体重減少にアプローチするため、併用によって相乗的な効果が得られる可能性もあります。
実際の研究でも、2剤を併用したグループのほうが、単剤よりも大きな体重減少が見られたという結果が報告されています。
ただし、これらの血糖降下薬の併用は、低血糖や脱水症状の発症リスクを高めるおそれがあります。必ず医師の管理のもとで使用することが大前提です。
自己判断での併用は避け、ダイエット目的であっても、医師と相談したうえで安全に取り入れるようにしましょう。

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