「ソイプロテインは絶対ダメ」は嘘?女性化や筋肉への影響などの真相
- 公開日
- 2025年02月17日
- 更新日

「ソイプロテインは絶対ダメ」という噂を聞いたことはありますか?
ソイプロテインは健康や美容、筋トレのサポートなど幅広く活用されていますが、一部のネガティブな噂によって敬遠する人もいます。
特に、「男性が飲むと女性化する」「筋肉がつかない」といった主張が、ソイプロテインを避ける理由として挙げられることが多いです。
しかし、これらの主張には科学的根拠が乏しく、適量の摂取で健康に悪影響を及ぼすことはないことが明らかになっています。
この記事では、ソイプロテインに関する噂の背景や、その真偽を科学的データに基づいて解説します。さらに、実際に注意が必要なソイプロテインのデメリットや対策についても紹介します。
ソイプロテインに関する誤解を解き、自分に合ったプロテイン選びの参考にしてください。
ソイプロテインとは

ソイプロテインは、大豆から作られた植物性タンパク質を主成分とするプロテインです。ダイエットや筋トレ、美容の目的で広く活用されています。
ソイプロテインは、大豆から油脂を除去し、タンパク質を抽出することで作られます。大豆には約35%のタンパク質が含まれており、プロテインとして取り入れることで、植物性タンパク質を効率よく補給できます。そのため、日々のタンパク質不足を補うのに適しています。
また、動物性タンパク質と比較すると、低脂質・低カロリーである点も魅力の一つです。筋トレやウォーキングなどの適度な運動と併用することで、ダイエットや筋力アップの効果が期待できます。

ソイプロテインは痩せる?5つのダイエット効果と活用方法を紹介
ソイプロテインには体脂肪の減少や食事量の抑制などの減量効果が確認されています。満腹感の持続や脂肪燃焼促進など、体重管理に役立つ5つの作用からダイエットにおすすめです。
女性ホルモンと似た働きをするイソフラボンを含んでいる
ソイプロテインには、大豆由来のイソフラボンという成分が含まれています。イソフラボンは、体内でエストロゲン(女性ホルモン)に似た働きをすることで知られています。
エストロゲンには肌のハリや髪のツヤを保つ効果があり、骨の健康維持や自律神経のバランスを整える役割もあるため、ソイプロテインには美容や健康をサポートする効果が期待されています。
一方で、イソフラボンの働きに関連して、ソイプロテインを過剰に摂取すると女性ホルモンの作用が強まり、男性ホルモンが抑制されるという噂が広がっています。
具体的には「身体が女性化する」「筋肉の発達が阻害される」などの情報が一部で話題となっています。
しかし、これらの噂が科学的に明確に裏付けられているわけではありません。イソフラボンが体内で女性ホルモンのように働くとはいえ、その作用はごく緩やかです。
通常の食事や適量のソイプロテイン摂取によって、健康に影響を及ぼす可能性は極めて低いと考えられます。
では、ソイプロテインは本当に避けるべきなのでしょうか?次のセクションで詳しく見ていきましょう。
男性に対する「ソイプロテインは絶対にダメ」は嘘?

「ソイプロテインは絶対ダメ」と言われる理由は、主に以下の2点です。
- ホルモンバランスを乱して、女性化を引き起こす
- 筋肉増強効果が弱く、筋トレに向かない
しかし、これらの主張には科学的根拠が乏しいことが分かっています。最新の研究では、適量の範囲内での大豆摂取は健康を損なうことなく、むしろ筋トレの効果を高める可能性が示されています。
以下では、「ソイプロテインは絶対ダメ」という噂がどのように広まったのかを解説し、実際の研究結果をもとにその誤りを検証していきます。
そもそも噂の発端となった海外の記事には多数の問題があった
ソイプロテインに関する「ホルモンバランスに悪影響を及ぼす」という噂の発端となったのは、男性の健康に関する情報を発信している「Men's Health」が、2009年に掲載したある記事(現在は非公開)です。
この記事で主張されたのは「大豆は男性のホルモンバランスを崩し、女性化を引き起こす可能性がある」というものです。この内容が広く拡散されたことで、多くの人が「大豆は男性ホルモンに悪影響を与える」と誤解するようになりました。
その根拠として引用されたのが、2008年に発表された症例報告(An unusual case of gynecomastia associated with soy product consumption[リンク])です。この報告では、1日3Lの豆乳を毎日飲んでいた男性が女性化乳房(乳房のふくらみ)を発症したとされています。
しかし、3Lもの豆乳はコップ約12杯分に相当し、通常の食生活では考えにくいほどの過剰摂取になります。にもかかわらず、記事ではこの点が十分に説明されませんでした。その結果、一般的な摂取量でも同様の影響が出るかのように誇張されてしまったのです。
近年の研究では、適量の大豆摂取が男性ホルモンに悪影響を及ぼさないことが明らかになっています。2018年のMen’s Healthの記事(This Dairy-Free Milk Packs Just As Much Protein As the Regular Stuff[リンク])では、「1日4食分までの大豆摂取は問題ない」という専門家の意見が紹介され、大豆がホルモンバランスを乱すという主張は見直されました。
とはいえ、一度広まった誤情報は今でも多くの人が信じており、「ソイプロテイン=女性化」というイメージはいまだに根強く残っています。
ホルモンバランスに影響しないことが証明された研究データ

ソイプロテインの摂取がホルモンバランスに影響を及ぼさないことは、最新の研究によって示されています。
2021年に発表されたある研究(Neither soy nor isoflavone intake affects male reproductive hormones: An expanded and updated meta-analysis of clinical studies[リンク])では、ソイプロテインやイソフラボンの摂取が男性のホルモンレベルに明確な影響を与えないことが確認されました。
本研究は、2010年から2020年に発表された41件の臨床試験を対象に、1,753名の男性のホルモン数値を分析したメタ分析(過去に行われた複数の研究データを統合して、より精度の高い研究結果を得る分析)であり、信頼性の高いデータといえます。
この研究では、男性ホルモンである「テストステロン(体内の総量および自由に働くもの)」、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」、そしてホルモンを運ぶたんぱく質の濃度が評価されました。その結果、いずれのホルモン指標にもソイプロテインやイソフラボンの摂取が有意な影響を及ぼした証拠は見つかりませんでした。
さらに、どの程度の量をどの期間摂取すると影響が出るのかについても調査が行われました。その結果、1日あたり75mgを超える多めの量を摂取した場合や、12週間以上の長期間にわたって摂取した場合でも、ホルモンに顕著な変化は確認されませんでした。
以上のデータから、通常の食事やサプリメントで摂取する範囲のソイプロテインやイソフラボンが健康に悪影響を及ぼす可能性は低いことが示唆されています。
筋肉増強効果もホエイプロテインと同等であることが報告されている

ソイプロテインに関するネガティブなイメージとして「動物性タンパク質に比べて筋肉増強効果が弱い」といった意見もありますが、この主張にも科学的根拠はありません。実際の研究では、ソイプロテインとホエイプロテインが同等の筋肉増強効果を持つことが確認されています。
2021年に発表された研究(High-Protein Plant-Based Diet Versus a Protein-Matched Omnivorous Diet to Support Resistance Training Adaptations: A Comparison Between Habitual Vegans and Omnivores[リンク])では、若年男性を、ソイプロテイン摂取グループとホエイプロテイン摂取グループ(各19名)に分け、それぞれのプロテインが筋力向上に与える影響が比較されました。
12週間にわたり、週2回の筋力トレーニングを実施し、両グループとも1日に体重1kgあたり1.6gのタンパク質摂取量を維持しました。その後、筋肉の量や面積などの変化が測定されました。
その結果、大腿部の筋肉量、筋肉の断面積(大腿直筋・外側広筋)、筋線維のサイズ、レッグプレスの最大重量のいずれも、両グループで有意な差は見られませんでした。
この研究結果は、ソイプロテインも筋力増強に有効であり、ホエイプロテインなどの動物性タンパク質と同等の効果があることを示しています。つまり、適切なタンパク質摂取量を確保すれば、ソイプロテインでも十分に筋肉の成長を促すことが可能であると科学的に支持されています。
女性がソイプロテインを摂取することは安全なのか?

結論として、女性がソイプロテインを摂取することは安全です。ソイプロテインは効率的なタンパク質摂取に役立つだけでなく、大豆イソフラボンによる美容・健康効果が期待できるというメリットもあります。
ただし、過剰な摂取はホルモンバランスを乱し、女性ならではの健康トラブルを引き起こすリスクもあります。特に妊娠中は胎児の発育に影響するリスクもあるため、特別な注意が必要です。
そのため、ソイプロテインを摂取する際は、適量を守りながら、体調や健康状態の変化に注意し、無理のない範囲で取り入れることが重要です。
過剰摂取は女性ならではのリスクがある
ソイプロテインに含まれるイソフラボンを過剰に摂取すると、ホルモンバランスが崩れ、生理不順や子宮内膜が厚くなるリスクが指摘されています。
食品安全委員会では、イソフラボンの1日の摂取量の上限を70〜75mgと定めています。
大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値は、大豆イソフラボンアグリコンとして70〜75mg/日と設定しました。
引用:大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A | 食品安全委員会 - 食の安全、を科学する
この基準は、イタリアのペルージャ大学が行った研究(Endometrial effects of long-term treatment with phytoestrogens: a randomized, double-blind, placebo-controlled study[リンク])を参考にしています。研究では、閉経後の女性179人に1日150mgのイソフラボンを5年間摂取させた結果、6人(約3.8%)に子宮内膜が厚くなる現象が確認されました。
そのため、安全な目安としてこの量の半分である75mgが設定されています。
ただし、この上限値は安全のために余裕をもたせたものであり、食品安全委員会も上限を少し超えたとしても、すぐに健康被害が起こるわけではない旨を説明しています。実際に、不妊治療を目的とした試験では1日1,500mgという高用量を投与しても、深刻な副作用は報告されていません。
日常生活においてはソイプロテインを1日1杯摂取する程度なら、健康への影響を気にする必要はありません。
妊娠中は特に注意が必要

妊娠中はソイプロテインの過剰摂取が胎児に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。
食品安全委員会は、妊婦や胎児への影響を確認する十分な研究データがないことから、普段の食事に加えてイソフラボンを多く摂ることを推奨していません。動物実験において、高濃度のイソフラボンが胎児の生殖機能や発育に影響する可能性が報告されているためです。
通常の食事からもある程度のイソフラボンは摂取されるため、サプリメントやソイプロテインを追加で摂取することは避けた方が良いでしょう。
妊娠中にどうしてもプロテインを摂取したい場合には、ソイプロテインではなくホエイプロテインを選ぶと安心です。
実際に注意が必要なソイプロテインのデメリット
ソイプロテインが「絶対ダメ」と噂される主張には科学的根拠が乏しいことは説明しました。しかし、それでもデメリットが一切ないわけではありません。ソイプロテインを摂取する際には、以下の点に注意が必要です。
以下では、それぞれのデメリットの注意点や対策などについて詳しく解説します。
大豆アレルギーに要注意

数が少なく、あまり知られてはいませんが、大豆はアレルギーを起こすことがあります。ソイプロテインを含む大豆食品を摂取することで、皮膚のかゆみや息苦しさといった症状が現れることがあります。
特に豆乳には多量の大豆タンパクが含まれており、呼吸困難やアナフィラキシーといった重篤な症状を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
大豆アレルギーは、いきなり重篤な症状が出るわけではなく、最初は疲れているときに大豆を食べると、唇のかゆみや腫れといった軽度の症状が出ることが多いです。そのため、アレルギーと気づく人は少ないでしょう。
しかし、継続的に摂取していると、大豆を食べるたびに症状が出るようになり、そこで初めてアレルギーを自覚するケースが多いです。
消化不良や下痢が起きる場合がある
ソイプロテインを摂取すると、一時的に消化不良や下痢を引き起こすことがあります。これには以下のような原因が考えられます。
- 腸内環境の悪化
- 牛乳に溶かして飲んでいる
- 人工甘味料が合っていない
- タンパク質・食物繊維・イソフラボンの摂りすぎ
- レクチンの影響
レクチンは腸内での栄養素の吸収を妨げ、腸を刺激することで下痢などの消化器系の症状を引き起こす可能性があります。また、ソイプロテインを牛乳で溶かして飲むと、乳糖不耐症の方は下痢や腹痛を起こすことがあります。さらに、ソイプロテインに含まれる人工甘味料が腸で吸収されにくく、一時的に軟便や下痢などの症状を引き起こす場合もあります。
これらの症状を予防するためには、ソイプロテインを水やアーモンドミルクで溶かす、人工甘味料の少ない製品を選ぶ、適切な摂取量を守るなどの対策が有効です。
溶けにくい

ソイプロテインは、ホエイプロテインと比較して水に溶けにくい性質を持っています。粉末が溶けきらずにダマが残ると、口当たりが悪くなるため、飲みにくさを感じることがあります。
また、粉末を溶かす液体が少なかったり、十分に混ざっていなかったりすると、プロテインが溶け残る原因になります。
プロテインが溶けにくい場合は、プロテインシェーカーやブレンダーボールを使用すると、粉末が混ざりやすくなります。また、豆乳や牛乳などの乳製品を使用すると、水よりも溶けやすくなることがあります。
先に粉を入れると、プロテインが溶けにくくなるため、液体を先に入れ、粉を後から加えることで混ぜやすくなります。さらに、混ぜる際は10~15回程度シェイクすると、ダマになりにくくなります。
味にややクセがある
ソイプロテインは、大豆特有の粉っぽさやわずかな苦みがあるため、苦手な人にとっては飲みにくいと感じることがあります。
ただし、商品によっては苦みを抑え、飲みやすく工夫されているものもあります。また、牛乳や豆乳で割ることで、水で割った場合よりもまろやかになり、飲みやすく感じるでしょう。
長期間飲み続けることを考えると、味の好みは重要なポイントになります。そのため、まずは少量タイプを試し、自分に合うかどうかを確認するとよいでしょう。
遺伝子組み換え大豆が使用されている可能性がある

ソイプロテインには、遺伝子組み換え大豆が使用されている商品があります。遺伝子組み換え大豆とは、その名の通り、人工的に遺伝子を組み替えて改良された大豆のことです。病気や寒さに強くなり、収穫量が増えるよう改良されています。
また、遺伝子組み換え大豆は除草剤などの薬剤への耐性を持つため、通常よりも多くの薬剤が使用される傾向があります。そのため、安全性について懸念し、遺伝子組み換え大豆を避けたいと考える人も少なくありません。
遺伝子組み換え大豆を避けたい場合は、「遺伝子組み換え大豆不使用」と明記されているプロテインを選ぶとよいでしょう。
適切な量で摂取すればソイプロテインは安全に使用できる

ソイプロテインは植物性タンパク質を効率よく補給できることから、ダイエットや筋トレ、美容のサポートに活用されています。
しかし、男性が飲むと「女性化する」「筋肉がつかない」といったネガティブな噂が広がっており、飲んだら絶対にダメと誤解されがちです。
実際には、適量の摂取であればホルモンへの影響はなく、筋肉の維持・増強にも役立つことが科学的に証明されています。
ただし、ソイプロテインの摂取にはデメリットもあり、大豆アレルギーや消化不良、溶けにくさなど、注意すべき点も存在します。
大切なのは、ソイプロテインの特性を理解し、自身の目的や体質に合ったソイプロテインを選ぶことです。ソイプロテインに対する誤解をなくし、正しい知識を元に上手に活用していきましょう。

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