サノレックスを解説!通販できる?保険適用の条件やリベルサスとの違いなど
- 公開日
- 2024年09月02日
- 更新日

肥満に悩んでいる方にとって、ダイエットが思うように進まないことは大きなストレスですよね。そんな中、食欲を抑えて体重減少をサポートする「サノレックス」は、気になる存在かもしれません。
サノレックスは中枢神経に作用して食欲を抑える効果が期待されますが、他の薬とは異なる特性があるため、医師の厳しい管理のもとで使用する必要があります。
本記事では、サノレックスの具体的な効果や副作用について詳しく解説するとともに、保険適用の条件や他の肥満治療薬との違い等についても触れます。肥満治療に興味のある方、サノレックスによる治療を検討している方は、ぜひ読み進めてみてください。
サノレックスとは
サノレックスは、1992年に日本国内で初めて肥満症治療の適応が承認された医薬品です。この薬は脳に作用して食欲を抑制する効果があり、食事療法や運動療法のみでは十分な効果が得られない高度肥満症の患者に使用されます。
画像引用:QLife「サノレックス錠0.5mgの基本情報」
サノレックスは1973年に米国で初めて発売され、欧州各国を含む多くの国で肥満治療薬として使用されてきました。しかし、その後、覚せい剤に類似した作用を持つことから、依存性や心血管系への影響などの副作用リスクが指摘され、そのリスクが治療効果を上回ると判断されたため、多くの国で販売が中止されました。
現在、サノレックスの使用は日本や一部の国に限られており、使用には医師の厳格な管理が必要です。日本国内では、保険診療や自由診療の医療機関でのみ処方されています。
サノレックスが向いている人・向いていない人
サノレックスは、以下のような人に向いています。
- 食事量のコントロールが難しい人: 食欲を抑えることができず、過食してしまう方に適しています
- ドカ食いしやすい人: 短期間で大量の食事を摂取する習慣がある人に適しています
- ダイエットのサポートが必要な人: 食事療法や運動療法だけでは効果が十分でない場合、これらを補助する役割としてサノレックスが有効です
一方で、サノレックスが向いていない人もいます。
- 長期的な使用を考えている人: サノレックスには依存性のリスクがあるため、長期間の使用は推奨されていません
- 軽度の肥満の人: サノレックスは主に高度肥満症の方を対象としており、軽度の肥満では副作用のリスクがメリットを上回る可能性があります
- 食事や運動療法で効果が見られる人: すでに他の方法で減量効果が得られている場合、サノレックスを使用する必要はありません
このように、サノレックスは特定の状況下での使用が推奨される医薬品であり、使用には慎重な判断が必要です。
サノレックスの効果は食欲の抑制

サノレックスは、食欲を抑制することで体重減少を促す医薬品です。その有効成分である「マジンドール」は、脳の視床下部に存在する「満腹中枢」に働きかけ、食欲を抑制します。
視床下部は、体の摂食行動を調節する重要な部位です。ここに作用することで、脳は少量の食事でも満腹感を感じやすくなります。具体的には、マジンドールが神経伝達物質であるドーパミンやセロトニンの分泌を増加させることにより、満腹中枢が刺激されます。ドーパミンやセロトニンは、満腹感や幸福感を感じる際に重要な役割を果たす物質です。
これにより、食事量が自然に減り、次の食事までの時間が長くなることで、体重減少が期待されます。
ただし、サノレックスは、あくまでも運動療法や食事療法の補助として使用されるべき薬です。単独での使用ではなく、他の減量方法と組み合わせることが推奨されます。
効果の発現時間について
サノレックスの効果発現時間は、有効成分「マジンドール」の血中濃度推移から推定できます。
最高血漿中濃度は投与2時間後に得られ、その値は約2.81ng/mLであった。また、血漿中半減期は約9時間であった。
KEGG DRUG,医療医薬品:サノレックス,添付文書情報 - 16. 薬物動態
つまり、マジンドールの血中濃度は服用から約2時間で最高値に達し、その後9時間が経つ頃に半分に減少します(血漿中半減期)。効果は血中濃度の変化に伴って現れるため、サノレックスの効果は服用後約2時間で最も強くなり、約9時間以内に徐々に減退すると考えられます。
この効果発現時間を意識してサノレックスを服用することで、食欲抑制効果を最大限に活用できます。
例えば、昼食前の11時頃にサノレックスを服用すると、2時間後の13時頃に食欲抑制効果が最大になり、その効果は20時頃まで続きます。この時間帯に昼食と夕食を摂ることで、サノレックスの効果を利用して2食分の摂取カロリーを効率的にコントロールできます。
ただし、薬の効果には個人差があり、効果の感じ方や持続時間には人によって違いが見られることがあります。そのため、サノレックスを使用する際は、自分の体の反応に注意し、必要に応じて医師に相談しながら使用することが大切です。
サノレックスの臨床成績

サノレックスの有効性は、高度肥満症患者(BMI35以上)を対象に実施された臨床試験(17.1.1 国内臨床試験, 医療用医薬品:サノレックス,添付文書情報,[リンク])によって検証されました。
臨床試験に参加した44例の患者に対する全般改善度では、食欲抑制と体重減少効果を基に評価され、中等度改善以上の効果が43.2%(19例)、軽度改善以上の効果が75.0%(33例)で確認されました。
さらに、同時に行われたプラセボ(偽薬)との比較試験(多施設プラセボ対照二重盲検比較試験,サノレックス,医薬品インタビューフォーム, [リンク])によって、食欲抑制度と体重減少度の2項目で有意差が確認されたのです。
これらの試験結果から、肥満症におけるサノレックスの有効性が示され、治療の選択肢として重要な役割を果たすことが実証されました。
個人輸入やAmazonなどで通販されていない

サノレックスは、Amazonや楽天などの一般的な通販サイトでは購入できません。
これは、サノレックスが医師の処方箋が必要な「処方箋医薬品」に分類されているためです。そのため、一部の鎮痛剤や花粉症の市販薬のように、インターネットで手軽に購入することはできません。
さらに、サノレックスは海外製の薬を取り扱う個人輸入代行サイトでも購入できません。
有効成分であるマジンドールが「第三種向精神薬」に分類されており、厚生労働省の規制下にあるからです。第三種向精神薬とは、脳に作用し精神状態に影響を与える可能性がある薬であり、個人の判断で簡単に入手できないように厳しく制限されています。
もし、通販サイトでサノレックスを見かけた場合、それは偽物や違法な製品である可能性が非常に高く、健康に重大な影響を与える恐れがあるため要注意です。
- 向精神薬の輸入規制に関する参考サイト
- 麻薬及び向精神薬、医薬品覚醒剤原料,2.輸入が規制されている薬物等,医薬品等の個人輸入について|厚生労働省[リンク]

ゼニカルやメトホルミン、リベルサスなど、通販で購入できるダイエット薬を紹介。病院のメディカルダイエットで処方されている医薬品を購入できます。
入手できるのは医療機関だけ
サノレックスは、「保険診療を行っている病院」または「自由診療の美容クリニック」でのみ入手可能です。
保険診療を行っている病院では、肥満症の治療を目的にサノレックスが処方されます。自己負担額は3割になるため、費用が安く済むメリットがあります。
自由診療の美容クリニックでは、保険適用外の治療として、患者の希望や美容目的に応じてサノレックスを使用するケースがあります。
自由診療では、保険診療と異なり、費用が全額自己負担となるため、肥満の程度にかかわらず、より柔軟に治療を受けることが可能です。
このように、サノレックスの入手方法は医療機関の種類によって異なりますが、いずれにしても医師の診断と処方が必要です。
保険適用で処方してもらう条件

保険適用による処方が認められているサノレックスですが、すべての人がその対象になるわけではありません。
保険適用でサノレックスの処方が受けられるのは、添付文書に記載されている「適応症」に該当する患者だけです。サノレックスの添付文書には、適応症として以下のように記載されています。
あらかじめ適用した食事療法及び運動療法の効果が不十分な高度肥満症(肥満度が+70%以上又はBMIが35以上)における食事療法及び運動療法の補助
引用:KEGG DRUG,医療医薬品:サノレックス,添付文書情報 - 4.効能または効果
つまり、サノレックスが保険適用されるのは、既に適切な食事療法と運動療法を試みたにもかかわらず、十分な効果が得られない高度肥満の患者に限られます。サノレックスはあくまでも生活習慣の改善を補助する薬であることを理解しておくことが重要です。
具体的な基準としては「肥満度」と「BMI」という2つの指標が使用されます。
- 肥満度
- 肥満度は、実測体重と標準体重の差をもとに算出され、標準体重に対して70%以上の増加がある場合に適用されます。
- BMI
- BMI(ボディマス指数)は体重(kg)を身長(m)の2乗で割った数値で、35以上の場合が高度肥満とされます。
肥満度とBMIは身長と体重から算出できます。以下は「肥満度が+70%」および「BMIが35以上」に該当する身長と体重を記載したものです。
身長 | BMI35に該当する体重 | 肥満度+70%に該当する体重 |
---|---|---|
150cm | 78.8kg | 84.2kg |
155cm | 84.1kg | 89.8kg |
160cm | 89.6kg | 95.7kg |
165cm | 95.3kg | 101.8kg |
170cm | 101.2kg | 108.1kg |
175cm | 107.2kg | 114.6kg |
180cm | 113.4kg | 121.2kg |
2つの指標が用いられているとはいえ、理論上、肥満度+70%以上の人が、BMI35を下回ることはありません。つまり、BMI35以上であれば保険適用の範囲になります。
これらの基準を満たさない場合、サノレックスは美容目的の自由診療扱いになります。保険適用外で全額自己負担となるため、費用が高くなる点に注意が必要です。
値段は保険診療と自由診療で大きく異なる
サノレックスの費用は、保険診療で処方される場合と、自由診療で処方される場合で大きく異なります。
- 保険診療:約1,550円 + 診察料など
- 自由診療:12,000~21,000円 + 診察料など
以下、それぞれ詳しく解説します。
保険診療の場合
保険診療の場合、サノレックスの値段は「薬価」と呼ばれる公定価格によって定められています。
サノレックスの薬価は1錠あたり172.5円です。保険が適用されると自己負担は3割となり、1錠あたりの自己負担額は51.75円になります。
基本用量では1日1錠の服用なので、1ヶ月間にかかる自己負担額は、1,552.5円(51.75円×30日)と試算できます。
ただし、サノレックスは、基本用量で効果が見られない場合に最大で1日3錠まで増量することがあります。仮にサノレックスを1日3錠の用量で1ヶ月間継続した場合、薬代が4657.5円(51.75円×3回×30日)まで上がります。
診察料などの追加費用
保険診療でサノレックスが処方される際には、薬代以外の費用もかかります。
ここでの費用は診察内容によって変わってきますが、最低でも診察料(初診料or再診料)と、処方箋料がかかることは予想されます。またサノレックスは肥満治療の一環として処方されるため、生活習慣に関する指導料なども加算される可能性があります。
以下は、保険診療でサノレックスが処方される際にかかる可能性がある費用をまとめた表です。保険診療で行われる医療行為には「診療報酬」と呼ばれる点数が付けられています。これは1点=10円で換算することができ、一律で費用が定められています。
項目 | 診療報酬 | 自己負担額*2 |
---|---|---|
初診料 | 291点 | 873円 |
再診料 | 75点 | 225円 |
処方せん料 | 60点 | 180円 |
調剤料 | 11点 | 33円 |
血液検査料 | 11点~106点 | 33円~318円 |
血液検査判断料 | 144点 | 432円 |
特定疾患療養管理料 | 87点~225点 | 261円~675円 |
外来栄養食事指導料 | 170点~260点 | 510円~780円 |
生活習慣病管理料 | 333点 | 999円 |
※1:ここに挙げた費用が全て加算されるわけではありません
※2:自己負担額 = 診療報酬(1点=10円換算) × 0.3
- サノレックスの保険診療の費用に関する参考サイト
- KEGG DRUG,商品一覧 : サノレックス[リンク]
- 今日の臨床サポート - 最新のエビデンスに基づいた二次文献データベース - A000 初診料[リンク]
- 同上 - A001 再診料[リンク]
- 同上 - F400 処方箋料[リンク]
- 同上 - F000 調剤料[リンク]
- 同上 - D007 血液化学検査[リンク]
- 同上 - D026 検体検査判断料[リンク]
- 同上 - B000 特定疾患療養管理料[リンク]
- 同上 - B001 外来栄養食事指導料[リンク]
- 同上 - B001-3-3 生活習慣病管理料(Ⅱ)[リンク]
自由診療の場合
自由診療の場合、サノレックスの料金は各医療機関ごとに設定されています。相場としては、1錠あたり400~700円程度です。
以下はサノレックスを自由診療で処方しているクリニックの価格比較表です。ホームページで料金を確認できるクリニック10院をピックアップしました。
クリニック | 1錠あたりの価格(税込み) | 診察料 |
---|---|---|
堀クリニック | 400円 | 初診料:0円、再診料:0円 |
日本橋クリニック人形町院 | 450円 | 初診料:0円、再診料:0円 |
みずほクリニック | 550円 | 初診料:1,100円、再診料:1,100円 |
あおい皮膚科クリニック | 550円 | 初診料:3,300円、再診料:1,100円 |
明治通りクリニック | 600円 | 初診料:2,200円、再診料:1,100円 |
美容皮膚科シロノクリニック | 550円 | 初診料:3,300円、再診料:1,650円 |
スワンクリニック銀座 | 700円 | 初診料:3,300円、再診料:1,100円 |
水の森美容クリニック | 550円 | 初診料:0円、再診料:0円 |
美容皮膚科ウォブクリニック中目黒 | 660円 | 初診料:2,750円、再診料:2,200円 |
シャルムクリニック | 660円 | 初診料:3,000円、再診料:無料 |
1錠あたりの相場から計算すると、1ヶ月あたりの費用は12,000~21,000円と推定できます。
ただし、こちらも1日3錠の高用量で使用する場合には、単純計算で3倍の費用(36,000~63,000円)がかかることになり、費用がかなり高額になるため、注意が必要です。
また、自由診療ではサノレックスの価格以外に、クリニックごとの診察料にも差があるため、総費用が異なる場合があります。診察料以外にも検査料や処方料が発生することがあるため、事前に各クリニックで詳細を確認することが重要です。
- サノレックスの自由診療の費用に関する参考サイト
- 堀クリニック - サノレックス[リンク]
- 日本橋クリニック - サノレックス | オンライン処方可能 | 診察料・送料・無料 [リンク]
- みずほクリニック - サノレックス(食欲抑制剤)はどれくらい痩せる?値段・効果・副作用について[リンク]
- あおい皮膚科クリニック - ダイエットピル(サノレックス・ゼニカル)[リンク]
- 明治通りクリニック - 渋谷で【サノレックス1錠600円】ダイエット治療[リンク]
- 美容皮膚科シロノクリニック - サノレックス(食欲抑制剤)[リンク]
- スワンクリニック銀座 - サノレックス[リンク]
- 水の森美容クリニック - サノレックス・ゼニカル [リンク]
- 美容皮膚科ウォブクリニック中目黒 - 料金表[リンク]
- シャルムクリニック - 料金一覧[リンク]
主に報告されている副作用

サノレックスの副作用として起こりやすいのは口の渇きです。口の中が粘つく、舌がくっつくなどの症状がみられる場合には副作用の発症が疑われます。そのほかには、便秘や悪心といった消化器系の症状がみられることもあります。
以下は、サノレックスの添付文書に記載されている副作用の発現率です。
- 発生頻度:5%以上
- 口渇感
- 便秘
- 発生頻度:0.1~5%未満
- 睡眠障害、頭痛、脱力感、めまい、けん怠感、いらいら感、眠気、ふらつき
- 悪心・嘔吐、胃部不快感、腹部膨満感、腹痛、下痢
- 動悸
- 発疹
- AST、ALTの上昇
- 排尿困難
- 口中苦味感、発汗、性欲減退、脱毛、さむけ
- 発生頻度:0.1%未満
- 頻尿
- 咽頭不快感、月経異常
- 発生頻度:不明
- 神経過敏、激越、抑うつ、精神障害、振戦、幻覚、知覚異常、不安、痙攣
- 頻脈、胸痛、血圧上昇、脳卒中、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全、心停止、顔面潮紅
- そう痒感
その他、サノレックスでは、重大な副作用として「依存性」と「肺高血圧症」が挙げられています。発症頻度は不明とされていますが、非常に危険な症状であるため、十分な注意が必要です。
重大な副作用①依存性
サノレックスには、重大な副作用として依存性が報告されています。
添付文書によると、サノレックスの有効成分であるマジンドールは、アンフェタミン類(覚醒剤)に類似した薬理学的特性を持ち、依存性のリスクが指摘されています。
動物実験において、サルでは摂取頻度の増加や精神依存が確認され、イヌでも長期投与により幻覚様の異常行動が認められています。
ヒトにおける長期使用による依存性や精神症状の発現は明確ではありませんが、アンフェタミンと同様、精神依存や耐性のリスクがあるため、長期服用は避けるべきです。
サノレックスを使用する際は、医師の指導のもと最小有効量を守り、依存性に十分注意して使用することが重要です。
重大な副作用②肺高血圧症
サノレックスの添付文書には、肺高血圧症が重大な副作用の一つとして記載されています。
肺高血圧症は、肺動脈の血圧が異常に上昇し、心臓と肺に負担をかける病気です。
この病気が進行すると、息苦しさや胸痛、失神などの症状が現れ、最悪の場合、右心不全や死亡に至る可能性もあります。
特に労作時に息切れや胸痛を感じる場合は、すぐに服用を中止し、医師に相談することが重要です。
肺高血圧症は初期には自覚症状が少ないため、進行してから気づくケースが多い病気です。
サノレックスを使用する際には、この副作用について十分な注意が必要であり、定期的な診察とモニタリングが推奨されます。
- サノレックスの副作用に関する参考サイト
- KEGG DRUG,医療医薬品:サノレックス,添付文書情報 - 11. 副作用[リンク]
基本的な飲み方

サノレックスの基本的な用法は、1日1回、昼食前に1錠を服用することです。初期の段階で効果が十分であれば、この1錠の服用を続けます。
効果が不十分な場合は、1日最大3錠まで増量が認められており、2〜3回に分けて食前に服用します。ただし、最小の有効量で効果を得ることが望ましいため、必要以上に増量しないことが重要です。
ただし、サノレックスには睡眠障害の副作用が報告されていることから、夕刻以降の服用を避けることが推奨されています。よって、薬の用量を増やした場合には、なるべく朝から昼までの間に服用するべきでしょう。
万が一飲み忘れた場合は、次回の服用を倍にすることなく、1回分だけを飲みましょう。適切な服用方法を守り、効果的にサノレックスを利用することが重要です。
服用期間は最長でも3ヶ月
サノレックスの使用期間は、最長でも3ヶ月までとされています。これは、長期間の使用が依存性や肺高血圧症などの重大な副作用のリスクを高める可能性があるためです。
サノレックスにはアンフェタミン類に類似した成分が含まれており、長期間使用することで、薬の効果が弱まる「耐性」や、薬に依存する「依存性」が形成されるリスクがあります。そのため、サノレックスは可能な限り短期間で使用することが推奨されています。
さらに、使用開始から1ヶ月以内に効果が見られない場合は、投与を中止する必要があります。効果が不十分でも無理に服用を続けず、必ず医師の指示に従って使用することが重要です。
使用に際しての注意事項
サノレックスを使用する際には、依存性について留意することが必要です。本剤の薬理作用は、覚せい剤の成分であるアンフェタミン類と似ています。
海外においては、食欲抑制剤の多くで数週間以内に薬物耐性がみられるとの報告があります。薬物耐性が生じることによって、患者が期待する効果が減少するため、使用期間や用量の調整が必要になる場合があります。
サノレックスを使用する際には、以下に挙げる注意事項に留意して、定められた用法・用量や効能・効果を守ることが重要です。
次に当てはまる方はサノレックスを服用できません。
- サノレックスの成分に対して過敏症の既往歴がある方
- 閉塞隅角緑内障の方(眼圧が上昇するおそれがあります)
- 重症の心障害、膵障害、腎障害、肝障害がある方
- 重症高血圧症や脳血管障害のある方
- 不安・抑うつ、精神障害の既往歴がある方
- 薬物・アルコール乱用歴がある方
- MAO阻害剤を服用中、または服用中止後2週間以内の方
- 妊婦または妊娠している可能性のある女性
- 小児
次に当てはまる方はサノレックスを服用する前に医師に相談してください。
- 糖尿病の方(インスリンや糖尿病治療薬の必要量が変化することがあります)
- 精神病の既往歴がある方(症状が悪化するおそれがあります)
- てんかんの既往歴がある方(発作を誘発する可能性があります)
- 開放隅角緑内障の方(眼圧が上昇するおそれがあります)
- 腎機能・肝機能障害がある方
- 妊婦
- 授乳中の女性(授乳しないことが望ましいです)
- 小児等
- 高齢者(副作用発現率が高い傾向があります)
- 基本的な注意事項
- 急激な減量による心血管系のリスクを避けるため、投与中は体重の推移に注意することが重要です。
- 食事量や体重の推移に留意し、投与継続の可否や投与量について常に注意を払う必要があります。
- サノレックス服用中は、自動車の運転や危険を伴う機械の操作を避けるようにしてください。
- サノレックスの注意事項に関する参考サイト
- KEGG DRUG,医療医薬品:サノレックス,添付文書情報 - 2. 禁忌[リンク]
- 同上 - 8. 重要な基本的注意[リンク]
- 同上 - 9. 特定の背景を有する患者に関する注意[リンク]
飲み合わせが悪い薬
併用禁忌とはサノレックスと一緒に服用してはいけない薬です。併用すると重篤な副作用が発生する可能性があるため、サノレックスと一緒に服用しないでください。
併用注意とはサノレックスと飲み合わせが悪い薬です。併用すると(1)作用の減弱、(2)副作用の増強など、体に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意して使用するか、併用は避けることが望ましいです。
- 併用禁忌
- MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩、ラサギリンメシル酸塩、サフィナミドメシル酸塩)
- 併用注意
- 昇圧アミン(アドレナリン、ノルアドレナリンなど)
- グアネチジン系薬剤(グアネチジン、ベタニジン、レセルピンなど)
- インスリン、経口糖尿病剤
- アルコール(飲酒)
- ハロゲン系吸入麻酔剤(ハロタンなど)
- 中枢神経刺激剤(アマンタジンなど)
- 甲状腺ホルモン
- サノレックスの飲み合わせに関する参考サイト
- KEGG DRUG,医療医薬品:サノレックス,添付文書情報 - 10. 相互作用[リンク]
サノレックスとリベルサスの違いは?
リベルサスは、サノレックスと同様に肥満治療に使われている医薬品です。美容クリニック等で行われている「GLP-1ダイエット」において、高い注目を集めています。
画像引用:QLife「リベルサス錠3mgの基本情報」
肥満治療に使用される内服薬という両剤ですが、その働きや特徴には多くの違いがあります。サノレックスとリベルサスの違いとして、大きく分けて以下の4つが挙げられます。
以下、それぞれ詳しく解説します。
1.作用の違い
サノレックスもリベルサスも食欲抑制効果を示す点においては共通していますが、その作用機序には違いがあります。
サノレックスは、脳の満腹中枢に直接作用して食欲を抑制します。服用後数時間で効果が現れるため、短期間での体重減少が必要な場合に適しています。
一方、リベルサスは、GLP-1受容体(消化管ホルモンの一種であるGLP-1に反応する部分)を介して作用します。これにより、満腹中枢に影響を与えるだけでなく、胃腸の運動を調整して満腹感を持続させます。そのため、リベルサスの効果はより自然に近く、緩やかに現れます。通常、1〜3ヶ月の継続的な服用が必要です。
以上のことから、長期的な体重管理が必要な場合にはリベルサス、短期間での急激な体重減少が求められる場合にはサノレックスが適していると考えられます。ただし、最終的には個々の患者の状況、健康状態、治療目的に応じて、医師が適切な薬剤を選択することが重要です。
2.適応症の違い
サノレックスは肥満症に対する適応が認められていますが、リベルサスの適応症は2型糖尿病に限られています。
そのため、リベルサスを肥満の治療に使用する場合は「適応外処方」として処方されます。適応外処方とは、医薬品が本来の承認された適応症とは異なる目的で使用される場合のことです。この場合、自由診療となり、保険が適用されません。
つまり、サノレックスでは保険が適用されるケースであったとしても、リベルサスでは全額自己負担になるということです。
自由診療では、医療機関ごとに価格が異なります。医療機関によって料金に大きな差がある場合もあるため、事前に問い合わせるなどして費用を確認しておくことが重要です。
3.使用制限やリスクの違い
サノレックスは、脳に直接作用して食欲を抑制するため、依存性(薬に頼りやすくなる状態)が生じるリスクがあります。特に長期間の使用によりそのリスクが高まるため、使用期間は最長3ヶ月と定められています。
一方、リベルサスは長期的な使用が可能で、特に2型糖尿病の管理のために継続的に使用されることが一般的です。リベルサスは脳に直接作用しないため、依存性のリスクはありません。
ただし、リベルサスには消化器系の副作用が比較的多く報告されています。服用開始時には、吐き気、嘔吐、下痢、便秘などの症状が出やすいため、注意が必要です。
4.購入方法の違い
サノレックスを取り扱う医療機関は、リベルサスと比較して限られています。
向精神薬に分類されるサノレックスは、より厳格な管理が必要な薬剤です。よって、サノレックスを処方する医療機関は、肥満治療に特化した専門クリニックや、大学病院などの特定の施設に限られる傾向があります。一般的なクリニックでは、リベルサスの方が処方されやすい状況にあると言えます。
また、サノレックスは個人輸入が規制されているのに対し、リベルサスは購入者本人が使用する場合に限り、個人輸入が認められています。医療機関を受診せずに購入できるのは、リベルサスだけです。
サノレックスに関するよくある質問
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- サノレックスは市販されている?
- サノレックスは薬局やドラッグストアで市販されていません。これは、サノレックスが、処方せん医薬品(医師の処方せんが必要な医薬品)に分類されているためです。入手するには、医療機関で診察を受け、医師から処方せんを発行してもらう必要があります。サノレックスは、第三種向精神薬(脳に作用して精神状態に影響を与える薬)にも分類されているため、海外製品を個人輸入して入手することもできません。
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- サノレックスには代謝を上げる効果もある?
- サノレックスには基礎代謝を上げる効果はありません。その主な作用は、食欲を抑制して食事制限をサポートすることです。基礎代謝を向上させて体重を減少させる効果は確認されていません。基礎代謝を高めたい場合は、筋力トレーニングや有酸素運動、バランスの取れた食事を取り入れることが効果的です。サノレックスを使用する際も、生活習慣全体を見直し、医師と相談しながら適切な治療を行うことが重要です。
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- サノレックスを食前に服用する理由は?
- サノレックスを食前に服用する理由は、食欲抑制効果を最大限に引き出すためです。この効果は、有効成分マジンドールの血中濃度が上昇することで現れます。食前30分から1時間前に服用することで、食事の頃には効果が現れ、食べ過ぎを防ぐことができます。さらに、サノレックスは服用後約2時間で効果がピークに達するため、このタイミングに合わせて食事をすることで、ダイエット効果の向上が期待されます。
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- サノレックスの効果は1ヶ月でどの程度現れる?
- 約1ヶ月間の治療で、平均2kgの減量効果が示されたデータがあります。肥満度が20%以上の患者376例を対象とした試験(第Ⅱ相非盲検試験(Mazindol の肥満症に対する治療効果),サノレックス, 医薬品インタビューフォーム, [リンク])によると、投与開始時には74.5±0.6 ㎏であった平均体重が、治療期4週目では72.5±0.7kgに減少したとされています。
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- サノレックスが効かない人も居る?
- 効果には個人差があるため、中にはサノレックスが効かない患者もいます。先述した第Ⅱ相非盲検試験では、71.3%の患者に軽度以上の食欲抑制効果が確認された一方、残りの28.7%の患者では「不変」もしくは「食欲増加」という結果になりました。臨床試験においても3割程度の患者にはサノレックスの効果が見られなかったということです。また、サノレックスの添付文書においては、効果が1ヶ月以内に現れない場合、治療を中止するべき旨が記載されています。効き目が見られないようであれば、サノレックスの服用を継続すべきではありません。
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- サノレックスとリベルサスは併用できる?
- サノレックスとリベルサスを自己判断で併用するべきではありません。これらはいずれも食欲抑制効果を有する薬剤であり、効果が重複しています。またいずれにおいても、便秘・吐き気など消化器系の副作用が確認されています。併用するとこれらの作用が過度になり、予期せぬ健康リスクを招く恐れがあります。サノレックスとリベルサスの併用を希望する場合は、必ず医師に相談してください。
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- サノレックスとゼニカルは併用できる?
- サノレックスとゼニカルは、比較的安全に併用できます。ゼニカルは、食事から摂取した脂肪分の一部を、体内で吸収させずに排出する作用がある薬です。食欲抑制効果を有するサノレックスとは作用機序が異なるため、効果が過剰に増強される心配がありません。むしろ食欲抑制と脂肪吸収抑制の両面からアプローチできるため、減量効果が向上する可能性があります。ただし、ゼニカルにも下痢やビタミン摂取不良といった副作用が確認されており、サノレックスとの併用でそれらに影響が出る可能性もあります。サノレックスとゼニカルの併用を希望する際にも、必ず医師に相談してください。
サノレックスは慎重な投与が必要な医薬品

サノレックスは、1992年に日本国内で初めて肥満症治療薬として承認された医薬品です。食事療法や運動療法で効果が得られない高度肥満症の治療をサポートするため、短期間で使用されます。
サノレックスは脳の視床下部にある満腹中枢に働きかけ、食欲を抑制する効果があります。その有効性は臨床試験でも確認されていますが、薬の特性上、医師の慎重な管理が必要とされています。
サノレックスは市販や個人輸入が認められておらず、購入には医療機関での受診が必要です。また、長期的な使用は依存性や重大な副作用のリスクがあるため、3ヶ月以上の服用は禁止されています。
したがって、サノレックスの使用は、必ず医師の指導のもとで行う必要があります。自己判断での使用や長期使用は、深刻な副作用や依存性のリスクを高める可能性があるため、必ず医療専門家に相談してください。
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